SNS(ソーシャルメディア)の定番と言えばFacebook、Instagram、Twitter、YouTube、それにLINEがすぐに頭に浮かぶでしょう。多くの企業がアカウントを取得し運営しているはずです。
このSNS(ソーシャルメディア)を活用したマーケティングは、移り変わりの激しいネットの世界でも特にトレンドが激しく変化するため常に最新の情報を理解しておきたいものの一つです。
今回は、直近1年以内の調査データをもとに、SNSの現在地をさまざまな角度から探っていきたいと思います。
利用実態
まずは各SNSの利用実態から見ていきましょう。
株式会社ジャストシステムは「マーケティングリサーチキャンプ」というサイトで、各ソーシャルメディアの利用動向を含む詳細データを配布しています。
ここでは、主要SNSについての傾向をダイジェストで紹介していきましょう。
Facebookを「現在利用している」という割合は、毎月34~39%台の高い値で推移しています。
気になるのは「以前利用していたが今は利用していない」という割合が、2016年1月時点では7.8%だったのに対して、2016年12月には14.1%と2倍近くになっているという点です。Facebookに優先的に取り組む企業も多いでしょうから、これは気になるデータです。
Twitterは「現在利用している」という層が、35~40%台で推移しています。2016年1月から12月で見ると、トータルではややプラスといった形になります。
「以前利用していたが今はしていない」という割合も、それほど変化はしていません。安定したソーシャルメディアと位置づけられそうです。
大きな変化を見せたソーシャルメディアとして、Instagramが挙げられるでしょう。今やFacebookやTwitterと並ぶソーシャルメディアとして、確固たる地位を確立しました。調査データからも、それは明らかです。
特筆すべきは認知度で「このサービスは知っているが利用したことがない」という回答の割合が毎月右肩上がりを見せ、12月時点では1月を10%近く上回る42.8%となっています。
実際の利用についても「このサービスは現在利用している」が12月の調査では22.3%と、やはり1月から10%近く高くなりました。
Youtube
Youtubeは「現在利用している」という回答がほぼ毎月70%を超えるという抜群の利用率を誇るサービスです。自分で何かの動画をアップするというのではなく、大部分は動画を閲覧するという利用方法だと思われますが、動画が高いパワーを持っていることを示しています。
LINE
ソーシャルメディアかどうか、常に議論が分かれるLINEについてです。私はソーシャルメディアではないという考えなのですが、調査データに入っていますので紹介しておきましょう。
4月までは40%台だった「現在利用している」という回答が、5月に急に60%台になり、それから落ちる事はありませんでした。
ある時期に急激にアップした事から、スマホの一斉機種変更など何らかの外的要因が影響してのアップかもしれませんが、メーラーのような役割だけに今後も大きく減少する事はないはずです。
なお「スマホを買えば初めから入っているアプリ」とまで思っているユーザーも多いようです。
その他この調査ではGoogle+、mixi、ニコニコ動画、Ustreamなど多くの種類のソーシャルメディアについて調べてあります。しかしこれまでに紹介したものが企業が取り組むものの大部分でしょうから、ここでの紹介は割愛します。
さまざまな調査:日本はTwitterがFacebookを上回る特殊な国?
