製造業顧客体験(CX)

製造業における製品ページの重要性|作成のポイントや課題、成功事例を紹介

製造業を営む企業の多くが、ビジネスにインターネットを活用しています。製造業がビジネスにインターネットを活用し、利益をあげるうえで重要なのが製品ページです。本記事では、製造業における製品ページの重要性や作成のポイント、課題、成功事例などを解説します。

製品ページとは

製品ページとは、コーポレートサイト内に設けられた製品情報の提供ページを指します。製品ページでは、製品の特徴やスペック、解決できる課題などを紹介するケースが一般的です。また、コーポレートサイトとは別に、特定製品の紹介に特化したランディングページなども製品ページに該当します。

製品ページの重要性

現代では、製品に関する情報を収集する際、インターネットを利用するのが一般的です。そのため、製品ページがなければそもそも大多数のユーザーに対し訴求ができません。適切な製品ページの運用により、ユーザーへ詳細な情報を提供でき、満足度やコンバージョン、ブランドイメージなどの向上につながります。

1. ユーザーエクスペリエンスの向上につながる

ユーザー目線で適切に設計された製品ページは、顧客満足度の向上につながります。ユーザーにとって役にたつ情報を提供しているだけでなく、情報の見つけやすさやWebサイトの使いやすさなどにも配慮されているためです。アクセスユーザーの顧客満足度向上を実現できれば、そこから製品の購入につながる可能性は十分あります。

2. 製品の詳細な情報を提供できる

製品ページの利点は、製品に関するより詳細な情報をユーザーへ提供できる点です。製品の特徴やスペック、使用方法、価格、解決できる課題などの詳細情報を提供できれば、ユーザーは製品への理解度が深まり、「買いたい」という気持ちをかきたてられる可能性があります。 

3. コンバージョン率が向上する

コンバージョン率とは、成果にいたった割合を指します。たとえば、コンタクトセンターへの問い合わせや資料請求、製品の購入などが成果に該当します。ユーザーにとって価値ある製品情報を掲載し、なおかつ求める情報へスムーズにアクセスできる製品ページであれば、ユーザーの興味や関心を高められ、コンバージョン率の向上につながります。

4. SEO効果が向上する

ユーザーの使いやすさに配慮した製品ページであれば、SEO効果の向上が期待でき、ユーザーが検索した際の上位表示を狙える点がメリットです。見やすく使いやすい製品ページは滞在時間が長くなりやすく、リピート率やページ回遊率も高くなると考えられるため、SEO効果が高まります。製品ページが上位表示されやすくなれば、Webにおける集客力が高まり売上や利益の拡大につながります。

5. ブランドイメージが向上する

ユーザー目線で設計された使い勝手のよい製品ページであれば、「顧客思いの企業」といったイメージを与えられます。また、自社の理念やミッション、製品に使用している技術なども積極的に発信することで、企業のブランドイメージ向上につながる可能性があります。

6. モバイルフレンドリーがアクセス数向上につながる

モバイルフレンドリーとは、スマホやタブレット端末など、モバイルデバイスにWebサイトの表示を最適化することです。現代は、老若男女を問わず誰もがモバイル端末を所有する時代です。製品ページをモバイルデバイスに対応できるよう設計すれば、より多くのアクセスを集められ、コンバージョン率の向上にもつながります。

製品ページに掲載するべき情報

製品ページには、製品に関する情報を求めてアクセスしてくるユーザーを想定し、十分な情報を掲載しておかねばなりません。一般的には、少なくとも以下の情報が必要です。

製品ページに掲載するべき情報

  1. 製品カテゴリ―
  2. 製品名
  3. 型番
  4. 画像
  5. 特徴やメリット
  6. 製品説明
  7. 仕様など
  8. 製品・製品総合カタログや関連製品(サービスパーツなど)
  9. 事例やユーザーの声
  10. 問い合わせ窓口


画像だけでなく、製品使用時の動画も掲載できるとより親切です。また、画像は複数枚の掲載を推奨します。正面のみの画像では、アクセスユーザーが商品をイメージしにくいかもしれません。さまざまな角度から撮影した画像を掲載しておくと、ユーザーへより多くの情報を与えられます。

製品の説明も必須です。製品の性質によるものの、初めて訪れるユーザーが読んで理解できるような説明が求められます。特徴やメリットなどは、わかりやすく箇条書きにして掲載するのがおすすめです。

事例やユーザーの声を掲載すると、ユーザーは導入時のイメージを抱きやすくなるメリットがあります。企業側ではなく、ユーザーの率直な意見や感想などを掲載することで、安心感を与えられるのも利点です。

製品のことを気になったユーザーが、思い立ったときすぐ問い合わせできるよう、窓口も設置しておきましょう。できるだけ見やすい位置、探しやすいポジションへ設置するのが大切なポイントです。

製造業における顧客体験のよくある課題と改善策は?

