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設備保全とは?事後保全、予防保全、予知保全で設備管理台帳を効率管理する方法

クツは履き続けると次第に劣化していき、いずれ使えなくなります。しかし日常的にメンテナンスをして、可能な限り良好な状態を保つことで通常3年使えるものが5年、10年とその寿命を延ばすことができます。工場で稼働している機械や設備なども同様です。定期的に点検や修理といったメンテナンスを行っていれば、良好な状態を保ち長く稼働させることができます。

そうしたメンテナンスを施す業務を「設備保全」といいます。本稿ではこの設備保全について詳しく解説していきます。また、これらを効率的に行う方法についてもご紹介します。

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設備保全ってなに?

モノづくりに欠かせない要素は全部で4つあります。

1つはMan、作業者のことです。今現在、全自動の工場は存在しないですし、不良仕訳といった作業はやはり人が必要不可欠なケースもあります。

2つ目はMaterial、原材料や部品のことです。適切な原材料や部品をベストなタイミングで供給することで、高い生産性を生み出します。

3つめがMethod、つまり方法です。最も効率良く生産するための方法は何か?を常に考え、それを現場に適応していきます。

そして4つめがMachine、機械や設備のことです。工場では必ず何かしらの機械や設備が稼働しており、これを安定稼働させることで企業収益に貢献します。

これら4つの要素はすべて生産に欠かせないものですが、1番重要な要素を強いてあげるならばMachineです。すぐに替えのきかない機械や設備がストップしてしまうと生産は完全に止まってしまい、それに応じて生産性も下がっていきます。なので機械や設備を止めないことが最も重要なポイントです。

設備保全とはいわばそうしたトラブルが発生しないように、定期的にメンテナンスを講じてくれる作業全般をさします。

事後保全、予防保全、予知保全

設備保全の方法は大きく分けて3つのカテゴリがあります。それぞれの特徴を確認していきましょう。

事後保全

事後保全は機能が停止したり、パフォーマンスが低下した機械や設備に対し、その原因を究明して対処する業務です。機能が完全に停止してしまう故障を「機能停止型故障」、機械や設備の動きが悪くなったり性能が低下する故障を「機能低下型故障」と呼びます。

機械や設備に何らかのトラブルが発生すると、そこにどういった原因があるのかを究明することから始まります。機械・設備関連のドキュメントを確認しながら原因究明していくのが一般的です。

その場で対処可能なトラブルについては即座に修理し、新しい部品が必要な場合は発注してからトラブルに対処していきます。

予防保全

予防保全は機械や設備を継続的かつ安定して稼働させるために、点検、修理、部品交換などの保全計画を立てて定期的にメンテナンスを施していくものです。部品交換の目安については一定期間で交換する「時間基準保全」と、部品の劣化具合に応じて交換する「状態基準保全」の2通りがあります。

事後保全は実際にトラブルが発生してから動くので未然に防ぐことは不可能です。それに対して予防保全は定期的にメンテナンスを講じるので、トラブルを抑止したり機械の寿命を延ばしたり様々なメリットがあります。

予知保全

近年注目されている設備保全の方法が予知保全です。予防保全では定期的なメンテナンスを実行しますが、予知保全は機械や設備に取り付けられたセンサーからあらゆるデータを取得して、リアルタイムな状態を常に監視します。センサーから送られてくるデータを分析して、情報として表すことで機械や設備の健康状態が確認できます。

そのためトラブルの予兆を事前にキャッチし、すぐに対応することで効率良くトラブルを引き起こさない設備保全が可能になります。

近年ではこの予知保全が注目され、IoTを活用した設備保全により保全業務をサービスとして提供している企業もあります。

設備管理台帳への記載項目

設備保全ではただメンテナンスを実行したりトラブルの対処をするだけでなく、1つ1つの機械や設備がどこで・いつから稼働し、どんな対応履歴があるかなどを状態とともに台帳に管理する必要があります。主な管理項目は次のようなものです。

  • 機械や設備の購入にかかわる項目…購入・契約年月日、導入年月日、稼働開始年月日、購入金額、保守金額、購入・リース金額
  • 機械や設備自体にかかわる項目…メーカー、型式、製品名、仕様書、設計書、ロケーション、稼働ライン
  • 整備にかかわる項目…定期メンテナンス状況、社内メンテナンス状況、点検年月日、点検者
  • 故障・修理にかかわる項目…故障発生年月日、故障内容、暫定対処、修理内容、修理年月日、使用部品、修理金額
  • 保険にかかわる項目…機械向け保険の有無、保険内容

こうした管理項目を設備管理台帳に記録しておくことで、トラブルが発生した際に台帳を参照にしつつ何が原因になっているかを確認すると、素早い対応が可能です。

設備保全のシステム化が欠かせない理由

設備保全では情報管理等の仕事もあるため、システム化が欠かせない分野だと言われています。その理由とは何でしょうか?

1. 保全ルールが守られない

設備保全は誰か1人ではなく複数人で業務にあたることが多いでしょう。そうなると、必ずと言ってよいほど保全ルールを守らない従業員が出てきます。特にExcelで作成した管理台帳ベースの設備保全では、なおさらルールが守られなくなります。それならば設備保全をシステム化することで強制的にルールを守らなくてはならない状況を与えます。

2. 設備管理台帳ドキュメントの最新版が分からなくて

設備保全を行うにあたって1番困るのが設備管理台帳の最新版が分からなくなるという事態です。複数人で管理していると何が最新版か分からなくなったり、あるいは間違った更新をしたりと必ずと言ってよいほどトラブルが発生します。そのため設備保全のシステム化によってこうしたバージョン管理問題を解決します。

3.システム連携が難しい

Excelで作成した設備管理台帳等はシステムとの連携ができず、その効果を最大限引き出すことができません。ただしシステムならば機械や設備の細かい情報が記録され、これを他のシステムと連携した活用することもできます。

Dynamics 365で実現する設備保全

マイクロソフトが提供する統合アプリケーションサービスDynamics 365は、設備保全を含む様々なアプリケーションを同時に利用できるソリューションです。Dynamics 365を利用することで企業は統合的なシステム環境を手にしたり、あるいは情報活用を促進させたりと様々なメリットがあります。

さらにDynamics 365はクラウド製品です。そのため利用に必要なパソコンとインターネット接続環境それと固定の利用料金です。これさえあれば社内にいても社外にいても同じシステムにアクセスでき、かつ業務を遂行できます。

経営者にとってはDynamics 365から組織全体の情報を取得でき、経営の意思決定にその情報を活用するいわば「データドリブンな経営」を実現します。従来にはなかった設備保全を提供することで、それと同時にDynamics 365は組織全体の利便性を向上し、さらに大きな生産性を手にできます。

これからの設備保全に注目!

今後数年かけたIoTのビジネス利用が一般化すれば、設備保全もよりプロアクティブな世界へと進化します。すでにDynamics 365とIoTと連携させたりHololenzを活用したりと先進的な設備保全を行う準備は整っています。皆さんの会社でも、これからの設備保全に注目しDynamics 365を活用した適切な環境を構築していきましょう。

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