マーケティング

DMP、DWH、DataLake、BIなどマーケティングのデータ活用トレンドと成功への道

ビジネスやマーケティングがデジタル化するにつれて企業が保有するデータは急速に増え続けています。そして、それらのデータを活かしきることが企業成長や競争力確保に必要不可欠です。そのためにそれらビッグデータを活用するためのDMPやDWH、BI、人工知能/機械学習などが盛り上がりを見せています。

マーケティングの世界では「データドリブン」という言葉が広がりました。高度にデジタルマーケティングを推進する企業は、データ主導の施策へと変換するためにプラットフォームを整え、さらにそれを高度に活用していくフェーズに入っています。

この記事では、昨今の企業のデータ活用に関する実態を解説していきましょう。そして、今後データドリブンなマーケティングへと変遷するためのポイントをご理解いただけたら嬉しいです。

データ活用の障壁を理解する

データをビジネスの中心に据えるためには、まずその仕組みを構築しなければなりません。そして、最初に考えるべきはデータの蓄積場所です。この蓄積場所がしっかりしていないと活用までたどり着けません。

企業には活用可能なデータが数多く存在します。たとえば、Webアクセスログ、行動履歴データ、アンケートデータ、購買データ、顧客データ・・・などが存在します。

しかしこれらは個別のデータとしてバラバラにサイロ化された状態で存在し、必要とする個々のアプリケーションや関係する部門が管理をしたり、活用をするのがこれまでの実態でした。

たとえばアクセス解析のデータはGoogleアナリティクス、行動履歴データはマーケティングオートメーションツール、アンケートデータはMicrosoft ExcelやSurvey Monkyなど、購買データは販売管理システム、顧客データはCRMなど、アプリケーションや担当者ごとにデータがバラバラとサイロ化されている実態があったのです。

しかしこうした状態だと、総合的なマーケティングができないことを理解するべきでしょう。つまり、これらのデータを連携・統合させるための仕組みが必要になるのです。

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データを統合して格納する仕組みが必要

上記で説明したデータを活用するためには「連携」もしくは「統合」という2つの方法があります。前者はアプリケーション間を連携して利用するケースです。後者はデータの格納場所を1箇所に統合するケースです。

連携は、簡易のケースでは向いていますが、データが増え続ける中でしっかりと施策を講たい場合にはデータを一箇所にまとめる統合が必要になってきます。

そのような背景からデータを一つの場所に集めていく統合の動きが広がりました。

Data Lake(データレイク)とは?

このデータの保管場所は一般的に「Data Lake(データレイク)」と呼ばれます。文字の意味は「データの湖」ですから想像しやすい言葉と言えるでしょう。データレイクは、規模にかかわらず、すべての構造化データと非構造化データを保存できる一元化されたリポジトリです。さまざまなデータソースから集められたデータを管理し活用するための前処理を行える環境と捉えるとわかりやすいでしょう。ちなみにデータをそのままの形で保存できるためデータを構造化しておく必要がありません。

DWHとDMPの違いと役割

これを整理したデータの入れ場所が「DWH(データウェアハウス)」です。さらに変換や外部データ活用、施策への連携などの機能がついたものが「DMP(ディーエムピー)」と呼ばれています。

この3つ(データレイク、DWH、DMP)は必ず必要なわけではありません。たとえばDMPがDWHの役割を果たしている場合もあり、両方はそもそも必要ないケースも多々あります。

要はデータの格納、それを活用できるように変換していくことまでが出来れば良いのです。

データを活用する

データを蓄積したら、保存しておくだけでは宝の持ち腐れになってしまいます。それをどう活用していくかが企業活動において最大の鍵となります。

これにはDMPの役割である変換が大きな意味を持ちます。データを変換することで、さまざまな施策を行う外部ツールとの連携ができるようになるのです。

データの活用には、大きく次の二つがあります。

  1. アナリティクス(分析)
  2. アクション(販促や接客、セールス)

