現在、建設業は需要の高さから「建設バブル」と言われています。しかし、2020年は新型コロナウイルス感染拡大に伴い、あらゆる業界が大打撃を受けたことから、市場は大きく変化しました。
そんな中、建設業は、どのような影響を受けたのでしょうか。そして現在、建設業はどのような課題を抱え、どうクリアしていくことが求められているのでしょうか。
今回は、建設業における最新の動向と注目が集まる課題についてわかりやすく解説していきます。
建設業の最新動向とは
近年、建設業は「建設バブル」と言われ、需要が大幅に高まっている傾向が見られました。しかし現在は、コロナ禍の煽りを受け、その影響は多かれ少なかれ建設業界にも及んでいると考えられます。
今後の建設業における課題を考えるうえで、まずは建設業の最新動向を詳しくチェックしていきましょう。
建設バブルは今後も加速する
結論からいうと、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けても、建設バブルは今後も加速すると見られています。というのも、今後、東京オリンピック以外にもさまざまな大規模イベントや事業計画が進む傾向にあり、建設需要は高まる一方と考えられるためです。
予定としては、以下のようなイベントがピックアップできます。
- 東京メトロが銀座線全駅を2022年までにリニューアル予定
- 2025年の大阪万博開催に向けた各種インフラの整備
- 品川と名古屋を結ぶリニア中央新幹線開通プロジェクトが2027年までに進む予定
これに加えて、カジノ新設で話題になっているIRリゾート建設のプロジェクトも進むことが考えられます。そのため、建設バブルはコロナ禍の煽りを受けてもまだまだ収まる傾向が見られず、需要は変わらず増していくことが予想されます。
既存の建造物の維持管理も上昇トレンド
既存の建造物の維持管理に関しても、上昇トレンドになっているのが建設業の最新動向です。
ポイントとなるのは、高度経済成長期以降に整備された建造物の維持管理の需要が、今後は大幅に増えていくという点です。今後20年を見たとき、築50年以上になる建造物が多くを占めるようになります。結果、建設業は維持管理に追われることになると予測されるのです。
また、国土交通省の調査によれば、2013年度の維持管理・更新費は3.6兆円だったことがわかっています。これを受けて国交省は、10年後、20年後の維持管理・更新費の予想を発表しています。
10年後の2023年は約4.3~5.1兆円、20年後の2033年は4.6~5.5兆円です。維持管理の需要は、このように増加の一途をたどっていくと考えられているのです。
コロナ禍における建設業の現状
では、建設業は実際のところ、コロナ禍でどんな影響を受けたのでしょうか。
企業短期経済観測調査によれば、2020年6月(※1)の建設業は3月(※2)の調査と比べるとマイナス21ポイントの結果になっています。しかし6月のみを単体でチェックすると、プラス15ポイント。増加自体は維持していることがわかります。
このポイントは業況判断指数と呼ばれ、「景気がよいと感じた企業の割合」-「景気が悪いと感じた企業」で出される数値になります。このマイナス幅が大きくなればなるほど、業況が芳しくないことがわかるのが特徴です。
そのため、コロナ禍によってある程度の影響は受けているものの、増加を維持しているという点では、建設業の需要は依然として収まっていないと言えます。
建設業が抱える課題
建設業は、業界として好調であることは変わらないものの、業務効率化や人手不足などの点でさまざまな課題を抱えていることは確かです。
最後に、今後の建設業において解決が急がれる課題について詳しく考えていきましょう。
業務効率化の課題
建設業はノウハウをテンプレート化して効率向上を目指すことが難しく、システムに頼りにくいという特性が目立ちます。属人化にも陥りやすく、「誰でもノウハウを習得すれば効率的に業務を進められる」という環境整備を実現しづらい、というデメリットを持ちます。
また、建設業は業界自体が多重請負構造になっているという特徴もあります。そのため、情報がさまざまな場所で共有されるようになり、かえって全体像を客観的に把握しにくいという問題を抱えています。
建設需要の増加に伴い、こうした業務効率化の課題をどうクリアしていくのかが、今後の業界成長について鍵になるでしょう。
人材不足の課題
建設業は、慢性的な人材不足に悩まされています。機械任せではなく、人の力でしかこなせない業務が多いという特徴があります。そのため、建設需要に応えるためには、多くの人材が必要となることは否めません。
こうした事情により、建設会社は待遇を積極的に改善し、福利厚生を充実させるなどの取り組みを実施する必要があるでしょう。人手不足になりやすい理由としては、肉体労働できつい仕事が多いにもかかわらず、それに見合った賃金がもらえないといった場合も考えられます。
デジタル化が遅れている
建設業は確かに人の手で行わなければならない業務が比較的多いことで知られますが、デジタル化の遅れも課題として指摘されています。
「システム任せではなく人の手で作業しなければならない」という特性が習慣化していることもあるでしょう。そのため、打ち合わせや業務連絡、その他書類や図面の管理などもアナログな手法が取られることが多いです。
しかし、近年はそういったアナログ環境にメスを入れ、PCやスマートフォンで事務処理を積極的に行うように、業務効率化を図る建設会社も増えてきています。システムに頼れる業務は積極的に頼り、業務環境を整備していくことが、建設業務の効率化へ向けた、大事なポイントになるのです。
テレワーク制度の導入
当然、建設業における現場作業はテレワーク化が不可能です。しかし、事務作業や設計業務などは環境の整備次第では、テレワークは実施可能です。
現場作業が中心となる建設業は、テレワーク推進は確かに難しいかもしれません。しかし、テレワーク化できる部門は、やはり早い段階でその流れに対応していくことが重要となるでしょう。これも建設業で課題となっている業務効率化をクリアする鍵の一つになります。
テレワーク化に併せて、クラウドストレージ・オンラインミーティング用のビデオ通話・勤怠管理システム・会計システム、といったITツールの活用も進むでしょう。これらツールの導入により、さまざまな業務の無駄を省き、コスト削減につながります。ここで浮いたコストを従業員の待遇向上に活かせば、人手不足を補うことにもつながるでしょう。
まとめ
コロナ禍の煽りを受けても、建設業では依然として建設バブルが健在しています。今後も建設需要は高まっていく傾向があります。そうした需要増加と共に、業界を今日の社会で成長させていくためには「非効率な業態・人手不足」そして、「デジタル化の遅れ」などの課題をクリアしていく必要があります。
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