Webマーケティングを成功へと導くためには、中間目標となる「KPI」の設定が重要です。本記事では、WebマーケティングにおいてKPIが重要となる理由を解説するとともに、設定時のポイントや具体的な指標をご紹介します。戦略的なWebマーケティングを展開する際の参考にしてください。
Webマーケティング上のKPIとは?
Webマーケティングの領域において、「KPI」は施策の成果を定量化するうえで欠かせない重要な指標です。KPIとは「Key Performance Indicator」の頭文字をとった略称で、日本語では「重要業績評価指標」と訳されます。端的にいえば、最終的な目標となる「KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)」を達成するために必要な、「中間目標の達成度合い」を表す指標です。
たとえば、「ECサイト事業における今期の売上高を前年比150%にする」という目標をKGIに設定したと仮定しましょう。この最終的な目標を実現するためには、自然検索流入数の増加や直帰率の改善、回遊率の上昇、導線設計の見直し、コンバージョン率の向上など、さまざまな達成すべき中間目標が存在します。このKGIを実現するために必要な、中間目標の達成度合いを示す指標がKPIです。
Webマーケティング上でKPIが重要指標な理由
Webマーケティングを展開するうえでKPI設定が重要となる理由は、主に以下の2つです。
- 目標達成のための施策を考えられるため
- 施策が成功しているか判断できるため
目標達成のための施策を考えられるため
目標を達成するためには思考プロセスが非常に重要であり、「到達すべきゴール」を定めたなら、「そこに至るルート」を明確化しなくてはなりません。登山で例えるなら、登るべき山はひとつでも、山頂へ至るルートは無数にあり、季節や天候、自身の状況や技術などによって必要な装備品も異なります。曖昧な登山計画で十分な備えもなく山に登るのは非常に危険であり、険しい山であれば遭難は必至といえるでしょう。
Webマーケティングにおいても同様で、ゴールへ辿り着くためには最終的な目標から逆算して論理的に計画を立案し、適切な施策や必要なリソースを選定しなくてはなりません。山頂へ到達することがKGIなら、そこに至るルートや装備品の選定がKPIであり、最終目標を達成するための中間目標を具体的な言語や数値に落とし込むことで、必要な施策が明確になります。
施策が成功しているか判断できるため
KPIは、プロジェクトや取り組みが正しい道筋にいるかどうかを判断する指標となります。綿密な登山計画を策定し、必要な装備品を揃えても、それだけで山頂に辿り着くのは困難です。安全かつ確実に山頂へ至るためには、地図やコンパスで目的地までの距離や標高差などを随時計算し、正しいルートを進んでいるかどうか確認しなくてはなりません。
予定ルートから外れた場合は天候や時間、雨雲の動きなどを考慮しつつ、登山計画の修正や見直しが必要です。マーケティング戦略やプロモーション展開でも当初の計画通りに進むことは稀であり、必ず何らかのアクシデントやトラブルが発生します。KPIを設定することで、進行プロジェクトの方向性を客観的な視点から分析できるため、計画や施策を状況に応じて柔軟に変更できます。
KPI設定の3つのポイント
KPIを設定するうえで重要となるポイントは、主に以下の3つです。
- 目標達成に必要なプロセスを明らかにする
- KPIの数を絞る
- 実行と分析を繰り返す
目標達成に必要なプロセスを明らかにする
KPIの設定において最も重要といえるのが、ゴールへ到達するために必要なプロセスの可視化です。基本的には最終目標となるKGIを明確化し、フローチャートやマインドマップを用いて、ツリー状にKPIを具体的な要素へ落とし込みます。このプロセスによってKGIとKPIを俯瞰的な視点から把握可能となるため、全社的な情報共有の円滑化に寄与するとともに、プロジェクト進行中のトラブルにも柔軟に対応できます。
KPIの数を絞る
KPIの数が多すぎると実効性がなくなる可能性もあるため、優先順位の設定が必要です。その際は、「Specific(明確性)」「Measurable(計量性)」「Achievable(達成可能)」「Relevant(関連性)」「Time-bounded(期限)」の5要素によって構成される「SMARTの法則」を意識することで、比較的容易に優先順位を策定できます。この5つの要素に該当する中間目標を優先的に選び、KPIの数を絞るのが望ましいでしょう。
実行と分析を繰り返す
Webマーケティングは一度実践して終わりではなく、「計画(Plan)」→「実行(Do)」→「評価(Check)」→「改善(Action)」のPDCAサイクルを回し続ける継続的な改善が必要です。目標と成果に乖離があれば施策の見直しはもちろん、ときにはKPIそのものの変更が求められるケースもあります。実行によって得た結果を分析し、さらに仮説と検証を繰り返すことで、リサーチやターゲティングの精度向上が期待できます。
Webマーケティング上で使われる主なKPI
ここからは、Webマーケティングで用いられる主なKPI設定について見ていきましょう。
Webサイト
Webサイトにはコーポレートサイトやオウンドメディア、ECサイトなどさまざまな形態があり、それぞれ最終的な目標は異なります。しかし、一般的にWebサイトのコンバージョン率を高めるためには、より多くのトラフィックが必要です。そのため、ユーザーがWebサイトを訪問した回数を示す「セッション数」や、Webサイト内のページに対するアクセス数の「PV」、他ページに遷移することなく直帰した割合を表わす「直帰率」などの指標がKPIに用いられます。
Web広告
Web広告にはリスティング広告やディスプレイ広告、アリフィエイト広告など、さまざまな広告形態が存在します。いずれの広告形態でも重要となるのが、一定期間で広告が表示された回数を指す「インプレッション」と、表示された広告がクリックされた頻度を示す「クリック率(CTR)」です。また、クリックに対して発生する広告費用の「クリック単価(CPC)」や、1件のコンバージョンを獲得するのにかかったコストを表わす「獲得単価(CPA)」などもKPIに用いられます。
メールマーケティング
メールマーケティングとは、主にメールマガジンの配信を通じて見込み客とコミュニケーションを図るマーケティング手法であり、メールが開封された件数を示す「開封数」が重要視されます。開封率は見込み客の興味関心を示すバロメーターでもあるため、メールマーケティングにおいて最も重要といえる指標です。そのほかにも、メールが配信先まで届いた数を指す「到達数」や、URLの「クリック率」も重要な指標といえるでしょう。
ソーシャルメディアマーケティング
InstagramやTwitter、FacebookなどのSNSは、直接的な収益を獲得するための媒体ではありません。SNSを通じてオウンドメディアやLPに誘導することが主な目的となるため、いかにして多くのファンを獲得するかが重要です。そのため、投稿に対する「いいね」や「コメント」の数、アカウントの「フォロワー数」、またはいわゆる「バズる」といった指標がKPIとして設定されます。
まとめ
Webマーケティングの領域において、KPIはプロジェクトや施策における成果を計測する重要な指標です。最終的な目標や思い描く経営ビジョンへ到達するためには、その達成に必要な中間目標となるKPIを正しく設定しなくてはなりません。ぜひ、本記事でご紹介したポイントや指標を参考に、定量的な分析に基づくマーケティング戦略に取り組んでみてください。