「Webアプリ」とは「スマホアプリ」や「ハイブリッドアプリ」と同様に、近年多くの企業が注目しているアプリケーションです。本記事では、Webアプリ・スマホアプリ・ハイブリッドアプリの特徴を比較しつつ、Webアプリ開発の流れや、アプリ開発におすすめのツールについて解説します。
Webアプリケーションの種類とは
アプリケーションには、「Webアプリ」「スマホアプリ(ネイティブアプリ)」「ハイブリッドアプリ」などの種類があります。中でもWebアプリは、インターネットに接続して使用できる点がスマホアプリと大きく異なります。Webアプリは主にSNSやECサイト、仕事効率化、キュレーションサイトなどが該当し、日常生活や仕事、買い物などさまざまな用途に使用可能です。
Webアプリ
Webアプリは、インターネットにつないでオンライン上で利用できるアプリケーションのことです。スマホアプリやハイブリッドアプリのようにデバイスへダウンロードする必要がないため、ブラウザ上で使用できます。
代表的なWebアプリには、Twitter・Facebook・Gmail・YouTube・Skype・食べログなどがあります。掲示板やニュースアプリなどの作成も可能で、買い物やお店の予約、コメントの作成など、さまざまな機能を使えるWebサイトが該当します。
Webアプリは大きく分けて、ユーザーがアクセスして操作する「クライアントサイド(フロントエンド)」、ユーザーには見えずクライアントサイドから入力されたデータを処理する「サーバーサイド(バックエンド)」、ユーザーの処理に対してデータの表示・保存・管理を行う「データベース」という、3つのアプリケーションで構成されています。それぞれ仕組みはもちろん、使用する言語などにも違いがあります。
スマホアプリ(ネイティブアプリ)
スマホアプリとは、ダウンロードしてスマートフォンやタブレット端末にインストール後、使用するアプリケーションのことです。iTunes StoreやGoogle Playに登録されているものが主で、端末にインストールするためオフラインでも使用できるものが多数を占めています。
端末上で動作するためWebアプリよりも動作が速く、プッシュ通知が可能などのメリットがあります。ただし、スマートフォンのOSにはiOSとAndroidの2種類があるため、スマホアプリ開発の際は、OSごとに言語を変えなくてはなりません。また、スマホアプリはOSアップデートの影響を受けるため、OSのバージョンによって動作しなくなる場合もあります。
ハイブリッドアプリ
ハイブリッドアプリは、Webアプリとスマホアプリの両方の特徴を持ったアプリケーションです。要はWebサイトを開発する技術で作られたスマホアプリであり、デバイスにインストールして使用可能です。また、スマホアプリと同じくOSのWebView上で動作します。
デバイスについているカメラやGPSなどの機能を使えるため、通常のスマホアプリを使っている感覚で使用できます。ただし、アプリの中身はインターネットでつながっているWeb上のコンテンツであるため、スマホアプリよりも速度が遅く、オフラインでは使用できません。
ハイブリッドアプリ開発には専用の開発環境が必要で、主にWebアプリ開発に関係するプログラミング言語を用います。一般的には特定のフレームワークを用いるため、フレームワークの種類によってはプラグインの種類が限られたり、高い機能を付けられなかったりするなど、フレームワークに依存しやすい特徴があります。
Webアプリケーション開発の手順と流れ
Webアプリ開発においては、サイトマップ・ワイヤーフレーム・プログラミング言語・フレームワーク・アプリ開発ツールなど、決めなければならないことが色々あります。スムーズにWebアプリ開発を行うためには、適切な手順で開発を進めることが大切です。
目的や要件定義を固める
最初にWebアプリを開発する目的を設定し、ユーザーの要望をヒアリングして書き出します。そして、ユーザーの要望に確実に応えるため、必要な機能をまとめて要件定義を完成させましょう。
システムの概要・導入目的・導入後の業務フローを作成するなど、実際にWebアプリがどのように使用されるのかを考え、現状の課題や目的とする使い方を確認しながら、搭載する機能を決めることが大切です。Webアプリ開発を成功させるためには、このように目的や要件定義の設定をしっかり詰める必要があります。
サイトマップ・ワイヤーフレームを設計
Webアプリの内容や要件が決まったら、次はWebアプリのページ構成がわかるサイトマップと、各Webページの設定が書かれているワイヤーフレームを設計します。サイトマップでは、トップページからツリー上につながっていくWebページを一覧で書き出します。サイトマップでの管理は、余分なページや不足ページの把握に便利です。
