質の高い新しい見込み客を獲得し、より多く顧客化しなくてはいけないという課題を多くのマーケティング担当者の方達が抱えています。
特に、自社のメディアやWebサイトの運営、有料広告などを通じて誰でも情報を発信することが容易です。そのような環境下の現代では、デジタルマーケターがさらされる競争はさらに激しくなり、日に日にその課題は大きくなっています。
本記事では、そのような課題を抱えるマーケティング担当の方向けに、見込み客を獲得したあとにどのようにより多くの顧客化を図れば良いか、その概念のひとつであるリードナーチャリングについてお伝えします。
見込み客が意義を感じてくれるようなマーケティングをしていますか?
マーケティングの本来の業務は、いかに優良な見込み客を一定期間内に決められた人数をセールス担当の人たちに渡すかということです。前述したように、簡単に情報を発信できる現在では、Eメール情報や氏名などの見込み客の情報を比較的簡単に手にすることができます。
その際に獲得した見込み客は、興味本位、情報収集、明確な購買の意識を持っている、などさまざま状態です。特にマーケティング施作がターゲットオーディエンスに沿った構造をしていない場合は、顧客の状態は多岐にわたるでしょう。
明確に見込み客の状態がわかっていることが理想ですが、そうではない時もマーケティング担当者は見込み客の購買の可能性を十分に高めるまで育て、セールス担当者に渡すことが重要になります。その際にセールス担当者のクローズの確度を高めるために行なうべき概念としてリードナーチャリング(リードを育成する)があります。
リードナーチャリングの定義は色々ありますが、米国のContent Marketing Instituteのホワイトペーパーとして提供されている米国のリサーチ会社Aberdeen groupによりますと、
“Lead nurturing is a relationship-building approach utilising multiple media (email, whitepapers, telecommunication, seminars, webinars, blogs, collateral, speaking engagements, third-party articles) to support the prospects buying cycle with relevant information and engage in an ongoing dialog until qualified prospects are deemed “sales-ready”. ”
(参照元のホワイトペーパーこちら:Lead Nurturing –The Secret to Successful Lead Generation)
意訳すると、
“リードナーチャリングとは、見込み客に関連性のある情報を提供することによって見込み客の購買のサイクルを支えることや、見込み客が”セールスレディ(セールス担当者と対話ができる状態になること)”になるまで対話を行い続けるために、(email、ホワイトペーパー、テレコミュニケーション、セミナー、ウェビナー、ブログ、販促用品、講演会、第3者機関の記事など)複数のメディアを用いて関係性を築くことである”
と述べられています。
つまり、マーケターの本来の役割であるセールス担当者に十分確度の高い状態までもってゆき、セールス担当者に見込み客を渡すこと、とおおよそ同等の意味合いを持っています。
それ故、リードナーチャリングの概念に沿った方法をとることにより、マーケターは会社の売り上げに貢献可能な見込み客を獲得し、獲得した見込み客を十分に育て、セールス担当の人たちに十分に育成された見込み客を渡し、セールス担当者の人たちが育成された見込み客との商談を成功させ、マーケティング担当は会社の売り上げと成長に貢献をすることができる(しなくてはいけない)、ともいうことができます。
リードナーチャリングを正しく行うと様々な効果が期待できます。
例えば、
- 質の高い状態の見込み客をセールス担当者にわたすことができる
- セールス担当者がセールスを行わなくてはいけない期間(セールスサイクル)を短くすることができる。
- コミュニケーションをより行いやすくなる(アウトバウンドな要素が減る)。
- アップセルやクロスセルの可能性が高まる。
- 見込み客からのエンゲージメントが増え、見込み客の周辺に新たな見込み客が生まれる。
などの、可能性を秘めています。
では仮にそうした場合、Webサイトなどに訪問者した人たちをどのようにセールス担当者に渡すことのできる、より質の高い見込み客へと転換すればよいのでしょうか。
リードナーチャリングを適切に行うためのステップ
まず、大前提なのがリードナーチャリングでは必ず“見込み客に関連性のある情報”が存在している、ということです。そのためにも、顧客になって欲しい人達が欲する、意義を感じてくれる情報(コンテンツ)を、データ、経験、推測に基づいてシナリオ立てする必要があります。
それら準備が整ってから初めてリードナーチャリングのステップが始まります(ステップは無数にありますし、アプローチは様々ですが今回は一般化した一例をご紹介します)。
- 質の高いリードを獲得する:がむしゃらにトラフィック数を伸ばし、顧客になる可能性の低い人達を見込み客化するのではなく、正しくSEO、SEM、広告なども用いて適切なトラフィックを見込み客化しましょう。
- 適切なマーケティングプラットフォームを用いる:獲得した見込み客をそのまま放置しなくてはいけなかったり、どのようなひとか判別ができないようなシステムではなく、再訪がすぐにわかったり、その都度自社内の関係者に通知が自動的に発信されるようなシステムの導入をしておきましょう。
- 約束のタイミングで価値のある情報(コンテンツ)を提供する:訪問者が自身の情報を入力した後に、必ず約束のタイミングで望ましいチャネルを用いて関連性のあるコンテンツを届けましょう。訪問者は、そのことを期待して自身のプロフィール情報を登録しています。
- 反応を確認する:関連性のあるコンテンツを届けた後は、そのコンテンツを受け取った見込み客がどのような反応を示すか(拒否をするのか、受け取るのか)を確認し、さらなる情報の提供が必要なのかを見極め、常にその精度を高めるように改善をつづけましょう。
- 商談に興味があるかどうかを見極める:価値のある情報の精度を高め、好感をもちつづけてもらうことができたら、その見込み客が商談に興味があるのかを見極めましょう。例えば、ウェブサイトの見積もりページ、製品ページ、問い合わせページを頻繁に見ているかもしれません。その際に適切なプラットフォームを用いていれば、内部通知をセールス担当者に飛ばすことも可能です。
このようなステップを用いて、リードナーチャリングの概念に従いシナリオを用いて見込み客とコミュニケーションをとっていくことが、より多くの顧客化をすすめる近道となります。
繰り返しとなりますが、リードナーチャリングの概念は、見込み客とよりよい関係性を保ち、信頼を築き、結果としてより多くの見込み客をより多く顧客化する、というものです。
そのために現代のマーケティングでは、よりシステマティックになる必要もあり、情報量の増加により関連性のない情報はスキップされるため、適切なタイミングで関連性のある情報を届けることがさらに重要になっているということに他ならないのです。