先日お伝えした記事に“理想の顧客像を惹きつけるためにすべきこと”というブログ記事をご紹介しました。
そちらの中で、ずば抜けた営業力と、ずば抜けたマーケティング能力を持っていない企業によくある問題点として、営業チャンスを逃すわけにはいかないという姿勢で全てのセールスチャンスに飛びついてしまうケースが多い、とお伝えしました。
そのようなケースで製品サービスを販売してしまうと、顧客のニーズと製品サービスの提供する価値が見合わず、顧客満足度が高くない状態が続き、サポートに過剰なコストがかかってしまう、アップセルやクロスセルがさらに難しくなる、さらには値引きや契約の解除へつながる状態を起こすことが多くあります。
そのような事態を避けながらビジネスが適切な発展を行うためには、“適切な”顧客を惹きつける必要があります。 そして、そのためには“適切”なタイミングで見込客に対して自社の製品やサービスが提供する価値を理解してもらえるようなプロセスを考えていく必要があります。
現在の消費者は非常に強い購買力を持っており、企業側が製品サービスに関する情報やコンテンツを自社の中だけで持っていた時代ではなくなってきています。インターネットにアクセスできる端末の発展により かつてないほど、消費者側が自ら情報を摂取することが可能になり、情報を出している企業こそ“信頼感をおける企業”と消費者に見られる傾向もあります。それとは逆に情報を出していない企業はマーケットに参戦していないに等しいことになるでしょう。
それ故、見込客に対して適切な情報を提供することが自社の発展につながり、信頼に価する企業へなりうる可能性が高まり、結果として顧客との良い関係を作ることができるのです。
本記事では、上記のような状態を脱し、自社にとってよりよい顧客を惹きつけるための流れをなぜ作るべきかをお伝えします。
理想的な顧客像の購買の流れを理解できていますか?
自社の理想の顧客像の購買の流れを述べることはできますか?おそらく、マーケティング担当者の方たちは、展示会、セミナー、トレードショー、PR記事、オフライン広告、オンライン広告経由から流入した見込客をセールスに渡してしている、それが購買の流れである、と大まかに感じてはいないでしょうか。
実はその回答は正解です。ただし、極端な言い方をすると正解だったのはここ数年前までだったかもしれません。多くのマーケティング担当者、セールスの人たちが気づき、リサーチを行っているように現在の購買のプロセスは大きな転換期を迎えており、消費者が情報収集を行い決断を下すまでのそのプロセスは約60%がネット上で済まされている、と言われています。
こちらは米国のセールスコンタサルタントのTom Martin氏の作成資料で、彼の調査では、米国人の70%が購買を考える前に何かしらのレビューをオンラインで確認し、その購買のプロセスの57%をセールス担当者に接触する前に終了させている、と述べられています。
こちらのデータは平成23年の調査結果でEコマースに関するものですが、日本の消費者がどれだけネットからの情報を参考にし始めているかを考慮すべき参考となるデータです。もちろん、B2BやB2Cなどによってその比率が上下し、業種、業態によってもその数字は変化します。
展示会やトレードショー、セミナーなどのオフラインの消費者の購買の活動を理解することは非常に重要です。しかし、同時にマーケティング担当者は消費者がセールス担当に接触する前の情報をこれまで以上に把握し、オンラインとオフラインの購買の行動を理解したマーケティング施作を行わなければならなくなってきたと言えるでしょう。
またセールス担当の方たちも同様に、自分たちに接触してくる消費者たちはこれまで以上に情報を手元に揃えた状態であなたとの対話を望んできます。マーケターにしてもセールス担当者にしてもそのことを深く理解しておかないと、消費者はあなたの会社を“見当違いなサービスをしてくる企業“とみなしてどこかよその会社へと意識を向けることになるでしょう。
そのような状態になることを防ぐために、このブログでは主にオンラインでの施作に注力を置き説明をさせていただきます。仮にあなたのウェブサイトが下記のような状態でしたら、早急にオンラインでのマーケティグ施作を消費者の購買行動の変化に合わせて最適化していく必要があるでしょう。
- 自社に直接関係しそうなキーワードを用いて出稿している広告からのリンク先が自社ウェブサイトのトップページにつながっている
