顧客のニーズを把握して売り上げアップを図るために欠かせない、マーケティング活動を効率化する仕組みとして注目されているのがマーケティングオートメーションです。この記事では、マーケティングオートメーションの概要とその導入メリットを解説したうえで、具体的な導入方法と導入の際に起こりがちな失敗例を紹介します。
マーケティングオートメーション(MA)とは
マーケティングオートメーションとは、自社の顧客となり得る人々が何を求めているのかを理解し、その要求を満たすことで利益を得るという一連のマーケティング活動を自動化する仕組みです。マーケティングオートメーションは、MAという略称で呼ばれることも多く、マーケティング活動のなかでルーティンワークとなる部分を自動化することによって、効率化を実現します。
マーケティングオートメーションの導入メリット
マーケティングオートメーションを実現するツールはMAツールと呼ばれ、さまざまな企業から多様なソリューションが提供されています。年を追うごとにMAツールを導入する企業が増加していますが、導入によってどのようなメリットが期待できるのでしょうか。ここでは、マーケティングオートメーションが企業にもたらす3つのメリットを紹介します。
業務効率が向上する
MAツールを導入して使いこなせれば、マーケティングや営業に関連する業務の大幅な効率アップが見込めます。見込み客へのメール配信や見込み客リストの作成など、MAツールで自動化できる作業は多いので、その分従業員の業務負担を軽減できるのはもちろん、ヒューマンエラーも減らせるなどの利点があります。
MAツールを活用すれば、手間と時間のかかる単純作業をコンピュータが代行してくれるので、担当者は浮いた時間を効果的に使って、より多くのマーケティング施策に手がけられるようになります。
商談の質が高まる
マーケティングオートメーションを導入する大きなメリットは、個々の担当者がつかんでいる属人的な情報に頼らず、客観的に見込み客を選別できるようになることです。MAツールを活用すれば、過去に見込み客がとった行動から検討度合いの高さを数値化して、見込み客ごとにその価値を定量的に評価できます。この評価結果を用いれば、検討度合いの高さで見込み客を選別でき、より有望な見込み客から順にアプローチをかけられるようになるでしょう。
このようにMAツールの活用で商談の質が高まれば、長くなりがちな商談の短期化につながり、受注率の向上が期待できます。
顧客分析が行える
MAツールを導入すれば、顧客データの作成から有望な見込み客の選別・リスト化までを一貫して行えることに加え、すべてのデータを一元的に管理できます。これらのデータを用いて顧客分析を行うことで顧客への理解を深めたうえで、顧客ごとのニーズにあわせた最適なマーケティング施策を実行に移しましょう。施策の成果が実際に挙がったかどうかは、特定ページへのアクセス数、イベントへの参加状況などさまざまなデータをもとに分析を行った結果から判断できます。
マーケティングオートメーションの導入によって、効率的かつ効果的にPDCAサイクルを回した改善が行えるようになるので、より大きな成果へとつながっていくはずです。
マーケティングオートメーションを導入する流れ
マーケティングオートメーションの導入は、以下の四つのステップを順に踏むという流れで進めていきます。導入後に得られる効果を大きくしたいのであれば、ひとつひとつのステップに対して時間を十分にかけて、丁寧に取り組まなければなりません。
1. 課題の明確化・ゴールの設定
最初のステップは、課題の明確化とゴールの設定です。
まず、セールス活動関連部署に所属する担当者への詳細なヒアリングや顧客へのアンケート調査などを行って課題に関するデータを集め、自社がどのような課題を抱えているのかを明確にしましょう。
課題が明らかになったら、マーケティングオートメーションの導入によってどの課題をどのように解決するのかを決め、成し遂げたいゴールを数値で測れる目標として設定します
2. カスタマージャーニーマップの作成
2つ目のステップは、カスタマージャーニーマップの作成です。
カスタマージャーニーマップとは、自社商品のターゲットとなる顧客が購買活動のどの段階でどのような感情を抱き、どのような行動をおこすかを時系列に沿って可視化した図です。
マーケティングオートメーションの導入を成功させるには、自社商品を購入してくれそうなのはどのような企業かをしっかり分析して、そのペルソナを明確化しなければなりません。そして、そのような企業と契約に強く関わる従業員のペルソナをターゲットの顧客像として定めたうえで、カスタマージャーニーマップを作成する必要があります。カスタマージャーニーマップが作成できたら、それをもとにして顧客にどの段階でどのようなアプローチをかけるか検討し、コミュニケーションフローを具体的に決めていきましょう。
3. 必要な機能の選定・MAツールの比較
3つ目のステップは、必要な機能の選定・MAツールの比較です。
自社の課題を解決するために必要な機能を整理し、多種多様なMAツール製品を比較して吟味し、最適なものを選定しましょう。
ツールを比較する際は、課題の解決に不可欠な機能がそろっているか、初期費用や運用コストにいくらかかるか、自社の従業員がツールを使いこなせるか、BtoB向けのMAツールであるか、導入後のサポートはどうなっているか等が主なポイントとなります。
4. 運用体制の構築
最後のステップは、運用体制の構築です。
導入したMAツールを誰がどのように運用するか役割分担を行い、MAツールの運用フローを作成しましょう。MAツールの運用目的は、自社の抱える課題の解決を通して企業全体の利益を大きくすることにあるので、マーケティング部門だけでなく、営業やシステムといった他部署とも連携する必要があります。
マーケティングオートメーションの導入におけるよくある失敗
マーケティングオートメーションを導入したものの、残念ながら失敗してしまうケースがあります。導入後の失敗を防ぐために、よくある失敗にはどのようなものがあるか、導入前によく把握しておきましょう。
ツールが使いこなせない
MAツールを導入したものの、ツールの設定が困難で運用できるところまでたどり着けなかったり、機能が多すぎる複雑なツールを使いこなせず運用を途中であきらめたりする企業が見受けられます。
ツール選定の際には、機能が多いツールをやみくもに選ぶのではなく、自社の実情にあわせて最低限の機能があるかといった軸で考えることが重要です。
準備不足で効果が得られない
導入してから、マーケティングオートメーションに関する知識やノウハウが不足していて、行き詰まるのもよくあるケースです。失敗の原因は、運用フェーズのことまできちんと考えずに導入に踏み切ったことにあります。
導入前に必ず運用担当者を決めておき、マーケティングオートメーションに関する各種セミナーを受講するなどの事前準備を抜かりなくしておきましょう。
マーケティングオートメーションを導入するなら「SAP Emarsys Customer Engagement」
マーケティングオートメーション製品の多くは、導入してからの設定が難しく、運用までに時間をとられるケースもあります。しかし、SAP社が提供しているMAツール「SAP Emarsys Customer Engagement」を選択すれば、あらかじめテンプレートが用意されているので導入してすぐに施策を実施可能です。SAP Emarsys Customer Engagementは、従来型のMAツールと比べて運用工数が少ないので、施策の実行までをスピーディに実現できます。
まとめ
マーケティングオートメーションを導入すれば、業務を効率化できるだけでなく顧客を理解して商談の質を高められます。しかし、MAツールを導入する際に設定などが複雑な製品を選んでしまうと運用できるようになるまでに時間がかかり、最悪の場合には運用をあきらめざるを得ない事態に陥ります。そのような失敗を防ぐためには、SAP Emarsys Customer Engagementのような設定が容易で効率的に運用開始可能なツールを選択するとよいでしょう。