一方、ワイヤーフレームは、それぞれのページを詳細に理解するための設計図です。どのページにどんなボタンやリンクを配置するかを記載しておくと、各ページのレイアウトが把握しやすくなります。
データベースの構築が必要な場合は、データベース設計も作成します。データベース設計では、データの内容や収集・管理についてフローを作ることが大切です。Webアプリの内容や機能が変化する際、管理するデータが変更されるケースもあるので、変更時にも対応しやすいよう一元管理できるデータベースを設計するのがおすすめです。
プログラミング言語とフレームワークを決める
Webアプリ開発の形が決まったら、どのプログラミング言語とフレームワークを使うか検討します。クライアントサイド・サーバーサイド・データベースのどの開発をするかによって、選ぶプログラミング言語が異なるため要注意です。プログラミング言語にはそれぞれ特徴があるので、作りたいWebアプリの機能に適したものを選びましょう。
【クライアントサイド】
クライアントサイドのWebアプリ開発には、「JavaScript」「Java」「HTML/CSS」などの言語が多く使用されます。開発言語を決めたあとは、利用できるフレームワークの選択が必要です。JavaScriptには「Vue.js」「React」の利用が適していて、とりわけWebアプリ開発では「Webフレームワーク」を活用するとスムーズに開発できます。
【サーバーサイド】
サーバーサイドの開発では、「Ruby」「Python」「PHP」といった言語が用いられます。Pythonは実行速度が遅いものの、AIのプログラミングにも使われるなど、今注目されている言語です。また、基礎的で扱いやすいRubyやPHPも人気があります。PHPでは「CakePHP」、Rubyでは「Ruby on Rails」などのフレームワークを使うケースが一般的です。
【データベース】
データベースで主に使用される言語は、「Oracle」「MySQL」などです。アプリ開発をスムーズに行うために、適したフレームワークを選択しましょう。
アプリ開発ツールを選定する
アプリ開発ツールを使用すると、効率よくアプリ開発が行えます。プログラム変更履歴を管理する「Git」システムをGUIで使用可能にする「Source Tree」や、Gitをメンバー同士で共用できる「GitHub」などが代表的です。そのほか「Cacoo」も、仕様書や画面遷移図などを作成する際に役立ちます。
公開する
Webアプリの開発が完了したら、アプリをインターネット上に公開します。レンタルサーバーを借りて公開するのが一般的です。AWSやAzure、Herokuなどのアプリケーションプラットフォーム(PaaS)サービスを利用すると、手軽にWebアプリを公開できます。ただ公開するのではなく、公開後の宣伝方法やマーケティング活動まで決めておくことが大切です。
Power Appsでアプリケーション開発を効率化
Microsoft社が提供している「Power Apps」は、Microsoft Dynamics 365で利用できる、カスタマイズされたアプリケーションの開発が容易に行えるツールです。プログラミング言語を使わず、ローコードでアプリケーションを開発できるのが特徴です。
Power Appsでは、拡張性の高いプラットフォームでメタデータを操作したり、カスタムコネクタを作成したりできます。また、外部データを統合することも可能で、さまざまな方法でデータ管理が行えます。
Power Appsには「ユーザー向け」「管理者向け」「開発者向け」の使い道があり、それぞれのアプリケーション開発に対応しています。Microsoft社のデータベースとも親和性があるため、データを格納してセキュリティ保護することが可能で、アプリから直接データに取り込めるなどのメリットもあります。
まとめ
Webアプリには、SNSやECサイト、仕事効率化アプリなどさまざまな種類があります。Webアプリはユーザー側が操作する「クライアントサイド」、入力されたデータを処理する「サーバーサイド」、データを保存・管理する「データベース」に分けられ、それぞれ異なるプログラミング言語で開発しなければなりません。アプリの目的に適った言語を選び、手順通りに開発を進めることが大切です。
Power Appsは、プログラミング言語を使わずにアプリ開発が行えるツールです。自社に適した機能を搭載できるうえ、外部データの統合やメタデータの操作も行える使いやすさが魅力です。アプリ開発を効率よく進めるためにも、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。