コンテンツマーケティングと言えば「記事」と「動画」が代表格と言えるでしょう。
しかし、記事は文章だけよりもユーザーが興味を持って読み進めてくれるように、要所要所でイメージカットやイラスト、図表などを配置するとより良い成果が見込めます。
動画については視覚的な動きに加えて音も非常に重要です。動画を使ったマーケティング研究では、動いている画面よりもナレーションや音楽といった音の方がユーザーの感情を揺さぶるという報告もされています。
今回は、記事コンテンツと動画コンテンツを構成する「写真」、そして「音」について東京ビックサイトで行われたコンテンツ東京2017」に出展していた2社を中心に紹介していきます。
非常に面白いサービスでしたので、このブログで共有できればと思っております。
画像素材の最新事情
まずは画像素材についてのご紹介です。
とはいえ多くの企業が画像素材を専門に提供するサービスを利用しているケースもほとんどでしょう。弊社もShutterStockと年間契約をしておりますし、HubSpotユーザーであればShutterStockの画像が使いたい放題だったりします。
参考記事:HubSpotのShutterStock連携でHubSpotユーザーは画像を使いたい放題に!
しかし、世の中は進んでいます。2016年にローンチしてから大きな話題になっているサービス、「Snapmart(スナップマート)」について紹介していきます。
Snapmart(スナップマート)
Snapmartは、「スマホ写真の売り買いができる」プラットフォーム兼サービスです。サービス開始後、1年も経たない2017年4月には「購入登録企業社数が1000社を突破」というニュースも流れ、非常に勢いがあります。
このSnapmartの利用企業側から見た大きな特徴は、次の通りです。
- これまで商用写真と言えばプロのカメラマンにより撮影されていたものがほとんどでしたが一般の人が撮影した自然な写真が手に入る
- フリー素材のサイトは数多いが、同じようなイメージを使う傾向からかぶる傾向がある。Snapmartには膨大な写真があるので被る確率は少ない
- 安価に写真が手に入る
- インスタ映えする写真はプロによるものでなく、一般ユーザーの手によるものの方が好まれる傾向がある。そのような背景から急成長している
またSnapmartは一般画像を販売する以外に、さまざまな形で企業にとって役に立つサービスを提供しています。
代表的な2つを紹介しましょう。
- フォローが1万人以上いるインスタグラマーに商品写真を撮ってもらうサービス
撮影用の小物なども用意して撮影してくれるので、手軽に良い写真が手に入る。
- 商品を複数のユーザーに配布することで、数多くの写真が手に入る
次にSnapmartを企業のマーケティング活動とどう連携させるのかを詳しく紹介していきましょう。
Snapmartの役立て方
Snapmartの企業サイトには、次のキャッチコピーが掲載されています。
「デジタルコンテンツ流通に”素人革命”を」
こちらはまさに時代の流れをよく表しています。
実際にSnapmartの資料によると、従来のプロカメラマンが撮影した写真素材とSnapmartで一般ユーザーが販売した写真では数倍クリック率が違ったそうです。もちろんSnapmartの方が上ということです。
これは最近Twitterなどでも「プロの凝った写真よりも、一般の人の写真の方が身近に感じる」「プロと一般の境目が無くなってきている」といった声からも推測できるでしょう。
また自然な形でコンテンツ内に置かれたネイティブ広告の方が成果が出ている昨今、画像も“いかにも広告”といったものは敬遠され流のではないでしょうか。
このようなトレンドからも一般ユーザーが撮影した自然な写真が手に入るSnapmartは、画像素材の入手先としてチェックしておくべきでしょう。
ただし現在確認する限りですと化粧品や食品、雑貨といったジャンルが多いような気がしますが時とともに解決されてくるでしょう。
インスタグラムは写真なので「言語の壁を超える、グローバルに伝えやすいSNS」と評価する声も一般論としてありますので、海外へのブランディングを押し進めるうえでも力を発揮するかもしれません。
「Snapmart」を有効活用してコンテンツマーケティングを進めていくと良さそうです。
音の素材
画像素材があるように、音楽素材というのも存在します。
以前はWebサイトに音は特に必要なものではありませんでしたが、最近では動画コンテンツも一般的になっていますので必然的に音楽の需要は高まっています。
今回は「Nash Music Library(ナッシュミュージックライブラリ)」という音楽ライブラリーの紹介を中心にしていきます。
Nash Music Library(ナッシュミュージックライブラリ)
動画を制作するときには著作権ロイヤルティフリーの音楽ライブラリーなどを探している方も多いのではないでしょうか。