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製造業におけるカスタマーエクスペリエンス(CX)が大切な理由や、CRM とERP が分断化されていることの具体的な弊害、CX 実現を支えるシステムのポイントなどをご紹介いたします。

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製品ページのユーザビリティを高める4つのポイント

製品ページを使いやすいものにするには、見やすさや検索性、導線のほか、ユーザーの疑問や多言語に対応する仕組みも必要となります。 

1. シンプルで見やすいページにする

情報が整理されておらず、見づらく使いにくい製品ページでは、ユーザーの離脱を招きます。デザインはシンプルにし、上掲の「掲載すべき内容」を伝えやすいページを意識しましょう。特に、ユーザーがまず目にするファーストビュー領域は、ページ全体の第一印象に関わるため、見づらいと判断されると即離脱されかねません。

ファーストビュー設計では、情報を詰め込みすぎないことが大切です。最初に視界へとらえる情報があまりにも多すぎると、人間の脳が処理しきれないおそれがあります。キャッチコピーに文字数を割きすぎていないか、コンテンツが過剰になっていないかなどをチェックしましょう。

画像のサイズにも注意が必要です。メインビジュアルに大容量の画像を採用してしまうと、ページ表示速度の低下につながりかねません。ページが重くなると、ユーザーの離脱を招くため注意が必要です。

2. 検索性を高めた作りにする(UI)

扱っている商品の数が多いのであれば、ユーザーがスムーズに目的の商品を検索できる設計を採用しましょう。目的の製品へすぐアクセスできるよう、導線設計も意識し、複数の検索方法を導入します。たとえば、型番を入力して検索できるフォームを設置するのみならず、用途・カテゴリ別、ソリューション別に製品を分類、整理しておけば、ユーザーは求める製品へ速やかにアクセスできます。

カテゴリを設定する際には、見やすい位置へメニューを設置しましょう。たとえば、ヘッダーメニューにカテゴリを設置しておくのも良案です。クリック、もしくはタップするとカテゴライズされた製品の一覧が展開する、プルダウンメニューであれば、ひと目でどのような製品群を扱っているのか把握できます。 

3. 問い合わせ・FAQを配置する

製品の情報量が多くても、問い合わせボタンやフォームを見つけられないと、離脱されるおそれがあります。見込み客の取りこぼしを回避するため、問い合わせボタンやフォームはわかりやすい位置に配置しましょう。また、「よくある質問(FAQ)」も設置すれば、ユーザーは自身で知りたい情報を得られ、なおかつ企業側にとっては問い合わせ対応の負担軽減につながります。

問い合わせフォームの設計にも注意が必要です。フォームへの入力が必要な情報が多すぎると、ユーザーに余計な負担をかけてしまいます。その結果、製品ページからの離脱を招くおそれがあるため、必要最小限の項目に絞りましょう。

スマホユーザーを意識した設計も求められます。スマホで問い合わせをする際に、タップしやすいデザインを意識しましょう。郵便番号から住所を検索し、自動入力できるような仕組みも採用するのも有効です。

5. どのページからでも言語切替が行える

トップページでしか言語を切り替えられないとなると不便です。製品ページごとに言語切替ができる設計を採用しましょう。海外での売上があるのなら、海外への情報発信と、そのために役立つ多言語対応やシームレスな言語切替は必須です。多言語対応によって、国や地域ごとの特徴も把握でき、今後の分析にも活用できます。 

製品ページを作るうえでの6つの課題

製造業にとって、製品ページは売上や利益に関わる重要なコンテンツです。それゆえに適切なメンテナンスが不可欠である一方、さまざまな課題があるため実行が困難な側面があります。 

