非エンジニアユーザーが自らアプリケーションを開発し、ワークフローの自動化処理を作り、BI(Business Intelligence:ビジネス・インテリジェンス)によるビッグデータ解析を実行する。そんな魅力的なビジネスプラットフォームが存在することをご存じでしょうか?それが、Microsoft社が提供する「Power Platform(パワー・プラットフォーム)」です。
Power Platformとは、Power AppsやPower BIなどMicrosoftが提供しているアプリケーションの総称であり、業務フローの改善やチャットボットの導入、ビジネス状況を正確に可視化するなどさまざまな用途があります。
ローコードで開発できることにより、開発時の負担を軽減できる点が大きな特徴であり、近年需要が高まっています。
本記事では、Power Platformとはどういったサービスなのか?その概要とともに具体例や活用事例と将来性について分かりやすくお伝えします。
Power Platformとは
Power Platformは、Microsoftが提供するローコード開発プラットフォームです。プログラミング知識がなくても、ドラッグアンドドロップやGUI操作で、アプリ、ワークフロー、ダッシュボードなどを作成できます。
業種も幅広くさまざまな規模の企業で導入されていますが、特にデジタル化への取り組みを積極的に進めている企業で多く導入されています。
従来の開発方法では、高度なプログラミング作業が必要となり、経験のあるエンジニアを採用するなど、多くの期間やコストが発生していました。Power Platformを利用すると、期間やコストを削減しながら、業務アプリを使うユーザーが自分でアプリを作成することも可能となります。
Power Platformは5つのサービスで構成されている
まずはPower Platformの基本構成をご紹介します。Power Platformは以下5つのサービスより構成されています。
PowerApps(パワー・アップス)
実用的なビジネスアプリケーションをローコーディング(ほぼプログラミングを必要としない手法)で開発するサービスです。現在ではさまざまなクラウドサービスが提供されていますが、企業ごとのビジネス要件を100%満たすようなサービスは存在しません。そこで非エンジニアユーザー自らがクラウドネイティブなビジネスアプリケーション開発に取り組むことで、ビジネス要件を満たしながら実用的なアプリを素早く生み出せます。開発したビジネスアプリケーションはDynamics 365や Microsoft 365との連携や、Power Automateによる自動化にも対応します。
★詳しくはこちら:
「PowerApps」入門編!メリットやプラン・使い方を画像付きで徹底解説
PowerAutomate(パワー・オートメート)
2016年11月にリリースされた自動ワークフロー作成ツールのMicrosoft Flow(マイクロソフト・フロー)にRPA機能が備わり、2020年4月に生まれ変わってリリースされたのがPower Automateです。900種類以上のコネクタが用意されており、容易にアプリケーションやサービスと接続できます。自動ワークフローを作成し、さらにRPA機能によってパソコン上のマウス操作やキーボード操作を記録することで高度な自動化処理を実現可能です。また、AI Builder(エーアイ・ビルダー)を使用して自動ワークフローにAIを組み込めます。
★詳しくはこちら:
「Power Automate」を分かりやすく解説!活用事例あり
PowerBI(パワー・ビーアイ)
Power BIはExcelのような使い心地で気軽にビッグデータ解析ができるBIサービスです。多様なデータソースに接続し、データの統合と分析、美しいレポートの作成をサポートします。組織ではWebサイトやモバイルデバイスを通じ、レポートを簡単に公開、閲覧可能です。数あるBIサービスの中でも多くのビジネスパーソンにとって使いやすい設計がされており、非エンジニアユーザー自らがビッグデータからさまざまなインサイト(洞察)を得ることができます。
★詳しくはこちら:
「Power BI」でできることは?活用例や料金プランを紹介
Power Virtual Agents(パワー・ヴァーチャル・エージェント)
Power Virtual Agentsは、Microsoft Teams内で利用できるチャットボットを作成できるサービスです。利用すれば、問い合わせ業務対応における業務負担につながります。データを検索して会話のパーソナライズをしたり、APIを呼び出したりするなどローコードで独自のチャットボットを作成可能です。
Power Virtual Agentsはサービスの品質やセキュリティの認証規格の基準となっているISO標準をはじめとしたコンプライアンス認証に準拠しています。
Power Virtual Agents 機能は現在、 ローコードでチャットボットを作成するためのツール「Microsoft Copilot Studio」 の一部となっています。
