“マーケティングオートメーション元年”となった2015年から1年余り、2016年には国内のプレイヤーも活発化しており、勢いを見せているのがマーケティングオートメーションです。
「取引先や競合先が導入した」「社員から導入の勧めがあった」
マーケターでなくとも、マーケティングオートメーションの市場拡大をひしひしと肌で感じているのではないでしょうか?
なぜ、マーケティングオートメーションはここまで重要性が高まっているのか?市場規模からその理由を探っていきたいと思います。
国内におけるマーケティングオートメーションの認知度
2014年末と少し古いですが、NTTコムリサーチが行った調査コムリサーチが行った調査によるとマーケティングオートメーションを認知しているのは全体の約45%。従業員数100名以上の企業となると60%を超えます。
つまり企業規模が大きいほどマーケティングオートメーションを認知していることがわかります。さらに認知者全体で「マーケティングオートメーションに興味がある」と回答しているのは約55%にも上り、これだけでも重要性の高さを感じるのではないでしょうか。
上記の調査から1年以上経過した現在では、確実に認知が拡大し、重要性もさらに増しているのではないかと思います。
実際に「マーケティングオートメーション」というキーワードを皆さんの周囲で見聞きすることが多くなっていると思います。
国内におけるマーケティングオートメーションの市場規模
MarketsandMarketsによると世界のマーケティングオートメーション市場は年率8.55%で成長し、2019年には約55億ドル(約5,589億円:1ドル=101円計算)にまで上ると予測されています。
そして国内のマーケティングオートメーション市場は2019年に490億円に上ると言われています。この数字はなんと「男性用スカルプ用品業界」とまったく同じ数字です。
日本人男性は4人に1人が薄毛で悩まされていると言われているので、その男性用スカルプ用品業界と同じ市場規模というだけでマーケティングオートメーションの重要性の高さがうかがえます。(例えが悪いかもしれません。すみません)
しかし、2014年の市場規模326億円から5年間で約50%の拡大というのはやはり驚愕の数字です。何より国内においてマーケティングオートメーションが認知されだしてから、まだ数年程度。ここまでの成長率はやはり多くの企業がデジタルマーケティングに力を入れ出したからと言えます。
世界のプレイヤーを再確認してみましょう
皆さんは世界中で最も選ばれているマーケティングオートメーションをご存知ですか?以下の統計はリード発掘ツールとして世界中で利用されているDatanyzeの調査によるデータです。
引用:Marketing Automation market share in the Datanyze Universe
- Hubspot(ハブスポット)
- Marketo(マルケト)
- Pardot(パードット)
- Dmandforce(デマンドフォース)
- Active Campaign(アクティブキャンペーン)
世界のマーケティングオートメーションシェア1位はHubspotで、全体の29.5%を占めています。つまり世界企業の4社に1社以上がHubspotを使用しているということですね。
さらに同ページで閲覧できるユーザー数推移についても見てみましょう。
引用:Customer migration analytics in Marketing Automation
2016年8月の各製品におけるユーザー数推移は、Hubspotが純増数2,614ユーザーで1位です。近年国内でのHubspot導入数が急増しているのでそれが関係しているかもしれませんね。
なぜHubsoptはここまで多くのユーザーに選ばれているのでしょうか?
Hubspotが世界中で選ばれている理由
まず正確に言うと、Hubsoptはマーケティングオートメーションではなく「インバウンドマーケティングプラットフォーム」として位置付けられています。この違いはマーケティングオートメーションよりも幅広い領域をカバーしているという点です。
一般的なマーケティングオートメーションはシナリオ設定によるマーケティングの自動化や、リードスコアリングによるホットリード抽出などの機能を備えています。つまりマーケティング領域におけるマーケターの負担を軽減しつつ、より広い範囲へとマーケティングを展開することができるのです。
これに対しHubspotでは、CMSやSEOチェック、ソーシャルメディア、ランディグページ作成などインバウンドマーケティングに必要な機能をオールインワンで提供しています。もちろん、マーケティングオートメーションとしての機能も。
実は、現代マーケティングにおいて重要視されているのは何もマーケティングオートメーションとしてカバーできる範囲だけではありません。そもそもマーケティングオートメーションを最大限活用するためにはブログなどのコンテンツが必要不可欠ですし、ソーシャルメディア運用やランディングページなど総合的かつ複合的な施策を展開することが重要です。
マーケティング先進国ではこうした現代マーケティングの本質を理解しているからこそ、インバウンドマーケティングプラットフォームであるHubspotが広く受け入れられているのでしょう。
つまり、Hubspotが国内マーケティングオートメーションシェアNo.1になるのも、時間の問題かもしれません。
マーケティングオートメーションは全てを自動化するわけではない
ここまでマーケティングオートメーションの市場規模からその重要性を探ってきましたが、今後導入予定のある企業に一つ注意を呼び掛けたいと思います。
それは、マーケティングオートメーションは“全てを自動化するわけではない”ということ。マーケティングというのはコンテンツや施策案があってこそ成立するものであり、これらを作成するのはあくまで人です。つまりクリエイティブな部分まで自動化してくれるわけではありませんし、戦略を練ってくれるわけでもありません。将来的には人工知能がすべてを解決してくれるかもしれませんが、現段階ではすべての戦略や施策は人に依存するということです。
加えてシナリオ設定やリードスコアリングにおけるスコア基準など、これらも自らの手で行わなければなりません。従ってマーケティングに深い知識のある人材か、ノウハウのあるパートナーと手を組み、導入する必要があります。あくまでもMAツールに魂を込めるのは人間ということです。
ここ最近では減ってきたかもしれませんが、未だマーケティングオートメーションを“魔法のツール”と誤解して導入する企業が少なからず存在します。SFA(セールスフォースオートメーション)が営業を自動化しないのと同じですね。
そのような企業がMAツールを導入すると超・超高級のメルマガ配信システムになってしまいます。
皆さんはそのような誤解はせず、マーケティングオートメーションの正しい導入を目指しましょう。
まとめ
いかがでしょうか?マーケティングオートメーションはクラウドサービス市場全体においてもかなりの割合を占めており、今後も十二分に伸びていく市場の一つです。その背景にはインターネットの普及や現代マーケティングの変化などが関係しています。
そして10年後には「1社に1台マーケティングオートメーションは必須」という時代が到来しているかもしれません。
そんなマーケティング戦国時代を生き残る企業は、早期にマーケティングオートメーションのノウハウを蓄積していける企業でしょう。ちなみにマーケティングオートメーションは大企業だけのツールではなく、既に中小企業にも広く浸透しています。というよりも広告予算やマーケティング予算、営業リソースが限られた中小企業にこそ必要不可欠であると言えるかもしれません。
皆さんはこの市場規模拡大をどう捉えますか?マーケティングオートメーションに対して腰を上げる時期は、そろそろかもしれませんね。