マーケティングオートメーションを比較する上でのポイント、知りたいですか?知りたいですよね。
多くの企業や組織ではマーケティングオートメーション(MA)ツールの導入および導入検討が進んでいます。
しかし世の中には、数多くのツールが存在し何にすれば良いかわからないという方々も少なくないと思います。
マーケティングオートメーションの導入に成功することで、業務効率化や効果的なマーケティングの展開、そして見込み客の獲得やロイヤリティの向上など、様々な領域でメリットを発揮してくるのですから。
今回はマーケティングオートメーションを比較するための事前準備から、比較のポイント、そしてユーザー視点の市場データまでを完全ガイドします。
自社にとって最適なツール導入のために是非参考にしてください。
それでは、マーケティングオートメーションのおさらいからいきましょう。
(マーケティングオートメーションツールやマーケティングオートメーションソフトウェアを総称してマーケティングオートメーションで統一して記述しています)
マーケティングオートメーションとは?
メール配信、CMS、リード管理、スコアリング、フォーム作成など、これまでマーケティングを展開するためにツールは別々に存在し、そこに必要とされるプロセスは常に人の手によって回されてきました。
マーケティングオートメーションはこれらのツールを包括し人の手によって回されてきたプロセスを自動化することにより、業務効率化やOne to Oneマーケティングを展開するための「統合プラットフォーム」です。
国内では2014年から注目され始め、2015年はマーケティングにおけるバズワードとなり「マーケティングオートメーション元年」とも言われていましたね。
市場規模は2014年で36.5億ドル(4,526億円)、2019年まで年率8.55%で推移し55億ドル(約6,820億ドル)に上ると言われています。
統合型と特化型
マーケティングオートメーションは「統合型」と「特化型」に大別されています。
統合型はリードジェネレーションからリードナーチャリング、リード管理など広範囲の領域をカバーしています。
対して特化型は特定の機能や領域に強みのあるタイプで、導入がハマればマーケティング効果が最大化されます。
統合型か特化型かは、トータル的なマーケティングを強化したいのか?特定の領域に特化して強化したいのか?を考えると選択しやすいかと思います。
世界のマーケティングオートメーション
実は日本はマーケティングオートメーション後進国と言われ、海外と比較すると製品数も導入率もまだまだです。
ちなみに米フォーチュン500(フォーチュン誌が毎年発表する米企業の総収入ランキング)では約70%の企業がマーケティングオートメーションを導入しています。
海外での活用事例も多く、こうした背景から今後もマーケティングオートメーションの重要性は高まっていくでしょう。
マーケティングオートメーション比較の事前準備
マーケティングオートメーションはいきなり比較するのではなく、事前準備が何より大切です。
ここでは重要な2つの事前準備をまとめました。
導入の目的を明確にする
導入の目的はマーケティングオートメーション選定を左右する大きな要素です。
「他社でも導入されているから」「業務効率化したいから」など、フワッとした目的で導入を検討している企業が意外に多く、往々にして導入に失敗しています。
業務効率化するにしても「何をどう改善し業務効率化したいのか?」といった具体的な目的がなければいけません。
なので、まずは自社のマーケティングにおける課題を把握しましょう。
課題が把握出来たら「どのように解決すればいいか?マーケティングオートメーションで解決出来るか?」を考えていきます。
場合によってはそもそも導入の必要性がないということもあるので、じっくりと考えていきましょう。
要件定義
目的が定まったら次に機能要件などを定義していきます。
ここで注意して欲しのは、必ずマーケティング部門や営業部門といった実際にマーケティングオートメーションを利用する者から要件定義を引き出すことです。
経営者や情報システムがどんなに考えても、現場にしか分からないというものがあります。
そしてそれをしっかりと機能要件に盛り込まなければ、適切なマーケティングオートメーション導入は不可能でしょう。
また、要件を引き出すポイントとして「カカシ」という手法を用いると上手く引き出すことが出来ます。
「カカシ」とは米ソフトウェア工学者であるトム・デマルコ氏によって提唱されている手法で、簡単に言うと「予めこちらである程度の要件を定義し、相手の要件を引き出す」といものです。
人は白紙の状態から何かを考えることを嫌いますが、既にあるものから自分の考えを展開することは得意です。
なのでこちらである程度の要件を定義しておくことでマーケティング部門や営業部門の要件を上手に引き出すことが出来るでしょう。
マーケティングオートメーション比較ポイント
事前準備が完了したら、いよいよマーケティングオートメーションの比較を行います。
ポイントは全部で5つなので、それぞれをしっかりと押さえて比較を行いましょう。
Point01:BtoB?BtoC?
まず自社のビジネスモデルがBtoBなのかBtoCなのか?これにより選ぶべきマーケティングオートメーションが違ってきます。
まずはBtoBとBtoCの違いを確認していきましょう。
01.リードの数
BtoBとBtoCではそもそもリード数が大きく違います。
企業規模にもよりますがBtoBのリード数は1,000~10,000件なのが一般的に対し、BtoCではその数十倍以上のリード数が存在します。
なので、マーケティングオートメーションで管理出来るリスト数やメール配信数を予め確認しておくといいでしょう。
02.クロージング
クロージングに関してはBtoCならばキャンペーンメールの配信で済みますが、BtoBではリードと対面して行うのが通常です。
なので、BtoBの場合はリード管理に強いマーケティングオートメーションが必要となりますね。
03.購買期間
BtoBでは営業とのフォーストコンタクトからサービス・製品の購入に至るまで多くの接点があり、購買期間は長期化します。
なのでリードの現状ステージなどをしっかりと視覚化出来るマーケティングオートメーションを選択する必要がありますね。
逆にBtoCではスピーディーなマーケティングが展開出来るツールがベストです。
04.購買関係者
BtoCでは個人の独断で購買を決定しますが、BtoBでは複数人が購買に関わってきます。
複数役員の承諾を得なけらばならないとういこともあるでしょう。
リード情報を適切に管理できるマーケティングオートメーションがベストですね。
このように、BtoB・BtoCだけでも選定すべきマーケティングオートメーションが違ってきます。
自社のビジネスモデルに適したツール選びが重要です。
Point02:国産?海外産?