BIツール

1で主流なものはBIツールです。もっとも多く使われているのは「Tableau」でしょう。最近ではマーケティング活動にDOMOを用いるケースも結構見受けられます。また、マイクロソフト製品でビジネスソフトウェアを統一している企業ではPowerBIなどが用いられます。

また、アプリケーションがもつBI機能を活用するケースもあるでしょう。たとえばHubSpotやMarketoなどのMAツールにも統合されたBIツールは包含されていますし、Oracle NetSuiteといったERP製品にもBIツールは包含されています。ただしアプリケーションに包含されているBI機能は元のデータが限定されることになります。

さらに、ごく一部ではOracleやSQL ServerなどのリレーショナルデータベースからSQL言語を用いてデータを抽出し、それをおのおので分析をしているというケースもあります。昔はOracleのSQL*Plusを起動してSQLを直打ちしていたものですが、このケースは年々減っています。

これらを踏まえると一般的にはデータ分析はBIツールが活躍すると理解すると良いでしょう。

Webアクセス解析ツールの役割が変わる

それらを考慮するとGoogleアナリティクスやAdobeアナリティクスなどのWebアクセス解析はレポートを見たり解析するためのものではなく、ごく一部のWebアクセス履歴のデータを収集するという位置付けが濃くなってきます。

これらのデータをDMPなどに供給するということになるのです。

アクションの中心はMAツールなどマーケティングツールが主流

そして、アクションの中心になるのがマーケティングオートメーションです。

マーケティングオートメーションというとメール配信をイメージされることが多いですが、コンテンツを使った施策などさまざまコミュニケーション形態があります。また、個々のユーザーの行動に合わせたアクションをしながらも分析もしていけます。

マーケティングオートメーション以外にも「KARTE(カルテ)」に代表される接客ツールや、チャットボットを入れる企業も増えています。きめ細かな成果のでる広告配信を検討する場合にはパブリックDMPの利用も不可欠です。

統合マーケティングプラットフォームへのステップ

そして、これらを同じデータ基盤(プラットフォーム)のうえで動かすことがポイントになります。

実際の導入ステップは以下のようになります。

  • Step 1. 会員、購買、アクセスログ、販売データ、顧客データなど活用可能なデータの把握
  • Step 2.データを一か所にためる場所、機能(DataLakeやDWH、DMPなど)の実装
  • Step 3.TableauやDOMO、PowerBIなどのBIツールの実装
  • Step 4.マーケティングオートメーションやDMPなどとの連携および施策の実装

失敗しないためのポイントは周到な準備

まずはDataLakeなどデータを格納する場所、あるいはBIツールなどの分析、マーケティングオートメーションのようなアクションの機能については、多くの製品の中からよく比較検討することが重要です。

むしろデータを活用するのに大切なのは、その準備です。特に各種データを横断的にまとめあげ、一つのデータに紐づけることが企業のデータ分析には大切です。

アクセス解析ツールに実際の会員IDやメールアドレスなどを紐づけ、そのユーザーの記録と捉えるようにできることが先決です。

もしもデータが一意のIDで結びつかない場合には、早急にその準備をするようにしましょう。

データ活用はパーソナライズが基本

分析、施策の実施の両方に共通するのが、全体ではなく個人を対象にしていくという点です。

先ほどの一意のIDとの紐づけがそれにあたりますが、より具体的に実際の活用について見ていきましょう。

以前の分析は、サイトのセッション数や1訪問あたりのページビュー数、よく見られているコンテンツなど「全体の動き」を確認するものでした。

しかし現在の分析は、コホートやセグメント単位で見て行くことが中心です。さらにそれをカスタマー一人ひとりに絞っていくようになっています。つまりユーザーを深く知り、それぞれに適切な施策を行うOne To Oneマーケティングをテクノロジーを駆使して行う方向性です。

どういったユーザーが存在し、その人たちがどのようにサイトを利用しているかを見ていくことで、各々のユーザーに最適な体験を提供できます。

しかしそれを実際に施策として実行する場合に人の手でおこなっていてはとても追いつけるものではありません。そこで必要になってくるのが、マーケティングオートメーションなどの自動化ツールなわけです。