★詳しくはこちら:
Power Virtual Agentsでできること・活用方法について解説
Power Pages(パワー・ページ)
Power Pagesは、ローコードでWebサイトを作成可能なサービスです。Microsoft Power Platformの5つ目のアプリケーションです。
Power Pagesにはたくさんのテンプレートが用意されているため、簡単な操作でさまざまなデザインのWebページがつくれます。そのため、コンテンツやページを作成するうえでプログラミングの知識は不要です。
Power Platformの管理センターとは
Power Platform管理センターは、Power Platformを効果的に活用するために欠かせないツールです。
具体的な管理センターでできることは以下のものがあります。
- 環境の作成、編集、削除、バックアップと復元、容量の管理
- ユーザーの追加と削除、ロールの割り当て、アクセス許可の管理、パスワードポリシーの設定
- データ接続の設定、エクスポートとインポート、ガバナンスポリシーの設定
- データ損失防止ポリシー設定、監査ログのレビュー、コンプライアンス要件の遵守
- 最新の更新プログラムの表示とインストール、スケジュール設定
- Power Platformの使用状況に関する分析とレポートの表示、カスタムレポートの作成
このツールを使用することで、データやユーザーを制御し、セキュリティ強化を実現できます。
Power Platformが解決できる8つのIT課題
上記で説明したように、Power Platformは先進的な5つのクラウドサービスで構成されています。利用することで、現代企業が抱えがちなIT課題をダイレクトに解決する糸口をつかめるでしょう。では、そのIT課題とは何でしょうか?
課題1.データ分断化による非効率な業務プロセス
データの統合と分析によるビジネス価値は広く認められています。しかし、現代企業の多くがデータを分断的に管理しているため、効率的な業務プロセスを構築できていません。また、データ分断化によりデータ分析も進めにくい状況です。
Power Platformによる解決
Power AppsおよびPower BIを活用することで、組織内のあらゆるデータを迅速かつ正確に統合し、分析を簡素化します。自動的なレポート作成によって組織に多くのインサイトを与えてくれるでしょう。
課題2.ビジネスニーズに見合わないアプリケーション
企業では長らく個別最適化が進み、各業務プロセスの効率化だけに着目したビジネスアプリケーションが採用されていました。これによりプロセス間のアプリケーション同士が連携不足に陥り、統合的なシステム環境構築を阻んでいます。
Power Platformによる解決
Power Appsはローコーディングでビジネスアプリケーションを開発し、非エンジニアユーザーが主体となって開発に取り組むことが可能です。これにより現場視点でビジネスニーズを捉えたアプリケーションを素早く開発できます。
課題3.ITリテラシーの違いによってうまれるスキルの格差
企業においてDXの導入が急速に進んでいます。しかし、ITリテラシーの格差によってスキルの溝が生まれる傾向があります。ITリテラシーとは、ネットワークやセキュリティなどを理解、操作する能力です。ITリテラシーが欠如していると、業務効率化につながらないだけでなく、コンプライアンスやセキュリティにおいて大きな問題となる可能性があります。
そのため、各企業は社員のITリテラシーを高める対策が必要です。ITリテラシー格差が生まれ、大きなトラブルにつながることを防ぐ必要があります。
Power Platformによる解決
Microsoft Power Platformに含まれている全てのアプリケーションは、ローコードで開発ができます。そのため、プログラミングの知識がない人でもアプリの開発がしやすい点が特徴です。
さらに、直観的に操作できることから誰でも使いやすく、ITリテラシーの格差が生まれにくいサービスであるといえるでしょう。
課題4. 進展しないペーパーレス化
業務プロセスごとに紙ドキュメントを発行するのは、業務効率が低下する原因です。しかし、多くの企業では紙文化を捨てきれないことからプロセスが膨大になり、非効率化を進めてしまっています。
Power Platformによる解決
Power Platformを総合的に利用することで紙出力の必要性を大幅に低減し、ペーパーレス化を実現可能です。それによる高い生産性を手にするだけでなく、紙の印刷コストの削減にもつながります。
課題5.複雑な業務プロセスで頻発するエラー
ビジネスアプリケーションが分断化されている環境では、業務プロセスが非常に複雑になりエラーが度々発生します。エラーが頻発すれば、業務プロセスは当然非効率になりますし、ビジネスの推進に多くの悪影響を与えます。
Power Platformによる解決