現在提供されているマーケティングオートメーションは国産と海外産に分類できます。
それぞれの特徴としては海外産の方が実用的なツールが多いこと、国産では日本語による対応が可能ということです。
目的に合わせてツールを選定して欲しいところですが、海外製品だと不安という場合は国内製品を選択するといいでしょう。
また、海外製品に関しても導入支援をしてくれるベンダーがいると選択肢が広がります。
Point03:それぞれの特徴を把握
次に、それぞれの特徴を把握していきましょう。
「どんな強みがあるのか?」「どんな機能を実装しているのか?」「他社の事例は?」などを確認し、各ツールごとの特徴を知ることで選定すべきマーケティングオートメーションが見えてきます。
ここで注意して欲しいのが「多機能」に惑わされないということです。
マーケティングオートメーションの導入で失敗する企業の中には、「多機能だから」という理由でツールを選定するケースがあります。
多機能でもしっかりと使いこなせればいいのですが、ほとんどの場合半分程度の機能しか使用しません。
つまり自社の要件定義に沿ったツール選定が出来ていないんですね。
それぞれの特徴を把握した上で「自社の要件定義に対しシンプルにまとまっているツールはどれか?」という観点で比較しましょう。
Point04:費用対効果
料金の比較をする際に、表面上の料金だけで比較をすると選定を間違える可能性があります。
なので、あくまで「費用対効果」に着目してツールを選定してください。
費用対効果の算出方法に関しては、導入や運用にかかるコストに対しどれだけのベネフィットを得ることが出来るか?を考えると大まかな費用対効果を算出できます。
主なベネフィットとしては業務効率化によるコスト削減や適切なリード管理による売上げ向上などです。
低価格なツールを導入しても費用対効果が低ければ意味がないので、しっかりと費用対効果を算出して比較しましょう。
Point05:ベンダーやエージェンシーのサポート
ベンダーやエージェンシーのサポート体制は最終的な比較ポイントとして盛り込んでおいて欲しいと思います。
マーケティングオートメーション導入後は、必ず何かしらのトラブルが発生すると想定できるからです。
「多くの機能がありすぎる」「この設定で大丈夫?」「活用方法が分からない機能がある」などなど、社内の人間だけでは対応出来ないトラブルも多いのでサポートが頼りになります。
ユーザー視点のマーケティングオートメーション比較結果
G2 Crowd社が最新のマーケティングオートメーションソフトウェアの比較「Best Marketing Automation Software 2015」を発表しました。
このレポートでは、マーケティングオートメーション製品を扱う2,000を超えるユーザーによるレビューや評価をもとにした顧客満足度の軸とマーケットシェアや企業規模、影響力などのスケール軸により総合的に評価された結果を表しています。
今回の発表では、HubSpot、Marketo、Oracle Marketing Cloud(旧Eloqua)、Pardot、Act-Onの5社がマーケティングオートメーションソフトウェアのリーダーとして位置づけられました。
- 「リーダー」カテゴリのマーケティングオートメーション製品は、G2 Crowdユーザーから高評価を受けるだけでなくスケール軸もあわせもった企業です。今回リーダーに選出された企業はHubSpot、Pardot、Marketo、Act-On、Oracle Eloquaでした。
- 「ハイパフォーマー」カテゴリのマーケティングオートメーション製品は、ユーザーから高評価を受けているが、まだリーダーカテゴリにあるようなシェアや規模、影響力を獲得するに至っていない企業です。今回ハイパフォーマーに選出された企業はLeadSquared、OutMarket、Salesfusion、Net-Results、ONTRAPORT、CallidusCloud Marketing Automation、Hatchbuck、Right On Interactive、GreenRope、Genooでした。
- 「コンテンダー」カテゴリのマーケティングオートメーション製品は、平均点以下の顧客満足度しか受けていないか、レビュー数が少ない企業です。今回コンテンダーに選出された企業は、IBM Campaign & Leads (Unica)、Silverpop, an IBM Company、Infusionsoft、Adobe Campaignでした。
- 「ニッチ」カテゴリのマーケティングオートメーション製品は、マーケットプレゼンスを持っていません。ニッチカテゴリの製品は顧客満足度が高い可能性もありますが、十分なレビュー数に至っていない状況です。今回ニッチに選出された企業は、eTrigue、Sales Engine International、Teradata Integrated Marketing Management、Plumb5でした。
終わりに
マーケティングオートメーションは、導入すれば必ず収益をもたらす打ち出の小槌的なツールではありません。多くの企業からMAツールの導入はしたもののメルマガ配信だけにとどまっており有効活用できていないなどの相談を受けます。
ツールにより自動化出来る部分はあるものの、マーケティング戦略や設計、コンテンツ作成などはやはり人の手によって生み出す必要があります。
より適切なマーケティングオートメーション比較のために上記のことを念頭に置き、自社に適切なツール導入を目指しましょう。