- 自社ウェブサイトが会社概要を説明するようなサイトになっている
- 自社ウェブサイトが製品サービスの製品カタログのようになっている
- 自社ウェブサイトがモバイルフレンドリー(レスポンシブ対応)になっていない
- 自社ウェブサイトにあるウェブ訪問者とのコミュニケーション手段が「問い合わせはこちら」だけになっている
- 獲得したリストがセグメント分けされずに一括管理されている
- 獲得したリストを獲得以降、精査されていない状態が続いている
- 獲得したリストを段階分けして管理していない
これらの質問に、「問題ない」と答えることができない場合、あなたのウェブサイト上の施作は消費者の行動に合わせられていない可能があります。
その理由は、先ほどの総務省のデータでもお伝えしたように、ありとあらゆる場面で消費者はデジタルデバイスを用いて情報に接しています。消費者がネット検索を使う理由の大きな理由(というよりほとんど)に、何かしらの疑問を解決したい、というものがあります。つまり、(極端な言い方をすると)理想の顧客像が自社製品サービスに関して調べ得る情報をオンラインで提供しておくべきなのにその状態になっていない可能性が高い、とも判断できるためです。
例えば、インバウンドマーケティングの担当である私は、マーケティングに関する疑問を持つことが多くあります。当然ですがデジタルマーケターですので疑問があったときはネットで検索をします。電車で移動中にスマホから検索にかけたキーワードが「インスタグラムの使い方」だとすると、その瞬間から私は「インスタグラムの使い方」を価値として提供している企業の(まだまだホットではない)見込客となります。しばらく日にちが経ち、私が「インスタグラム コンサルテーション」と入力するとその企業にとっては(結構ホットな)見込客となっている可能性が高くなります。そして私は、ざっくりとしたリサーチを終えて会社のパソコンからさまざまなインスタグラムについてのお役立ち情報を提供しているあなたの会社名を含めて「株式会社XX インスタグラム サービス 内容」と検索することになります。
つまり、その都度サービスプロバイダーであるあなたの会社は「製品カタログ」や「会社概要」だけではなく、「インスタグラムの使い方」や、「コンサルテーションの事例」などを、見込客である私に対して価値のあるコンテンツをウェブサイトに何かしらの形で示しておかないと、インバウンドマーケターである私はどこか他のサイトへ行ってしまいます。
購買を検討していない人たちに対して製品カタログ的なウェブサイトを見てもらい購買を促す必要性はありません。上記のチェック項目に該当する件数が多かった場合、極端に例えると、「家電量販店のAppleコーナーにふらっと入ってきた人に対して、iPhone6s Plusの64GBのRose Goldと16GBのSilverとの価格比較表を目の前にちらつかせている」のと変わりません。家電量販店にふらっと入ってきた人は、「Apple TVが自宅のテレビでみられるかどうかを確認しに来ただけ」かもしれないのに、です。
こちらはHubSpotの例ですが、始めてウェブサイトを訪問した人が見る画面が左(Say Hello to the New HubSpot)という挨拶のようなメッセージ見えているのたに対して、右の画面(Hi Jane, Welcome Back)と異なるメッセージを見せています。
このような形で、企業側が自分たちのメッセージを明確な形で、見込客の状態に合わせて表現することによって、「あまり好ましくない顧客」に自ら離れてもらい、さらには「理想的な見込客」からより多くの信頼を得ることができるようになります。
マーケティングファネルに関する記事はこちら:“マーケティングファネルとTOFU、MOFU、BOFU施作のポイント”)
これは従来のマーケティング施作に多くあるセミナーや展示会を通して獲得したコンタクト情報をデータベースに移動した後も同様です。単純にセグメント情報で分けるのではなく興味別かつ興味の度合い別に分けて、一斉メールではなく、個別の課題やニーズにフォーカスした情報を届けないと、あなたの見込客はあっという間にあなたへの価値を感じなくなってしまします。
そのような事態を避け、理想的な顧客像を惹きつけるには理想的な顧客像があなたの製品やサービスに対して価値を感じるポイントと流れを理解してオンラインとオフラインの施作を進めていく必要が今後さらに高まってくるでしょう。