グローバル化などにより競争が激化した昨今では、商品情報を社内全体で適切に管理することが求められます。そこで、活躍するツールがPIM、つまり「商品情報管理システム」です。本記事では、商品情報管理の導入を検討している企業向けに、システムの概要のほか、導入すべき理由と失敗しないためのチェックすべき点を解説します。
商品情報管理システムとは
「商品情報管理システム(PIM)」とは、「Product Information Management(プロダクトインフォメーションマネジメント)」の略称で、企業が保有する商品を一元管理し、Webや各種アプリケーションとのシームレスな連携を実現するシステムのことを指します。
商品情報やカテゴリを明確にする「データモデル」や、登録するデータを矛盾なく整える「データチェック」、外部システムとのコミュニケーションを行うのに効果的な「外部インターフェース」などといった機能が備わっています。あらゆる業務が複雑化した今、導入したいシステムの一つです。
商品情報管理システムの役割
現状の商品情報管理の課題として、データ形式が混在しているため、一元管理が困難な点やグローバル対応への遅延が発生している点などが挙げられます。
商品情報管理システムは、商品情報を一元管理するだけに留まらず、情報共有の効率化や他ツールとの連携などの役割も求められます。適切に運用できれば、上記で挙げた課題をも解決する、万能なシステムとなるでしょう。
商品情報管理システムを導入するべき理由
商品情報管理システムを導入することで、あらゆるメリットがあります。主な理由として、具体的に「顧客体験価値の変化」と「迅速な市場投入の必要性」「データドリブンへのシフト」の3つが挙げられます。
顧客体験価値の変化
従来は、価格や商品などが重視されていましたが、昨今では顧客体験が重視されています。「顧客体験」とは、商品のサイズや色などを間違えることなく、快適に購買行動をする一連の体験のことです。
商品を注文して、品質の高い商品が手元に届くことは当然です。そこに、システムの導入をプラスすることにより、商品が届くまでにストレスを感じさせない、快適だと思わせる、つまり顧客満足度の向上も、サービスの一つとして提供できるようになるでしょう。
迅速な市場投入の必要性
競争が激しい昨今では、商品の開発から市場投入までの流れを、迅速に対応することが必要といえます。市場投入が遅れてしまうと、せっかくのよい商品でも、タイミングで負けてしまうおそれがあります。
そうした意味でシステムを導入すれば、メーカーや販売業者、小売業者との接点を持ち、結果的に業務プロセスの自動化や各種連携がスムーズになります。競争が激しい昨今だからこそ、システムを用いた最適化が求められているのです。
データドリブンへのシフト
「データドリブン」とは、経験や勘だけに頼らず、データの分析をもとに、課題を解決するための施策やビジネスの意思決定を行うプロセスのことを指します。データドリブンへの移行のためにも、システムの導入が欠かせません。
ただ、商品情報やデジタルデータが、複数のECプラットフォームやローカルドライブに保存されている場合、商品からデータを拾い上げることは困難といえるでしょう。そのために、販路や購買層の把握は当然ですが、購買パターンや履歴などもキャッチアップする機能が必要です。
商品情報管理システムを導入する上で大切なこと
実際に、商品情報管理システムを導入する際に、大切にすべき点・注意すべき点がいくつかあります。「徹底した情報の整備と統一」と「適切な運用体制作り」の2つのポイントに絞って解説します。
徹底した情報の整備と統一
簡単にいえば、情報を関係者に周知せざるを得ません。経理システムや人事システムとは異なり、商品情報管理システムはすべてのプロセスを担います。よって、開発部門や商品企画部門、営業企画部門、マーケティング部門、セールス部門、さらには役員まで、多くの人々が関わることになるのです。
こうした情報を適切に管理するためには、導入時に「情報の整備と統一」を徹底しておくことが必須です。特にリーダーは、「各部署でどのような管理が行われているのか」「担当者が抱える課題は何か」などを細かく把握し、システムに落とし込んでいくことが求められます。もちろん、すべての情報を反映することは難しいかもしれません。しかし、多くの人々が納得するシステムを構築しなければ、導入する意味がなくなります。
適切な運用体制作り
上記で述べた通り、システムの導入には、多くの人々が関わります。よって、社内全体での共通認識、ルールの策定が必須となります。「プロジェクト体制を整えましょう」というように、ざっくりとした表面だけの体制では不足しているため、明確な運用体制を敷いて進めなければなりません。
運用体制が十分でなければ、「営業部門は効率化したが、経理部門はかえって仕事が増えてしまった」という事態になりやすく、全体効率化には程遠い結果となってしまう可能性があります。日本の企業は部門間のコミュニケーションが薄く、連携が整っていない傾向が多いため、他部署に対する不満が溜まって、最終的に運用がストップすることも考えられます。最適な運用を実施するためには、部門間の協働を含めた、運用体制の強化は重要すべき取り組みの一つといえます。
「SAP Customer Experience」で商品管理を効率化
商品管理を効率化するソフトとして、「SAP Customer Experience」をおすすめします。SAP社が提供しているCRMサービスで、「次世代クラウド型CRMサービス」と呼ばれています。特徴として、「パーソナライズ化された顧客体験」「一つのプラットフォームでデータを一元管理」「別サービスとの連携」の3つが挙げられます。
パーソナライズ化された顧客体験
多くの顧客データを集約・分析し、顧客一人ひとりにパーソナライズされた顧客体験を与えられます。当サービスには、顧客データを同時に活用する「顧客分析」と、将来の購買行動を分析する「予測分析」の2種類があります。これにより、過去・現在・未来の3つの軸から、顧客に対するエンゲージメントの強化が可能です。
一つのプラットフォームでデータを一元管理
ECサイトやセールス、カスタマーサービス、SNSなどのあらゆる部門・業務で、情報を一元管理できます。商品情報を一つのプラットフォームで管理することで、社内全体のスムーズな共有・連携が期待されます。
別サービスとの連携
当サービスは、SAP社が提供する「SAP Business Technology Platform」とコラボレーションすることにより、さらに企業の事業価値を高められます。オンプレミスやクラウドの壁を越えてデータを連携する機能や、アプリケーションを開発する機能によって、データプラットフォームの構築をサポートします。
これら以外にも、あらゆる特徴やメリットがあるので、最適な運用を心がければ、商品管理が効率化することは間違いないでしょう。
まとめ
顧客情報管理システムを適切に導入すれば、商品に関する情報のみならず、社内全体であらゆる必要情報のスムーズな共有・連携が可能です。ただ、情報の整備や統一、運用体制の構築などで頭を抱える担当者も多い印象です。本記事で解説した、導入すべき理由と導入時の注意点、大切にしたいポイントを参考に、自社に合ったシステムを導入・運用するようにしましょう。