世間に受け入れられ、ヒットする商品やサービスを開発するに必要なものは何か?それは「顧客ニーズや顧客インサイトを把握するための仕組み」です。常に顧客の視点と意見を取り入れながら新しい商品やサービスを開発することで、世間に受け入れられやすい良い商品やサービスが完成します。
日本に限らず世界中のキッチンで見かけられる調味料商品「味の素」は、1909年に販売されたから100年以上愛され続けている商品です。その裏にはやはり、顧客ニーズや顧客インサイトを深く掘り下げて得られた情報から、マーケティング活動などを実施したことが大きく貢献しています。
本記事で紹介するのは、顧客ニーズおよび顧客インサイトを把握するための仕組みとなる「顧客管理システム」です。数年前に比べると導入する企業が格段に増えましたが、顧客管理システムの概要を知らない方も多いでしょう。この機会に顧客管理システムについて知り、自社ビジネスへの導入を検討していただきたいと思います。
そもそも「顧客管理」とは何か?
顧客管理というのはよく「CRM(Customer Relationship Management)」で表現されます。CRMは「顧客関係管理」の略であり、顧客の社名、担当者名、連作先情報、訪問回数、訪問日時、商談内容などを案件ごとに管理し、それらの情報を顧客と友好関係を築くために活用する活動を指します。
CRMを実施するための仕組みが完成していない企業では、顧客情報をExcelファイルで管理していたり、営業担当者個人のパソコンや記憶で管理したりしている状況にあります。顧客情報を組織的に共有することは難しいですし、状況可視化できていないことから顧客ニーズや顧客インサイトを営業戦略に取り入れられない問題が生じます。
つまりCRMを実施することは、顧客情報を管理して顧客との関係性を構築するだけでなく、営業戦略や経営戦略などに適切な顧客情報を反映させる意味でもとても重要な活動なのです。
顧客管理システムの概要
では、顧客管理システムは何のために導入されるのか?前述したCRMを実施するには、組織的に一貫したシステムでの情報管理が必要にあります。Excelファイルを情報管理に活用するケースは多いですが、リルタイム性や更新性に優れていないため、CRMには向いていません。営業担当者ごとのパソコンや記憶で顧客情報が管理されているような状況はもってのほかです。
顧客管理システムが導入されている環境では、営業担当者やカスタマーサポートは顧客に関する情報を一貫されたシステムに入力します。そうすることで、すべての顧客情報はシステムに一元管理され、それらの情報を組織的に利用できるというわけです。
ほぼリアルタイムに近い状態で顧客情報が管理できるようになると、それらの情報を素早く営業戦略や経営戦略に取り入れられたり、詳細な顧客情報を共有しながら組織的な営業活動に取り組めたりします。顧客管理システムが具体的にどういったメリットを持つのかを以下に説明します。
顧客管理システムのメリット
- これまで組織全体に分散していた顧客情報をシステム上で一元管理できる
- 顧客情報はリアルタイムに近い状態で更新され、常に適切な情報が管理される
- 営業担当者とカスタマーサポートの連携不足を解消して、顧客ごとの状況に応じたビジネスが展開される
- 顧客ニーズや顧客インサイトを掘り起こすための情報が自然と集約される
- 分析ツールと連携することで顧客分析を半自動化し、ビジネスの効率性が高められる
- マーケティングツールとの連携によって顧客の行動情報などをシステムに蓄積できる
- 名寄せ機能等を使って重複している情報を統合して、常に正確な顧客情報が管理できる
- 営業担当者が外出先から顧客情報の更新作業が行えるため、営業効率を改善できる
- 同時編集に対応しているため更新にかかる手間を少なくできる
- 顧客情報へのアクセスを特定のユーザーに限定できるため、不用意にコピーが作られる情報漏えいリスクを低減できる
このように、顧客管理システムにはさまざまなメリットがあります。これらのメリットを最大限引き出しながら顧客管理システムを活用すれば、顧客ニーズや顧客インサイトを掘り起こすための仕組みを作り、商品開発やサービス開発、さらには顧客満足度向上などに貢献できます。
顧客管理システムの分類
一口に顧客管理システムといってもいくつかの種類があります。一般的には「クラウド型」と「ソフトウェア型」、「汎用型」と「特化型」に分類されます。
「クラウド型」と「ソフトウェア型」
クラウド型とは、クラウドサービスとして提供される顧客管理システムのことです。サーバーやパソコンにソフトウェアをインストールすることなく、インターネット経由で顧客管理システムが利用できます。従って、外出先から顧客管理システムにアクセスするのも用意で、活用の幅が大きく広がります。
ソフトウェア型とは、サーバーやパソコンにインストールして利用する顧客管理システムです。カスタマイズ性に優れた製品が多く、独自の要件に合わせた顧客管理システムを構築できます。
「汎用型」と「特化型」
さまざまなビジネスに対応した顧客管理システムを汎用型と呼びます。さまざまな業界で共通した顧客管理のための機能を搭載しているため、標準的に利用できるのがメリットです。
一方、特定の業種に沿って作られた顧客管理システムを特化型と呼びます。特殊なビジネス形態を持つような場合、特化型の顧客管理システムを構築・導入するケースが多いでしょう。
これらの分類はあくまで目安なので、顧客管理システムによってはこれに限定されません。大切なのは、「自社にとって本当に必要な顧客管理システムとは何か?」を慎重に考えて、適切な製品を導入することでしょう。
クラウド型顧客管理システムのすすめ
数ある顧客管理システムの中でも特に注目されているのが、クラウド型顧客管理システムです。このタイプの顧客管理システムは、外出先からシステムにアクセスできるだけでなく、システムの運用管理を効率化できるメリットもあります。
ユーザーはインターネット経由で顧客管理システムを利用することから、システムの運用管理はすべて提供事業者が行っています。そのため、ユーザーが運用管理に関わることなく、物理的なメンテナンスなど不要で顧客管理システムを導入できます。さらに、費用はユーザー数に応じてかかる料金だけなので、顧客管理システムにかかるコストを可視化できるのも大きなメリットです。
システムは常に最新の状態が保たれていますし、サービスによってはセキュリティ体制も万全なので、サイバー攻撃などによって顧客情報が漏えいする心配もありません。独自のセキュリティ対策を実施するよりも、クラウド型顧客管理システムを利用する方が強力なセキュリティを敷けるケースが多いでしょう。
もちろん、すべての企業にとってクラウド型顧客管理システムが最適解になるわけではありませんが、多くの企業にとって有効的なことは確かです。顧客管理システムを導入する際は、ぜひクラウド型に着目してみてください。