その他、この1年以内に実施されたSNS関連の調査で興味深いものを紹介していきましょう。
最新の利用実態と情報発信
インターネットリサーチ大手「マクロミル」は、2017年2月に「全国8,500人に調査!ソーシャルメディアの利用状況&ブロガープロファイル分析」という調査データを公開しています。実調査期間は2016年12月ですので、前項の内容を補完するような利用実態も見えます。
「好きなソーシャルメディア」という設問が設けてあり、LINEが断トツの1位になっています。注目は2位がTwitterになっている事です。Facebookに3%以上の差を付けています。
日本はTwitterの利用がFacebookを上回る珍しい国です。
デジタルマーケティングでは担当者から真っ先にFacebook、最近ではInstagramを利用したいという声をよく聞きますが、こうしたデータもよく見て判断していきたいものです。
「ソーシャルメディアを利用している」と言っても、頻繁に投稿をしているというユーザーもいれば、投稿はたまにしかしないというユーザーもいます。また投稿をせずに閲覧のみしているというユーザーもいます。
この調査ではそうした内訳も示してあり「日常的に情報発信・投稿している」というヘビー層は40.1%、「日常的の投稿していない」というユーザーは36.0%となっています。
投稿、情報発信で断トツ1位となるのはLINEです。SNSとして情報発信の範疇に入れられるのは、2~3位のTwitter、Facebook、Instagramとなるでしょう。
ここでも情報発信するSNSとしてTwitterが2位なのは、覚えておきたいものです。
この調査では他にも「ブログの実名/匿名利用状況」「ブログの存在を知らせている相手」など、デジタルマーケティングに活用できそうな調査項目があります。
興味のある方は、下記にアクセスしてみてください。
若者は画像主体のコミュニケーション(PICTLINK、MixChannel、SnapChat など)
ソーシャルメディアは今や幅広い層に利用されていますが、若者に向けたメディアとして力を入れる企業も多いでしょう。
そこで2016年春に実施された、女子高生、女子大生のSNSの利用に関する調査を紹介していきましょう。
LINE、Twitterのアカウント保有は高めです。1日1回以上使う割合としてTwitterはやや落ちますが、それでも約9割となっているのは注目すべきポイントです。Instagramのアカウント保有、利用割合も3位になります。
この層における少々驚くべきこととしてFacebookが挙げられます。アカウント保有で5割をきり、利用頻度もかなり少ないものになっています。
「Facebookは利用者の年齢層が高めのSNS」といった事が少し前から言われていましたが、それを如実に示すデータと言えそうです。
一方、PICTLINKやMixChannelといった、ビジネスの世界にはあまり馴染みのないSNSも上位にきています。
SnapChatも合わせ、これら画像を主体としたコミュニケーションを行うSNSは、若者世代を考える上での一つのキーワードになりそうです。
もう一つ、若者のSNS利用で押さえておきたいポイントがあります。
それは「使い分け」です。
この調査でも、「それぞれのSNSでつながる相手を使い分けている?」という設問に対して、半数以上が「使い分けている」と回答しています。
この柔軟性や器用さは、ソーシャルメディアで一律に同じメッセージを発信しても届かないという状況を生み出します。
参考:女子高生・女子大生を対象とした「ソーシャルメディアに関する意識調査」:2016年4月26日 フリュー株式会社
少し興味深いデータ:「いいね」を獲得するために事実を誇張
調査データとして、最後に少し興味深いデータを紹介しておきましょう。
最近はインターネットやスマホが人の心理や考え方に与える影響についての研究が進んでいます。
セキュリティソフトを販売するカスペルスキーでは「いいね」を獲得するために事実を誇張して投稿する人たちがいる。またその割合は男性が女性の2倍以上にのぼるという調査レポートを掲載しました。
Labレポート:ソーシャルメディアが人々に及ぼす影響-2>10人に1人が「いいね」を獲得するために事実を誇張:2017年1月19日 カスペルスキー
一般のニュースに見られるようなものも多いので、思いあたる節もあるでしょう、ビジネスにおけるSNS運営は、コンプライアンス意識を高く持ち、きちんとガイドラインを定める必要がありそうです。
その他:ビジネス活用に押さえておきたい資料
最後に、ビジネスでソーシャルメディアを活用するうえで非常によくまとまった資料がありますので、紹介しておきましょう。
2016年春に、経済産業省が実施した調査資料です。
企業のソーシャルメディアの利用実態や取るべき方針、また実際の好事例も紹介してありますので、大いに参考にできそうです。
参考:企業のソーシャルメディア活用に関する調査報告書を取りまとめました:2016年4月11日 経済産業省