グループ経営とは、親会社と子会社が統一した経営方針を持ち、組織力を発揮する経営体制を指します。グループ経営を成功させ、生産性を向上するためには、まずその基礎や概要を把握しておく必要があります。本記事では、概要情報からグループ経営がもたらすメリット・デメリット、そして成功させるためのポイントまでを詳しく紹介します。
グループ経営とは
グループ経営とは、持ち株会社を中心とし、子会社や関連会社などとあわせ、一つの大きな組織のように振る舞ったうえで経営を行う体制を指します。グループ経営では、親会社が子会社の株式の過半数を持っており、経営方針を統一することが可能です。反対に、子会社が赤字となった場合に、親会社が上場企業であると、連結決算により親会社も赤字となるリスクがあります。
経営方針の統一により、親会社と子会社でブランドイメージも統一できます。これにより、ブランディングや組織力の強化が目指せるようになります。
日本においてグループ経営のシステムが多く取り入れられるようになったのは、2000年3月期決算以降、適用される証券取引法が連結中心主義へ移行したことがきっかけです。
現在では、幅広い業界において経営強化を図る目的で、グループの再編や強化が活発に行われ、グループ経営の重要性がこれまで以上に注目されています。親会社と子会社でシナジーを発揮し、生産性向上を目指していくことが大切です。
グループ経営のメリット
グループ経営に移行する企業が増えているのは、次のようなメリットが得られるためです。それぞれのメリットの内容を、詳しく見てみましょう。
グループ全体での最適化が行える
グループ経営では、経営成績の責任単位が「会社」となるため、責任の所在を明確化できます。意思決定も迅速に進められ、効率の良い企業経営が行えるようになります。ビジネスでは素早い判断が求められる場面が多いため、物事を有利に動かせるのです。親会社がいることで、それまで難しかった新規事業への進出や、将来の有望性が見込める事業への取り組みも行いやすくなります。
また、グループ経営になると、外部から子会社を買収されてもグループ会社が消滅する心配がなくなります。これにより、グループ内の一部企業が敵対的買収の対象となったとしても、柔軟に防衛策を講じられるというメリットを発揮できます。加えて、グループ全体の業績悪化や想定外の経営難が起こった際には、グループから離脱させたうえ、子会社単位で売却する等の措置もスムーズに進められます。
親会社と子会社が互いに協力し、経営統合することでシナジーの創出が図りやすくなります。さらに、グループ全体のポートフォリオに基づいた最適なファイナンスの実行が可能になるのも、グループ経営ならではの利点です。
事業リスクを分散できる
グループ経営では、それぞれの会社が法人格を持ち事業を行うため、事業リスクを分散させられる点もメリットです。子会社のうちの1社が大きな損失を出したとしても、親会社および該当する子会社のみがリスクを負うだけで済み、他の子会社は事業が継続できます。そのため、新規事業の立ち上げなどの新しい取り組みにも挑戦しやすくなります。グループ内の企業は、基本的に親会社以外との資本関係を考慮せずともよいため、事業リスクの分散や軽減につながるのです。
また、グループ経営であっても異なる事業展開をしていると、人事制度の内容も異なります。事業にあわせた人事制度の導入がしやすくなり、各企業が行う事業への好影響も期待できます。
グループ経営の課題
ここまで、グループ経営のメリットを紹介しましたが、メリットばかりではありません。グループ経営ならではの課題もありますので、内容を具体的に解説します。
親会社に必要な情報が届かない
グループ内の各企業へ個別の強い権限が与えられると、現場レベルでの対抗意識が働きやすくなり、連携しづらくなることがあります。この状況では、経営権を持つ親会社に必要な情報が届かず、話し合いなどがうまく進まなくなってしまう恐れも出てきます。
親会社に対する求心力の低下も、懸念される課題です。親会社がグループ経営を行ううえでのビジョンを確立させ、子会社に浸透させる必要があります。また、子会社が独立企業として厳格な業績評価を求められると、他のグループ内企業に対して非協力的となるなど、セクショナリズム化してしまう可能性も否定できません。
