マーケティング

マーケティングオートメーションの弱点を補うネット広告の種類と現状

マーケティングオートメーションは、マーケティングのやり方を大きく変えました。今まで手動で行なっていた施策が自動化されるわけですからマーケティング担当者の労力は省力化されるだけでなく、マーケティングオートメーションがもつ機能を活用することで今まで以上にきめ細かな活動ができるため目標達成に大きく貢献できるようになります。

マーケティングオートメーションの導入によりユーザーごとへの訴求や施策、そしてデータ活用が進んだことは大いなる進歩といえるでしょう。

しかし、マーケティングオートメーションツールには弱点があります。それは新規の集客、個人情報を入力したリード獲得までの匿名状態でのナーチャリングは弱いということです。

これを補う大きな方法として、広告があります。

この記事ではインターネット広告の種類を解説するとともに、その現状についても紹介していきましょう。

マーケティングオートメーション

マーケティングオートメーションの弱点

よくマーケティングオートメーションを導入すればリードがザクザク取れる、問い合わせがドンドン増えると勘違いしている人もいまだにいるのは残念ではあります。マーケティングオートメーションは今までやっていたことを自動化することに向いているものであって、要するに今までマーケティングをしていなかった人には、その機能を使い切るための戦略が必要となります。

そして、マーケティングオートメーションは、何らかの方法で個人情報を伴うリード情報を獲得してからが、大きな強みを持ちます。

BtoBサイトであれば、資料のダウンロードは代表的な方法です。たとえば最新の医療技術を解説したコンテンツに、その技術に関連した医療機器のパンフレットのダウンロードを設置することで、企業名やメールアドレスなどを入力してもらいます。こうしてリード情報が手に入れば、そこからはそのユーザーに合わせたメールを配信していくなど、マーケティングオートメーションの強みが存分に発揮されます。

しかしそこにいたるまでの新規訪問、リピート訪問を促進することは一般的なマーケティングオートメーションツールには備わっていません。

そこで大切になってくるのは、これから紹介するインターネット広告です。

【動画】マーケティング担当者必見!スタートアップCEOと考えるCXの未来

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新規獲得のための広告

それではネット広告について、具体的に紹介しましょう。一般的な知識とともに、その広告の現状についても記載していきます。

リスティング広告

ネット広告を代表する、運用型広告です。

ここでは主に検索連動型広告、つまり検索結果ページに表示される広告について紹介していきましょう。代表は、次の二つです。

  • Google広告
  • Yahoo!プロモーション広告

検索エンジンのシェアはGoogleが主流になり、今は日本国内で7割ほどと考えられます。

昔だとノウハウをもった運用者により、細かく調整をしながら広告運用をするのが有効でしたが、現在は自動化に任せた方が良い結果が出ると言われています。

リスティング広告はユーザー自らが検索行動をおこすことで表示されますので、購入意欲が高い集客が見込めるというのが定説です。またクリック課金なので発生分しか費用が発生しないというのもメリットとされていました。しかし現在は多くの業種でクリック単価があがってしまっているので、費用対効果は低いケースが増えています。

Google広告では、検索連動でも「購買意向の強いユーザー層」へのターゲティングが可能になっています。今後は検索すべてに広告を表示するのではなく、ターゲットをしぼっての表示が重要になりそうです。

ディスプレイ広告

ディスプレイ広告は、大きく次の3つに分類されます。

  • Google広告
  • Yahoo!プロモーション広告
  • その他のDSP

優先順位としてGoogleとYahoo!に出稿し、それ以外のDSPを検討してみるというのがいいでしょう。やはりGoogleとYahoo!の配信面は強みです。

ディスプレイ広告はオーディエンスデータをどう使うか、組み合わせるかがカギになります。また検索連動型広告に比べるとcpcも安いので、リード獲得に導くという狙いがしっかりしているなら、ディスプレイ広告の方が費用対効果は高いかもしれません。

画像も入ったディスプレイ広告はブランディング、認知度アップ向きともいわれてきましたが、マーケティングオートメーションと組み合わせてもその強さが存分に発揮されそうです。

SNS広告

リスティング広告と並びニーズが高いのが、SNS広告です。実際にグローバルな広告市場でみるとGoogle広告とFacebook広告が二分しています。

SNS広告で押さえておくべきは、次の4つです。

  • Facebook広告
  • Instagram広告
  • Twitter広告
  • LINE Ads Platform(LINE広告)

グローバルな市場ではFacebook広告と書きましたが、日本はTwitterがかなりの勢力を持つ国です。ですからTwitter広告も検討すべきでしょう。そしてLINEも重要なのは、いうまでもありません。

FacebookとTwitterはよく年代による利用層の違いが引き合いに出されます。しかしそれだけでなく、利用者の性格も違っていることがわかっています。

SNS広告の強みは精度の高いターゲティングですから、こうした各メディアの特性を踏まえ、出稿するものを選んでいきましょう。SNS広告はコンバージョンへ直結というのではなく、拡散され広がっていくことも強みです。

