企業の成長は、すべてのステークホルダーの存在に大きく左右されます。そのために企業の内部では、セールス、マーケティング、サポート、財務、法務、人事など様々な部門が存在し、その部門へ“理想的な”人を採用し互い助け合い成長を続けられるように企業活動を進めます。
また自社組織外には、顧客、得意先、仕入先、などが存在し、当然ながら彼らの動向も非常に大きな存在です。内部の人に“理想的な”人を採用することと同じくらい真剣に“理想的な”外部関係者、つまり“理想的な”顧客像を考えたことはありますでしょうか。
仮にあなたの顧客があなたの製品やサービスの値引を頻繁に行い、リピート率、契約更新率が低い、コンサルテーションやサーピスの提供が非常に厳しい顧客が多いような場合は、あなたの現在の顧客はあなたにとって“理想的な“顧客像ではない可能性があります。企業はの成長は、内部と外部のステークホルダー同士が互いに長期的なよい関係を作るWin Winの関係を作らないといけません。
そのためビジネスが適切な発展をするために“適切な”顧客を惹きつける必要があります。自社製品サービスに“不向き”なユーザーに強引に自社製品やサービスを購入してもらうと、購買後のサービスなども予期しない方向へと動き始めます。このような状態はお互いにハッピーではありません。一時的な売上の計上は出来たとしても、サポートコストや営業コストが逆に膨らんでいることにも繋がります。そして一度、解約した企業は悪い印象を持ったままの状態で放置されてしまいます。
このような事象が頻繁に発生する企業は、(自社の製品やサービスレベルが低い場合を除いて)顧客の正確なターゲティングができていないケースが殆どです。 本当に正しい顧客、特に自社にとって理想的な顧客を正しく捉えている企業は意外と少ないものです。
その理由の一つに、理想的な顧客になる見込み客を見抜く、ずば抜けた能力の高いセールスチーム(従来のプッシュ型)と、ずば抜けた能力を持っているマーケティングチームが多くの企業内にいないことがあります。つまり、“営業チャンスを逃すわけにはいかない”という姿勢で全てのセールスチャンスに飛びついてしまい、結果として理想の顧客像でなくても製品やサービスを売ってしまう、ということが多くあるのです。
本記事では、上記のような状態を脱して、より理想的な顧客像(ペルソナ)を惹きつけたいとお考えの方へ、どのようにして理想の顧客像を惹きつけるべきかをお伝えします。
自社の理想的な顧客像を把握できていますか?
まず、自社のウェブサイトを見ながら以下の質問に答えることができますでしょうか。
- あなたの会社がB2Bの場合、あなたの理想的な顧客像(担当者)はどのような人ですか?
- その担当者が所属する企業はどのような企業サイズでしょうか?どのような業種でしょうか?
- あなたの会社がB2Cの場合は、どのような消費者たちなのでしょうか。
- B2B、B2C、NPOのいずれかに関わらず、自社のウェブサイトを見てどのような人がターゲットになっているか明確にわかりますか?
- 現在あなたの会社の全体顧客数のうち、理想の顧客数は何パーセントくらい存在していますか?
これらの質問は、どれだけ自社が明確に理想的な顧客像を捉えているかを把握することを確認できます。例えば、ユニリーバの企業ページ(B2C)をご覧ください。
こちらのコンセプト(英語)や画像の雰囲気から様々なことが伝わると思いますが、いかがでしょうか。
“児童が元気で笑顔で何かに向かって走っている(おそらく発展途上国)”などというところから、“弱い立場にいる子供などを気にかける立場にある親達や、持続可能で健全な社会を実現することに共感する人たち”が顧客像になっている可能性がある、と想像することができるかと思います。
また、下記事例ではHubSpotのマーケティングプラットフォームを紹介するページです。
こちらのコンセプト(英語)もですが、“マーケティングソフトウェアがオールインワンである“というところと、”男性がパソコンを叩いている“ところから、”実際にマーケティング担当者が、オールインワンツールを使うイメージを植え付けています。しかも、軽やかに独りでマーケティングを切り盛りしているイメージです。そして、オールインワンでないツールを使っている人たち”が顧客像ではないかと想像つくかと思います。
このような形で、企業側が自分たちのメッセージを明確な形で届ける(表現する)ことによって、理想の顧客像を惹きつけることの第一歩が始まります。仮に上記の例(一流の企業ですのですべてが同じレベルになることは難しいですが)のようになっていない場合、以下の のようなステップを自社内で検討してみる必要があるでしょう。
理想的な顧客像を惹きつけるためのステップ
1. 顧客視点から自社の製品サービスの定義を決める
自社の製品やサービスは何を理想の顧客像に提供していますか?例えば、その顧客像のどういった問題を解決することに貢献していますでしょうか。どういったことに対して理想の顧客像は満足していますか?どのようにあなたの製品サービスが、理想の顧客像の生活や仕事環境にプラスの変化をもたらしますか?
2. 自社の製品やサービスの販売対象となる理想の顧客像を定義する
理想の顧客像の性別、教育レベル、仕事、役職にどのような傾向がありますか?どれくらいの収入があって、どのような金融資産を持ち合わせていますか?仕事やプライベートでどのような状況にいる人たちでしょうか。ROIをどれくらいもたらす顧客が理想的ですか?また、B2B企業であれば、その企業はどのような経営課題を抱えていますか?
3. あなたの製品サービスが購入される理由となる特定のメリットを定める
自社が提供する価値の中で、あなたの理想の顧客像が最も価値を感じてくれることはどのようなことでしょうか。もっともあなたの製品サービスが、そのニーズを満たすことができることはどのようなことでしょうか。なぜあなたの理想の顧客像は、なぜその製品サービスをあなたから買わないといけないのでしょうか。なぜ競合企業からではないのですか?
4. あなたの理想の顧客像が物理的に存在している場所を絞り込む
地理的にどのエリアにあなたの理想の顧客像が住んでいますか?その顧客像の仕事場と、居住エリアはどこでしょうか。あなたの製品やサービスを購入するとき、あなたの理想の顧客像はどこで購入をしますか?オンラインですか?オフラインですか?地理的な情報は購買に起因していますか?
5. あなたの理想の顧客像があなたの製品やサービスを購入するタイミングを絞り込む
あなたの製品サービスを購入する際に、何が決定的なきっかけになってどのタイミングで購入をするのですか?どのような決算期のタイミングですか?いつが特定の期間なのでしょうか。
以上の質問を理想的な顧客像を把握しているセールス担当の方や、サポート担当の方達と密に話をすることが重要です。
理想的な顧客像に対する共通認識を持つことは、社内全体すべての部門で必要なことです。何を行うかをセールスやマーケティング部門で共通性を持たせることにつながり、理想的な見込み客の獲得から、理想的な顧客へと育成することが行いやすくなり、さらには顧客化したのちも、あなたの会社を推奨してくれる顧客へとなってくれる可能性が高まります。
逆に理想的な顧客を規定できていない場合には、販売後のコストが膨れ上がったり、悪い評判が伝わったりと大きなダメージを受けることに繋がります。
それ故、まずは理想的な顧客像を絞り、すべてのマーケティングや販売の企画や施策の指針とすることが非常に重要ということです。