コスト増加のリスク
グループを立ち上げる場合、事業会社が新規法人となるため、グループの管理業務を行う部門を立ち上げる必要があります。グループの規模が大きければ大きいほど、必要となる人的・物的リソースが増加します。これにより、想定以上のコストがかさんでしまうリスクがあります。組織の拡大を目指すにはコスト増加が避けられないため、抑えられるポイントを見極めて組織編成を行いましょう。
グループ経営を成功させるためのポイント
グループ経営を成功させるには、次の点が達成されていることが大切です。
- 本社の求心力が強く、意向がきちんと子会社で反映される
- 親会社と子会社の役割や責任範囲が決められており、KPI(重要業績評価指標)などで目指すべき方向性を共有できる
そのためには、次に示す取り組みを徹底して行うことが求められます。
組織再編
適切なグループ経営を目指しているものの、思ったような経営や運営ができていないと感じる親会社も多いのではないでしょうか。こういった場合、先述した子会社への権限委譲により、親会社への求心力が低下していることが原因となっているケースも考えられます。
親会社のコーポレート部門の求心力を高めるためには組織を再編し、制度や業務などの骨組みも再検討する必要があります。これと同時に、親会社の経営管理やコーポレートガバナンスのあり方を今一度見直さなくてはなりません。
組織再編は、企業の根幹に関わるものであり、頻繁に行えるものではありません。再編を行う際には、会社が目指すべきビジョンを明確化し、将来像に達するためにどのように取り組めば良いかを想定したうえで、必要な改革を断固として実行することが重要です。
業務改革
親会社と子会社の間で必要なデータを一元管理し、業務の効率化を目指すためには、情報システム基盤の統合が重要なポイントとなります。その中でも、とりわけ適切なERPの導入は効果的です。グループ企業の環境に合致したERPシステムを採用できれば、総体として行うビジネスの生産性向上に大きく寄与します。
Microsoftが提供する「Dynamics 365」は、CRM/ERP統合型のクラウドアプリケーションであり、多くの企業で使い慣れているMicrosoft Officeとも連携できます。あらゆるデータをクラウド上で繋げることで、スピーディーな意思決定を可能とし、スムーズに業務を遂行できます。
ユーザーが専門知識を持っていなくとも、直感的でわかりやすいUIにより、簡単な操作で各種アプリケーションの利用が可能です。幅広いビジネスニーズに即座に対応でき、各社が抱えるルーチン業務においても効率性向上に効果を発揮します。導入初期においては、必要と考えられる機能だけの利用から開始し、段階的な拡張が可能であるため、無理なく導入を進められます。
「Dynamics 365」の導入で、グループ全体の経営資源可視化が実現できるだけでなく、データの一元管理、コスト削減なども可能となるのです。これまでにシステムを導入された企業の事例として、会計や販売、購買、在庫までを一貫してクラウド上で管理できるまで、わずか5か月で完了したというケースもあります。ビジネスのニーズに合ったクラウド型ソフトウェアの導入を検討している企業は、「Dynamics 365」を選択肢の一つに加えることをおすすめします。
まとめ
グループ経営とは、持ち株会社を中心として子会社などをあわせ、連携して事業を推進する組織体制を指します。適切なグループ経営は、各企業の生産性向上に直結します。その際に最も重視すべきは、現場における業務環境の効率化です。グループの体制に合致するERPの導入が求められます。
Microsoftが提供するCRM/ERP統合型のクラウドアプリケーション「Dynamics 365」は、Officeとの親和性も高く、多様な事業環境を持つ子会社間の連携も図りやすいというメリットがあります。スモールスタートして徐々に必要な機能を追加することも可能なため、グループ全体での採用を検討されてみてはいかがでしょうか。