Power Automateでサポートされているコネクタを組み合わせて自動ワークフローを作成し、さらにカスタムコネクタによってERP(Enterprise Resource Planning:エンタープライズ・リソース・プランニング)などと連携し、業務プロセスの自動化が可能になります。これにより業務プロセスの複雑性を解消し、エラーを減少させます。
課題6.情報システム部門と事業部門の連携不足
情報システム部門のサービス提供と、事業部門によるフィードバックをもっと素早く行うべきです。両者が密に連携することによりビジネスニーズに即したアプリケーション構築ができます。
Power Platformによる解決
Power Appsによって情報システム部門と事業部門の連携を行いやすくなります。サービス提供とフィードバックを迅速化することで、よりビジネスニーズを満たしたアプリケーションが開発可能です。
課題7.シャドーITの蔓延
情報システム部門が意図していないビジネスアプリケーションの勝手な利用をシャドーITと呼び、現代企業の深刻なセキュリティ問題になっています。原因は、事業部門のビジネスニーズを満たせていないことです。シャドーITが蔓延することによりセキュリティリスクは増大し、情報流出などの重大事件が発生する可能性があります。
Power Platformによる解決
Power Platformはサービス全体を情報システム部門が中央から管理でき、シャドーITの蔓延を防いでセキュリティリスクを低減します。また、ビジネスニーズを満たしたアプリケーション開発を提供することで、シャドーITの発生リスクも抑制します。
課題8.データ活用による先手を打てない経営判断
近代ビジネスではデータ活用を主体として経営判断が重要です。しかし、データと業務プロセスが分断化している企業では、経営者に必要なデータを必要なときに提供できずに、迅速な経営判断が困難となっています。Power Platformによる解決
Power Platformの各アプリが連携することであらゆるデータを統合・分析し、スピーディな経営判断に欠かせない材料を経営者に提供します。
Power Platformにはできないこともある
Power Platformは、ローコードで業務アプリ開発、データ分析、ワークフロー自動化などに非常に便利なツールですが、できないこともあります。
Power Platformを導入する際は、以下の2点を認識しておきましょう。
Power Appsで作成したアプリの一般公開はできない
Power Appsで作成したアプリは、社内利用に限定されており、一般公開はできません。Power Appsは、Power Platform環境内のデータにのみアクセスできますが、アプリを一般公開する場合は、外部とのアクセスが必須のため一般公開ができない仕様となっています。
アプリを一般公開すると、悪意のあるユーザーが悪用する可能性もあり、セキュリティリスクが高くなることも制限をかけている理由の1つです。
Power Appsのアプリを外部のユーザーに共有する場合は、ゲストユーザーとしてアカウントを追加することを検討しましょう。
複雑な機能を実装することは難しい
Power Platformは、シンプルなアプリの作成に適しています。 複雑な機能や高度なロジックを必要とするアプリ開発には向いていません。
Power AppsとPower Automateを組み合わせることで、複雑な機能の実装も可能ですが、Power Platform自体が軽量なプラットフォームのため、処理速度が低下する可能性が高いです。
複雑なアプリ開発には、従来の多くのコードを記述する開発方法を用いる必要があります。
Power Platformを導入するメリット
Power Platformを導入することによって、次のようなメリットがあります。
- コストカットにつなげやすい明確なランニングコスト
- 効率が悪い業務プロセスの改善
- 内製化を実現できる
- 高度なセキュリティで守られたサーバー環境
- Microsoft 365の利便性の向上
それぞれについて詳しく説明していきます。
コストカットにつなげやすい明確なランニングコスト
Power Platformは月額課金サービスであり契約者数やセッション数によって決定されることから、明確なランニングコストの把握が可能です。料金体系が分かりやすいため、利用する分を整理すれば月額のランニングコストを抑えられます。そのため、コストを抑えつつ、サービスのクオリティを保つことが可能です。
効率が悪い業務プロセスの改善
Power Platformの導入により、効率が悪い業務プロセスの改善が可能です。
例えば、データ分析の際にデータが分散しているとデータの集約に時間がかかることがあります。Power Platformではデータの一元管理ができるため、データ収集の時間が大幅に削減可能です。また、これらのデータを活用して業務改善にもつながります。
Power Platformはローコード、もしくはノーコードで開発できるためITエンジニアがいなくても業務フローのスムーズ化が可能です。またクラウドサービスであることから、場所を問わずに利用できるため、世の中にリモートワークが定着したことによって現代にマッチしています。