課題1:製品情報の管理・更新

製造業で扱う製品は、技術や仕様が進化するケースも珍しくありません。古い情報をそのまま製品ページへ掲載するわけにはいかないため、企業側は常に最新の情報を提供できるようページの更新作業が必要です。また、既存製品のアップデートや新たな製品の追加、特許や法規制の変化などにも柔軟に対応しなくてはなりません。

古い情報の掲載は、ユーザーに対し誤った情報を提供することにつながります。ユーザーが勘違いして製品を購入し、クレームへ発展するリスクもあるため、企業側は製品情報の適切な管理と更新が求められます。 

課題2:製品の多様性に対応

製造業によっては、多種多様な製品を数多く扱うケースも少なくありません。このようなケースでは、製品の種類や数だけ製品ページを運営しなくてはならず、それだけ多くの手間と労力が発生します。加えて、情報の整合性や正確性にも配慮しなくてはなりません。数多くの製品ページを扱っていると、ページの精査が甘くなり、情報の整合性や正確性に問題が生じるリスクもあります。

製品の多様化に伴い、製品ページの運営に過度なリソースを割かなければならない状況は、生産性の低下も招きかねません。製品情報の更新や整合性のチェックなどに多くの時間と手間をとられてしまい、企業によってはコア業務に要するリソースが減少するリスクも考えられます。 

課題3:多言語対応

グローバル展開している企業であれば、製品ページの多言語対応も求められます。製品ページへアクセスしてくるユーザーの多くは、製品の情報を知りたがっているため、現地の言語で情報を提供しなくてはなりません。複数言語への翻訳や文化の違いへの配慮などが、メンテナンスを複雑で困難なものにしてしまいます。 

課題4:カタログの管理・更新

製品ページでは、PDF形式の製品カタログを提供するケースが多く見受けられます。カタログに掲載する製品情報も、常に最新の情報を維持しなくてはならず、適切な管理が必要です。扱っている製品数が膨大である場合、カタログの更新作業に多大な手間を要する課題も見逃せません。

ダウンロード形式のカタログであれば、Webページ上から問題なくダウンロードできるかどうかもチェックが必要です。ダウンロード不可の状態が続くと機会損失にもつながるほか、クレームの発生も招きかねません。こうしたチェックも定期的に行わねばならず、少なからずリソースを消費します。 

課題5:サポート対応

製品ページを介して、顧客へサポート情報を提供することもあります。製品のスペックや使用方法などについて質問されたとき、あるいは何かしらトラブルが起きたときなどに、適切なサポート対応をしなくてはなりません。

適切なサポート対応を実現するには、製品に関する豊富な知識を有する人材が求められます。製品知識が豊富で、スマートな対応が可能な人材をサポート要員として準備しておけば、高品質な顧客対応を実現し評価につながります。ただ、そのためには従業員に対する高度な教育も必要です。 

課題6:SEO対策

情報量が充実した製品ページを作成しても、アクセスを集められなければ成果につながりません。特定のキーワードで検索されたとき、上位表示を狙えるよう適切なSEOが求められます。具体的には、適切なキーワード選定やリンクのチェック、コンテンツの最適化などです。

ただ、SEOには高度に専門的な知識が求められます。自社で対応できる部分もあるものの、より効果を実感できるSEOを実現するには、SEO専門企業への依頼が現実的です。高度なSEOの外部委託は費用も高くなりがちで、100万円近い金額が発生するケースもあります。 

課題解決策はPIMとCMSの統合

製品ページの作成にはいくつもの課題があるものの、解決策はあります。具体的な解決策は、PIM(Product Information Management/商品情報管理)とCMS(Contents Management System/コンテンツ管理システム)の統合です。

製品情報の一元管理・自動更新が行える

PIMは、企業が扱っている製品を一元的に管理できるシステムです。製品や関連コンテンツを統合管理できるほか、外部システムとの連係も可能です。CMSとの統合によって、製品のスペックや画像、価格といったあらゆる情報を管理できるだけでなく、情報を自動的に更新できます。そのため、新たな製品を追加したいとき、既存製品の情報を変更したいときなどに、従来のように手動で更新作業を行う必要がなくなりました。

