マーケティング

リードナーチャリング(見込み客育成)事例:正しいEメールマーケティングとは

近年米国のHubSpot社やMarketo社、国内のマーケティング製品のベンダーに注目が集まる理由にマーケティングオートメーションという言葉が流行していることがあります(すでに米国では“マーケティングオートメーション”は流行ではなく当たり前になっていると言っても過言ではありません)。

そのマーケティングオートメーションの機能を用いて行いたいこととしてあげられることの一つに、見込み客に最適なコンテンツを提供して購買してくれる顧客になるまで育成をしていきたい、ということがあります。これは特にB2Bなど特にセールスサイクルの長い商材を扱っている企業に多く聞かれることです。

Gleanster Researchによると、セールス担当者に渡される見込み客の25%のみがSales-ready(セールス担当者と話ができる状態)と言われています。私たちリードプラスに寄せられる相談では、これよりも低い数字であることがしばしば散見されます。つまり、“ホット”な状態になっていない見込み客をマーケターがセールス担当者に渡すことがほとんどであり、そして実際の現場でそれを感じるマーケターの方達が非常に多い、ということです。このような状況では営業はマーケティングへの信頼感を失う可能性もあるでしょう。

ではなぜEメールが注目を浴び、実際に見込み客を十分に育成(リードナーチャリング)するためにはどのようなステップがあるのでしょうか。本ブログでは様々なナーチャリングの方法のなかの一つであるEメールマーケティングについてお伝えします。

なぜEメールマーケティングでのリードナーチャリングが注目されるのか?

なぜEメールマーケティングを用いたリードナーチャリングが注目を浴びるのでしょうか。Eメールはその利用の仕方によっては、一方的に情報を送る「アウトバウンドマーケティング」のようなマーケティング手法と捉えることもできます。また、インターネットの発展とともに、また企業間のコミュニケーションの手段としてEメールは比較的「古い」(デジタルでの)マーケティングチャネルの一つであると感じている方もいるかもしれません。

たしかにEメールマーケティングは古い(マーケターがその利用を始めてから比較的年数として長い)ですが、その効果は絶大と言われています。下記の資料をごらんください。

なぜEメールマーケティングでのリードナーチャリングが注目されるのか?

(参照記事はこちら:Email Marketing Most Effective, Mobile Marketing Most Difficult

こちらは、米国Forbesの記事内で引用されている「Most Effective- and Difficult- Digital Marketing Tactics(最も効果的、最も難しいデジタルマーケティング戦術一覧)」のリサーチデータです。

紺色の棒グラフが「Most Effective(効果的)」、薄いピンクの棒グラフが「Most Difficult(難しい)」を示しています。その一番上のサンプルにEメールがあります。こちらを見ていただく通り、Eメールマーケティングは他のチャネルであるブログ、Webサイト、SEO、ソーシャルメディアなどと比較すると、最も効果的であると回答されており、かつ最も難易度が低い部類のマーケティング戦術のひとつとされています。

しかし、すべてのマーケティング担当者がそのような効果を感じているわけではありません。個人的な経験では、一般的なマーケターの方が送られるEメールの開封率などは2-3%くらいであると感じています。一方で、弊社の顧客の中には適切なコンテンツとタイミングでメールを送ることにより開封率が20%を超えるケースがあります。
※ 対象リスト数、メール送信の頻度、メール受信者の方達との関係性などにも大きく影響します。

そのような高い結果を出すEメールには、見込み客に購買のステージをうまく進んでもらえるように育成できるプランが必須で、上図でも前提として“インバウンド”であることが前提とされています。つまり、内容が“ごちゃごちゃ”しておらず、見込み客(顧客に対して送信するケースもあります)に対して価値のある情報を望まれるタイミングで届けている、ということです。

それでは、どのように見込み客を育成していくリードナーチャリングを行っていくべきでしょうか。

【動画】マーケティング担当者必見!スタートアップCEOと考えるCXの未来

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デジタル技術の進化と共に購買プロセスが大きく変化し、B2B・B2C に関わらず、購買者はあらゆるタッチポイントで一貫したサービスを求めるようになりました。この変化の激しい時代において求められる顧客体験とはどのようなものか?

本動画は、過去 SAP.iO のプログラムに参加し、当領域の最前線で活躍されているスタートアップ各社の CEO をお招きし、日本企業が目指すべき将来の CX のあり方などについてディスカッションした内容を収録しています。

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ナーチャリングで送るべきEメールマーケティングの特徴

リードナーチャリングで送信すべきメールは、受信者にとって価値のある情報である必要があります。皆さんが消費者として受信し無視するEメールの特徴は、関連性のない内容、一方的なタイミングで送られてくるもの、やたらと頻度が高くてしつこいもの、などあるかと思います。

簡単に迷惑フォルダなどにメールを振り分けることのできる現代では、必ずそういったことは避けるように気をつけなくてはいけません。では、ナーチャリングをする際に用いたいEメールの特徴はどのようなものでしょうか。

  • 教育的なメールであること:リードナーチャリングを行いたい場合は教育的なコンテンツが必須。サイト上でどのような行動履歴をおこなっているか、どういったコンテンツに興味を持っているか、なぜあなたの製品サービスに興味をもっているか、抱えている課題は何なのか?その課題を解決する内容であること。
  • 特典をお知らせする:マーケティングキャンペーンを行っている際は、関連性のある情報だけを提供する。興味を持たないであろうセミナーや、購買のステージとは関連性の低い情報、例えば頻繁にソフトウェアのデータシートを見てみる人(おそらくエンジニア)に経営者向けのセミナーの無料特別案内を送るようなことはやめましょう。
  • パーソナライズされていること:教育的コンテンツである必要性と同様に、リードナーチャリングのメールでは内容がパーソナライズされている必要があります。また、その際のメールは必ずしも自動化(マーケティングオートメーション)されている必要はありません。

上記の3要素が必須ではありませんが、少なくても上記の要素をリードナーチャリングのメールを送る際に考え、プランすることによって、誰に、いつ、どのような内容で、どこで(マーケティングチャネル)、なぜ、どれくらいの頻度で、などの目星をつけることにつながります。

リードナーチャリングとは対話であり、信頼性をつくること

リードナーチャリングをEメールで適切に行うことは、戦略的なことをしっかりと組み立てておけば、非常に難しいというわけではありません。また、上記の3要素に関してもマーケティング担当者のあなた自身でアイデアを思いつかない場合は、推測だけに頼ることをやめて、あなたのパートナーであるセールス担当に率直に聞いてみることが良いかと思います。
あなたが信頼して物を購入するときも、多くのケースであなた自身の課題や問題を親身になって解決しようとしてくれる人たちから買いたいと思うはずです。そのようなことを常に心がけてEメールマーケティングを用いてリードナーチャリングを行うことが重要ということです。

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