動画広告

テキストやバナーではなく、動画を使った広告です。

すぐに思い浮かぶのはYoutube広告ですが、SNS広告でも素材としては動画が多く使われるようになっています。

動画広告の強みは何といっても訴求力の高さです。一般的には テキスト<画像<動画という順と考えていいでしょう。

Youtube広告も以前はテレビCMのような作りや、とりあえず動いていればいいというものが多く見られました。しかしスキップされてしまうと終わりなので、最近はネット向けについ見てしまう、話題にしたいというものが増えてきました。動画の企画やクリエイティブが、ずいぶん上がった印象です。

アプリ広告

出稿先として、ネイティブアプリも欠かせない存在になりました。

アプリのダウンロード促進もそうですが、Webサイトへの誘導という面でも力を発揮します。

対象となる業種にもよりますが、大手のニュースアプリや乗換、天気アプリなど普段よく使われるようなものだとリーチも多くあり、効果的です。

匿名時点のナーチャリング

次はサイトに訪問したユーザーを、リピートさせるのに有効な広告です。

リマーケティング広告

Webサイトに訪れたユーザーに対して、再訪を促す広告です。こちらもGoogle広告、Yahoo!プロモーション広告がメインとなります。

リマーケティングではCriteoも有力な選択肢ですが、直接コンバージョンを取ることを目的にはしていませんので、広告メインの販促ほどの優先度はなくていいでしょう。

形式としてはディスプレイ広告が主になりますが、Googleの検索連動型広告やYoutube広告でもこの配信方法が使えます。

また単純に訪問者に広告を表示させるのではなく、表示の間隔や頻度が肝になります。そのサイトの特性に合わせて、この部分の設定はおこなっていきましょう。

DMPを利用したDSP広告

新規獲得の中で、ディスプレイ広告の一つとして記したDSP広告ですが、DMPを利用するという点が違います。

ここでいうDMPは、自社のデータを用いたプライベートDMPを指しています。データで一番価値が高いのは自社データ、つまりファーストパーティーデータです。

多くの広告面にこのデータをもとにした配信をおこなうことで、再訪を促していきます。

これとパブリックDMPと呼ばれる趣味、嗜好などによるサードパーティーデータを組み合わせる手法が、これまでは多く取られていました。

現在は出どころがはっきりしているセカンドパーティーデータとの連携の方が注目されています。たとえば電機メーカーAが自動車メーカーBのデータを利用する、といったことなどです。

カスタマージャーニーに広告の組み込みを

以上のように、複数のネット広告を紹介してきました。

中には「アフィリエイト広告がない」といった意見も出るでしょう。アフィリエイトは成果が出ないと、アフィリエイターに報酬が支払われません。リード獲得までの新規誘導と匿名段階の再訪という取組みだと報酬の設定が難しいため、ここではあえて外しました。

このように広告はビジネス戦略、戦術により使いわけていく必要があります。以前はこれが広告プランニングという個別の枠組みでしたが、マーケティングオートメーションなどを利用してデジタルマーケティング全体の計画を練る場合には、広告という枠だけでは狭すぎます。ですからカスタマージャーニーの中に、広告も組み込むのがおすすめです。

最初の接点、継続してのリピート施策として広告も組み込んでいきます。カスタマージャーニーは事業都合ではなく、ユーザーを中心に作成していきますから、ユーザーに対して最適な広告の選択もできるはずです。

個人情報を入力したリードの獲得までを目指すという意味では、新規獲得よりも匿名時点でのナーチャリングに使う広告のプランニングの方が、重要かもしれません。

メインはリマーケティング広告になりますが、「リーチ」「リセンシー(間隔)」「フリークエンシー(頻度)」というところをしっかりとカスタマージャーニー上で検討します。そうすることで実際の広告設定にも反映できます。

なおこの記事は広告をテーマにしていますので触れていませんが、マーケティングオートメーション以外の接客ツールなどもカスタマージャーニーに組み込むようにしましょう。

つまりはツールやインバウンドマーケティングの原則にこだわらず、その接点ごとでユーザーが何を望むか、どういったものが効果的かを検討するのが大切です。

まとめ

Hubspotはインバウンドマーケティングを基本にしていますが、広告を一切使わないことを推奨はしていません。実際にHubspotには広告連携機能がありますし、リード獲得までのステップでは広告利用も有効と考えられています。

インバウンドマーケティングが日本に上陸し、コンテンツマーケティングが盛り上がった時期に広告は否定される傾向もありましたが、今なお有効なのは変わりありません。

問題はリスティング広告のように費用対効果が落ちていること、マス広告と同じ運用、クリエイティブでは敬遠されてしまうという点です。

本文中でも多く触れていますが、現在のネット広告はデータの活用が肝です。

これをおこなえばユーザーごとに適切なタイミングで、必要な内容が表示されます。つまりインバウンドマーケティングに近しい体験が、広告でも実現されるのです。

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