カタログ管理の効率化につながる

カタログの内容に変更が生じた場合には、速やかに情報を更新しなくてはなりません。PIMとCMSを統合すれば、一元管理しているデータの更新によってカタログにも情報を反映できます。速やかにカタログの内容を変更でき、管理の効率化につながる点がメリットです。

多言語対応を簡単に行える

PIMとCMSが連係していれば、PIMで一元管理している製品情報をもとに、異なる言語のコンテンツを自動生成できます。個別に異なる言語バージョンのコンテンツを作成する手間が省ける点が大きなメリットです。

ページのカスタマイズ性が高まる

PIMとCMSを連携すれば、個々の顧客へマッチしたコンテンツの提供が可能です。カスタマイズした製品情報を組み合わせることによって、戦略的なコンテンツ提供を実現します。CRMとも組み合わせれば、顧客の属性にマッチした製品情報を届けられます。個々の顧客へパーソナライズした情報を届けられれば、成約率や顧客満足度の向上といった効果を得やすい点がメリットです。

コンテンツの品質向上につながる

PIMには、承認ワークフロー機能が実装されています。CMSとの連携によって、データの更新やコンテンツ公開の適切に管理できるため、コンテンツの品質向上につながります。設定されたワークフローを経由しないと、製品情報の公開を不可能にできるため、不適切な状態で情報が公開される心配もありません。

製品ページの成功事例紹介:ヒロセ電機株式会社

製品ページの成功事例として、ヒロセ電機株式会社を紹介します。同社は、これまで以上にCXの向上が求められる時代に対応すべく、DXやデジタルマーケティングによる変革を目指しました。

Oneプラットフォームでの全体を最適化

同社は、ひとつのITプラットフォームによる全体の最適化を実現しました。同社がプラットフォームに求めたのは、18カ国においてマスターやデータベース、アプリケーションなどをひとつのプラットフォームで稼働できることです。また、ひとつの拠点でシステムの運用やメンテナンスの集中管理ができることも要件としています。同社は、以下四つの考察からこうした最適化を目指しました。

参照ページ: ヒロセ電機がSAP C/4HANAで挑むグローバルデジタルマーケティングの変革

考察1. 個々の会員が求める情報を提供する

2016年4月にリニューアルしたWebサイトには、従来とは比べものにならないほどアクセスが集中しました。なんと、1年で約3.8倍にもおよぶアクセス数を実現したため、今後は個々の会員が求める情報をリリースしたいと考えています。

考察2. 海外市場へ情報を提供する

海外の売上比率が約7割なのに対し、海外からのアクセスは全体の約4割に留まっていました。ここに新たな可能性を見出し、7言語対応による製品情報の提供へと踏み切ります。

考察3. 製品情報の検索性を上げる

日本語では「ヒロセ電機」のブランド名で流入してくるユーザーが多くを占め、コネクター関連用語のボリュームはごくわずかでした。英語はブランド名や部品用語で占められるものの、数はわずかです。日本語と英語、どちらも部品関連名は可能性があるとわかりました。 

考察4. データベースを統合する

Webのアクセス状況を吟味したうえで、営業部門へリード情報を渡したところ、予想以上に大きな反応を得られました。さらに一歩踏み込んだマーケティングを展開するには、Webと営業部門、双方の顧客データベースを連携、統一したほうがよいと再認識したとのことです。 

ヒロセ電機の課題を解決した「SAP CXソリューション」とは

「SAP CXソリューション」は、ヒロセ電機が内包していたさまざまな課題を解決へと導いたソリューションです。ヒロセ電機は、考察を行ったうえで課題の解決と目的の達成にはITの活用が不可欠であると判断しました。そこで目をつけたのが「SAP CXソリューション」です。

こちらは、完全クラウド対応型のCRMサービスであり、ひとつのプラットフォームで顧客情報を一元管理できます。さらに、生産管理や在庫管理といったERPデータと顧客データの連係が可能で、各種情報の効率的な管理が実現可能です。また、「SAP Sales Cloud」のような、販売プロセス自動化を行えるアプリケーションを搭載しているのも特長です。

「SAP CXソリューション」の詳細は こちら

まとめ

製造業において、製品ページは売上や利益に直結する重要なコンテンツです。必要な情報を漏れなく記載し、ユーザビリティも意識した製品ページの作成を心がけましょう。他社の成功事例を参考に、製品ページの刷新に取り組むのもひとつの手です。

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