サイトの動向や商品の売上といったモノの分析ではなく、カスタマー(顧客)を分析していくこと、またその一人ひとりに最適な体験を提供するのが、昨今のデータ利用の中心になっています。

最適なアーキテクチャーの選定ポイント

導入にあたって気を付けたいのが「どういったツール群を選び、組み合わせていくか」です。先ほどDataLake、DWH、DMPで機能が重なるケースも多いと紹介しました。

こうしたデータの蓄積だけでなく、現在のDWHやDMPには分析機能や施策の実行機能が充実しているものが数多くあります。一般的にはマーケティングオートメーションとして知られているツールの中には、実際にはDMPをベースにしているものもあります。

こうしたツールを導入しているのにDWHやDMPを別に据えると、二重コストになる可能性もあるので要注意です。

またストレージ側ではなく、データを活用する実行ツールについてもそれは同じです。最近は単一の機能だけでなく複数のことができるツールが増えていますが、その一つでやりたい施策をすべて実行できるのに、別のツールを導入して余分なコストが発生しているというケースも目立ちます。

昔のように単機能のツールを選ぶというわけにはいきません。検討にあたっては専門知識が十分にないと、難しい面が多くあります。

そのため導入にあたっては専門家を入れ、自分たちのやりたいことを整理して、そのうえでどういったツールを選び、どう組み合わせていけばやりたいことが実行できるかを考えるような取り組みが必要不可欠と言えるでしょう。

アナログの販促は時代遅れ、デジタルの施策は頭打ち?

データ利用にあたっての大きな問題が「サイロ化」です。サイロ化とは冒頭でも少し触れたように、システムや業務が部門ごとに分かれて連携することがなく、個々に存在してしまっている状態を指します。

データそのものが分断してしまっている問題については、これまでに紹介してきた方法を使い技術的に解消することが可能です。

厄介なのは、実は部門間の連携がないことかもしれません。縦割りでうまくいかない企業は結構存在します。こうした部門間の調整についてもデータ担当者が動いていく必要があります。そのためには組織自体の見直しをおこない、横断的な存在となる部署も必要とされるケースもあるでしょう。

大がかりな話のようですが実際にデータ活用がうまくいっている企業はこうした部分にも着手しています。

マーケティングデータの活用で成功した事例

一例をあげると、あるメーカーはDMなどのアナログの販促、テレビなどオフライン広告を扱う広告部門とのデータ統合をして一緒に活用することで、目覚ましい成果を上げました。この企業の場合もそうだったのですが、デジタルマーケティングとオフラインの販促、広告部門が完全に分かれて連携がないというケースは少なくありません。しかし組織とデータを横断して活用できるようにしたことで、DMでの成果は例年の二倍近くになったといいます。

オンライン、オフラインに関わらずカスタマー単位のデータを作り、それをもとにしたDMを作成することで、目覚ましい成果を上げることができたのです。

昨今はアナログの販促は時代遅れ、先進マーケティング企業のデジタルの施策は頭打ちといった声も聞かれますが、手段を限定せず顧客データをもとにする取り組みをすることで今まで以上に効果が出せるのです。

まとめ

データをためること、変換して分析や施策の実行へと持って行くというテクニカルな話題から、最後は組織の見直しという大きな話まで紹介してきました。

組織変革まで必要なのかと大層に聞こえるかもしれません。

しかしWebやデジタルマーケティングの担当者は、結局のところそうした役割まで担っていく必要があるというのは、数年前からいわれていたことです。

HTMLやデザインの知識があってサイトの運営ができる、あるいはアクセス解析ツールが扱えてレポートが作れる、Web広告の知識があって管理画面から運用ができるというだけだと、今後は厳しいといわざるを得ません。

現在、多くの企業がデータを中心にしていくという機運が高まっています。これをチャンスととらえ、担当者も大きな視点に立ってビジネスに関わる存在となることが求められています。

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