簡単な操作で業務効率化をできるだけでなく、業務品質を維持できるのが大きな特徴です。
内製化を実現できる
Power Platformを導入して、Microsoft 365をはじめとした製品と組み合わせることにより内製化の実現が可能です。組み合わせて使うことで、それぞれのコミュニケーション機能の強化やアプリの作成などさまざまな業務において業務改善活動ができます。
Power Platformはローコードもしくはノーコード開発が可能なため、アプリ開発を外部に委託せず自社で完結できます。外部への依頼が不要となることで、開発期間が短縮できるため、スピーディーな導入が可能です。
高度なセキュリティで守られたサーバー環境
Power Platformは高度なセキュリティを有したサービスです。Microsoftが定期的なウイルスチェックを行います。
Microsoftはセキュリティに大規模な投資をし、常に積極的にセキュリティ対策を行っています。多くの国家機関や医療機関、金融機関などがMicrosoft製品を導入していることからもセキュリティの高さがうかがえるでしょう。
Power Platformはクラウドサービスであるため、保守作業が不要になることから人材不足やコスト削減への対策にもなります。
★Power Platformのセキュリティについて、詳しくはこちら
Microsoft Power Platformのセキュリティ構成や行うべき設定を解説
共同編集が可能
Power Platformは、共同編集機能によって、複数のユーザーが同時にアプリ、フロー、ダッシュボード、チャットボットなどの作成・編集を行うことができます。 共同編集によって、チームでの開発作業の効率化やコミュニケーションの円滑化が可能です。
共同編集をするためには追加したいユーザーを追加、承認するだけです。そして、共同編集による不具合が生じないために、編集履歴やバージョンの確認機能が提供されています。
Microsoft 365の利便性の向上
Power platfromはさまざまなツールと連携が可能です。例えばPower platformの1つであるPower AppsはExcelと連携することで、よりスムーズな帳簿を作成できます。Excelの連携したツールとして活用するだけでなく、Excelのデータを読み込んで出力するためのツールとしても利用可能です。
関連記事:
【最新】Microsoft365とは?基礎知識や導入メリットを分かりやすく解説
なぜPower Platformの需要が拡大しているのか
Power Platformの需要が拡大する理由として次のような理由が挙げられます。
- 深刻な人材不足
- 急速な中小企業のDX
- テレワークの普及
- クラウドサーバーへの移行
それぞれの理由について詳しく説明していきます。
深刻な人材不足
深刻なIT人材不足は、Power Platformの需要が拡大している一因です。
近年日本では労働人口が減少しており、人材不足が進んでいます。並行してIT人材が減っていることもあり、とくに中小企業においては深刻な課題の1つです。初心者でも利用できるPowerPlatfromは、IT人材の不足という課題の解決につながる可能性があります。
急速な中小企業のDX
DXとは、業務にデジタル技術を加えることによって生産性の向上や業務の効率化を目指し、競争上の優位性を確立することです。2018年に経済産業省がDX推進ガイドラインを策定したことで、DXに取り組んでいる企業が増えています。
中小企業においても同様にDXが急速に進んでおり、業務の効率化が求められています。
特に中小企業はリソースに限りがあることから、ノーコード(ローコード)開発をできるPowerPlatformの需要は高まっています。PowerPlatformの導入により業務効率化を実現でき、DXのさらなる推進を加速させることが可能となります。そのため、PowerPlatformの需要が拡大しているのです。
テレワークの普及
新型コロナウイルスの影響により、テレワークが一般的となりました。しかし、テレワークの普及は必ずしもメリットだけではありません。担当者が個別に情報を持つことにより情報が属人化するといった点や、情報漏洩のリスクがデメリットとして挙げられます。
スムーズな情報共有機能と高度なセキュリティ機能を併せ持つPowerPlatformの活用により、テレワークのデメリットである情報の属人化と情報漏洩のリスクの両方が解決できます。この点も、PowerPlatformの需要が拡大している理由の1つです。
クラウドサーバーへの移行
従来のオンプレミスからクラウドに移行しています。クラウドへの移行は、中小企業にとってさまざまなメリットがあります。例えばクラウドサーバーを導入すれば、サーバー機器やPCソフトウェアなどの準備が不要です。保守や運用にかかる時間や費用を抑えられることからコスト削減につながります。
Power Platformは業務プロセスの改善や情報の共有などにより、業務効率化につながり導入する企業が年々増えています。クラウドを活用することで場所を選ばないことから、テレワークにも対応している点が特徴です。