こうした音楽ライブラリーサービスはWeb需要が増えていることでコンテンツ系の展示会では必ず見かけます。今回出展していた「Nash Music Library」のブースでは多く時間を取っていただき、音楽ライブラリに関して詳しく説明してもらえました。
初めに「Nash Music Library」の特徴を紹介していきましょう。
なかなかユニークなところがあって、一般的なフリー素材と少し違う印象を持つかもしれません。
- 扱う音楽はすべて自社制作
- 具体的には、契約しているアーティストと打合せをしながら作っていく
- 楽曲制作の際は、実際にスタジオに来てもらうのが必須
- 毎回、楽曲のテーマを決めて作っていく
音楽ライブラリーの中には、投稿してくる音楽を集めたキュレーション的なサイトもあると言います。あるいは、海外の楽曲を仕入れて販売するという手法を取っているライブラリーも多いのだとか。
もちろんこれらにも長所はあると思いますが、今回お話をお伺いしたNash Music Libraryは、「自社のオリジナル楽曲」に特別なこだわりを持っているとのことです。
大阪のスタジオなので「東京など遠隔地はテレビ電話などで打合せするのですか」という問いに対しても「遠距離であっても、実際に来てもらってから打合せをしています」との答えでした。このあたりからも、自社のオリジナル、かつ良い楽曲を作り上げていくという熱が感じられます。
引き続きNash Music Libraryの特徴を紹介しつつ、使い方もより詳しく見ていきましょう。
Nash Music Libraryの役立て方
Nash Music Libraryのサービス形態ですが、基本的には次のようになっています。
- レンタル方式で、メディアとWebサイトからのダウンロードで提供。
- 1楽曲からのダウンロード購入も可能。
- ポイントを使った割引ダウンロード販売もあり。
その他、制限項目付きのプランなどもあります。動画コンテンツをまだ試しに導入している段階、という企業であれば1曲ごとの購入で音源として試してみると良いでしょう。
なお46秒から4分までの曲、それに効果音の需要が高く楽曲も特に豊富に揃っているそうです。また画像の場合もそうですが、DLした音楽の利用期限がどのぐらいかが気になるところです。
Nash Music Libraryは、契約期間中に映像に用いた音楽は半永久的に使えるとのこと。ここは非常に嬉しいポイントです。
さらに商用利用に関してもあまり制限がありませんので、テレビやインターネット上での動画コンテンツ以外にも店舗やイベントでも利用できます。
企業のマーケティング活動でありがちなテレビ、Web、そしてリアル店舗やイベントとの連携があまり取れていないケース。縦割りとまではいかないものの、各媒体単位で活動してしまうため統制の取れていない個別の成果のみになってしまうことは稀ではありません。せっかくあらゆる用途に使える音源があるのですから、各媒体で統一した音源を使うようにすると良いのではないかと思いました。
オムニチャネル化というのは言葉ばかり先行してしまいましたが、実態としては媒体を問わず、あらゆる接点でユーザーに同じ体験を味わってもらうことを基本にしています。
そこには当然、音による体験も含まれています。
まとめ
今回は画像素材として「Snapmart」、音楽素材として「Nash Music Library」を中心に紹介してきました。
最後に、こうした素材を使う側のこれからのスタンスについてまとめておきましょう。
Snapmart、Nash Music Libraryの両方を確認させていただき感じたことですが「これを使うか使わないかは、企業側の選択と判断に委ねられている」ということでした。
具体的に説明しましょう。たとえば画像素材ならば、クライアントがこだわりや持っているイメージが強く、その通りに演出をした写真を求める場合があります。しかしそれをしてしまったら、Snapmartに集まる一般の感覚を持った写真の強みは死んでしまいます。ですのでこうした場合にはSnapmartではなく、企業の意図をくみ取って撮影をしてくれる、従来からのプロのカメラマンに依頼をする方が良いかもしれません。
またNash Music Libraryは、提供する楽曲をカットしたり一部を繋ぎ合わせたりする編集はOKなものの、企業に合わせたアレンジ、あるいは依頼を受けての楽曲づくりはしていないそうです。これについては「既にできあがっている楽曲から探して、選んで欲しい」とのことでした。「そこに、選ぶ楽しさがある」と言います。
現在はさまざまなサービスが豊富にあります。
以前はサービスの提供会社と言えば、「営業をしてきて、契約をお願いする」というのが主流でした。しかしSnapmartやNash Music Libraryのように個性的なサービスを提供し、無理な営業や取引先に合わせたサービスのカスタマイズはしない、という所も増えています。
企業の担当者も条件交渉ではなく無数にあるサービスの中から「いま何が必要か」「自社に合うのは何か」といった選別をする眼がより求められてきています。