BI/データ分析

CRM分析とは?具体的に何をするのか

「顧客分析」に対して抱くイメージは、部門や担当者によって違います。たとえば、マーケティング部門にとっての顧客分析とは、商品やサービスがどういった顧客企業や消費者に需要があるかをサーチし、「彼らに接点を持つためにどうすればいいか?」を考えます。商品開発なら「顧客企業や消費者が欲しがっているものは何か?」を考えるでしょう。

CRM分析とは?具体的に何をするのか

部門が違えば定義も違う顧客分析ですが、中には組織で一貫した分析に取り組む必要があるものもあります。それば「CRM分析」です。

CRMとは「Customer Relationship Management(顧客関係管理)」の略であり、顧客との関係性を管理することに焦点を当てたマネジメント手法です。つまり、CRM分析は「顧客企業や消費者とのかかわりを明確にする」という目的があります。

本稿では、このCRM分析について基礎を解説します。なぜCRM分析が必要なのか?具体的に何をすればいいのか?気になる方はぜひ参考にしてください。

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CRM分析とは?

改めてCRM分析について解説します。一般的な顧客分析が市場における企業や消費者、いわゆる潜在顧客をターゲットとしているのに対し、CRM分析は既存顧客をターゲットにしています。この点が大きな違いです。

そもそもCRMという概念は、ずっと昔からあるものです。江戸時代には「大福帳」と呼ばれる、取引明細を管理する台帳がすでに存在し、お得意様を丁寧に扱ってきた歴史があります。1990年代後半には、顧客との関係を体系的に管理できるように、CRMシステムが誕生しています。

CRMシステムに顧客情報を蓄積していくことで、顧客と企業のかかわりを明らかにしながら、集中的に投資すべき顧客層はどこかなどが把握できるようになり、顧客満足度向上のためにスピーディな対応を実現できます。

従ってCRM分析は前述のように「顧客企業や消費者とのかかわりを明確にする」という目的の他、「誰がどれくらいの利益をもたらしているか」を把握しながら投資先を正しく選択することを促す目的もあるでしょう。

CRM分析の重要性

なぜ昨今のビジネスにはCRM分析が欠かせないのか?その理由は、「需要の多様化」に大きく関係しています。

インターネットが普及するにつれて、誰もが同じように情報を発信できる時代へと突入していきます。それと同時に「マスマーケティング時代の終焉」を迎えました。それまでテレビCMや新聞広告などを打ち出す予算を削減していた中小企業も、インターネットを使えば誰もが広範囲なマーケティング活動に取り組むことができます。

さらに、ECサイトや口コミサイトが発展したことで、顧客企業や消費者は、自身が求めている商品やサービスに関する情報を欲しいときに取得し、広く比較検討できるようになっています。テレビCMや新聞広告など情報源が限られていた時代とは異なり、今ではあらゆる情報をインターネット上で探し出すことができるのですから、誰もが自分に合った商品やサービスを求めるようになりました。これが「需要の多様化」です。

これにより、新しいビジネスが数多く誕生し、逆にこれまで主流だったビジネスが衰退していくなどの現象が繰り返されてきました。その中で企業が直面している大きな課題が、「良いモノが当たり前に売れない」ということです。

マスマーケティング時代ならば、良い商品やサービスを作り、それを大々的に宣伝すれば売れる方程式がありました。しかし現在では、「そこそこの品質で低価格なもの」や「品質は良いとは言えないが、かなり安いもの」など、同じカテゴリの商品やサービスにおいても多様化が進んでいます。

その中で顧客企業や消費者は自身にマッチした商品やサービスを好み、単に品質が良くてオーバースペックになりそうな商品やサービスは好まなくなっています。

では、どうすれば良いモノは売れるのか?それは既存顧客との関係性を改めて整理した上で、より良い関係を構築するために顧客について深く理解し、それをビジネスに繋げながら売上を拡大していくための施策を展開することです。そこにCRM分析の意義があります。

CRM分析の方法

最初のステップとしては、大量の顧客情報が必要です。ただし、CRMシステムに蓄積されている情報しか使えないわけではありません。普段Excelに記録している取引明細などを使ってもCRM分析は行えます。ただし、顧客情報の管理がシステム化されていないと、必要な情報を収集するのにかなりの時間を費やしてしまうので、CRMシステムがあるとずっと楽に分析が行えます。

具体的な分析手法としては、「セグメンテーション」「RFM」「デシル」と呼ばれるものが主流です。

セグメンテーション

CRM分析の基本となる手法です。セグメンテーションとは、共通の需要や属性情報を持った顧客をグループごとに分類する作業です。年代、生別、居住地域、購入した商品、購入金額などさまざまな分類でセグメンテーションを実施すると、今まで見えてこなかった気づきが得られます。

たとえば単純に、顧客を年代別でセグメンテーションするとすべての年代が同じ需要を持っているわけではないことに気づきます。年代によって好まれやすい商品やサービスがありますし、自社の商品/サービスがそれぞれどの年代に好まれているかを把握することは、効率的なマーケティングに繋がります。また、自社が想定しているターゲットと現実にどれくらいのギャップがあるかを把握することにも繋がるでしょう。

購入金額別でセグメンテーションをすれば、客単価の高い顧客の属性情報を読み取ることができ、積極的にセールスをかけることで効率良く売上を拡大していくこともできます。

RFM

RFM分析は「Recency(直近購入日)」、「Frequency(購入頻度)」、「Monetary(購入金額)」という3つの視点から、顧客をスコアリングしていく分析手法です。その目的は、「自社にとって重要な顧客とそうでない顧客を見極める」ことにあります。

企業のリソースは限られているので、すべての顧客に等しくセールスをかけられるわけではありません。ならば、企業にとってより重要な顧客に焦点を当てて積極的にセールスをかけなければ、売上拡大は難しいでしょう。

RとFとM、それぞれのカテゴリごとに顧客をスコアリングした上で、総合スコアやそれぞれのバランスから顧客と企業のかかわりを明らかにしていきます。

デシル

「10分の1」という意味を持つデシルは、顧客をさまざまな視点から10個のグループに分類し、それぞれのグループがビジネスにどういった影響を与えているかを知るための分析手法です。

たとえば、商品の購入金額を基準にするならば、購入金額の高い順に顧客を並べていき、上位から均等に10個のグループを作ります。顧客が1,000人いたとすれば、100人ごとのグループが10個できるでしょう。こうすることで、「上位〇グループの顧客だけで売上全体の80%を占めている」などの事実情報を確認でき、積極的に投資すべき顧客が明確になっていきます。

CRM分析では、この他にもたくさんの手法があります。まずは「CRM分析とは何か?」をより深く知り、自社と顧客の関係を洗い出すためのCRM分析に取り組んでみてはいかがでしょうか?

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