Power Platformの導入に必要なライセンスと費用の目安
Power Platformを利用するには、以下のいずれかのライセンスが必要です。
1. Power Platformライセンス
- Power Apps Premium:1ユーザーあたり月額2,998円
- Power Automate Premium:1ユーザーあたり月額2,248円
- Power BI Pro:1ユーザーあたり月額1,499円
Power BI Premium:1ユーザーあたり月額2,998円 - Power Virtual Agents(Microsoft Copilot Studio):月額29,985円 (25,000 メッセージ/月)
- Power Pages:認証済みユーザー、〜100ユーザーまで29,985円
2. Microsoft365 ライセンス
Microsoft 365 E3 | Microsoft 365 E5 | Microsoft 365 F3 | |
---|---|---|---|
料金 | 5,059円 ユーザー/月 | 8,208円 ユーザー/月 | 1,199円 ユーザー/月 |
PowerApps | ◯ | ◯ | ◯ |
PowerAutomate | ◯ | ◯ | ◯ |
Power Virtual Agents | × | × | ◯ |
PowerBI Pro | × | ◯ | × |
Power Pages | × | × | × |
Power Pagesについては、Dynamics 365 enterprise、Power Apps プランのライセンスであれば利用可能です。
また、2024年5月時点の金額を記載しています。料金詳細はMicrosoftホームページをご確認ください。
Power Platformの活用事例
Power Platformの導入を考えている企業に向けて、実際の活用事例を2例紹介します。
トヨタ自動車株式会社
トヨタ自動車は全社的にDXを推進しています。その一環として、工場での「Microsoft Power Platform」を用いた現場主体の「市民開発」によるアプリ開発が進行中です。
これにより、システム開発の内製化が実現し、リードタイムの短縮や業務効率化、デジタル領域での改善効果が得られています。共通システムの迅速な展開や、品質管理にAIを利用するなど、先端技術の活用にも積極的です。また、安価なボードコンピュータを用いた自前の装置開発も進めています。
「Microsoft Ignite」イベントでPower Platformを知り、その簡便さに驚き、業務担当者が自らアプリ開発を行うことで外部委託の必要がなくなり、効率化が進むことを確信したそうです。実際に業務効率が300%以上向上するなど、具体的な効果も確認されています。
参考:Microsoft
東京地下鉄株式会社
東京地下鉄株式会社は、Microsoft Power Appsを活用して、線路保守業務の効率化と社員の負担軽減を実現しています。都内に9つの路線があり、約200kmにも及ぶ全路線の目視での点検に膨大な時間と労力を要していました。
そこで、Azure Cognitive ServicesとPower Appsを組み合わせ、線路画像から設備劣化などの異常を自動検出するソリューションを開発しました。Power Appsで作成したアプリは、Custom Visionで構築した検出モデルと分類モデルを呼び出し、締結装置の正常/異常を自動判定します。
このソリューション導入により、点検にかかる時間を大幅に削減し、社員の負担を軽減できました。また、AIによる高精度な異常検知により、予兆保全が可能となり、安全性の更なる向上にも貢献しています。
参考:Microsoft
Power Platformの将来性
Power Platformは、今後も高い将来性が期待されています。高い将来性があるといわれる要因は、市場規模の拡大見込みと利用範囲の拡大のためです。
ローコード開発プラットフォーム市場規模は近年、右肩上がりで拡大しており今後もさらなる成長が見込まれています。
Power Platformは、さまざまな業種・職種で活用可能です。例えば、製造業では、生産ラインの監視や異常検知、流通業では、在庫管理や顧客管理、金融業では、コンプライアンス対応や業務自動化などに利用されています。今後、Power Platformはますます進化し、利用範囲も広がっていくことが予想されます。AIやIoTなどの技術との連携により、さらに高度なソリューション開発が可能になると考えられます。
まとめ
Microsoftが提供しているPower platformは、情報の共有や業務プロセスの改善につながるツールの作成が可能です。ノーコードであることからプログラミングの知識が不要で、IT人材不足の解決にもつながります。
クラウドサービスであることから、業務効率化やコスト削減、充実したセキュリティ環境に置くことも可能といえるでしょう。