皆さんが運営しているWebサイトには「接客機能」が備わっているでしょうか?最近では、Eコマースや製品紹介サイトを中心に「Web接客」が拡大しています。
Web接客とは文字通り、Web上での接客を指します。実店舗ではスタッフがお客様に商品説明をしたり、提案をしたり、コミュニケーションを重ねることで対面するお客様の購買意欲を高めたり、顧客が納得のいく形で商品やサービスを提供しています。最近ではファストファッション業界では「接客しないサービス(接客を極力抑えたサービス)」が一般化していますが、高額商品になるとやはり接客は重要であり、お客様ニーズへ最大限対応するためには欠かせません。
そんな接客機能をWebサイトに搭載することで、Web上で商品説明を行ったり新しい提案をしたりと、実店舗同様とまではいかずとも、お客様ニーズに最大限応えることができます。
Web接客の基本
Web接客を実施するにあたってまず基本と考えられる技術が、サイトに埋め込む「チャットツール」です。
ECサイトや製品紹介サイトにアクセスした際に、画面下部から「お困りのことはありませんか?」などの文言と共に、メッセージのやり取りをするスペースが登場したという経験はないでしょうか?これはインターネットの向こう側にいる担当者と直接メッセージのやり取りをするためのスペースで、Web接客そのものだと言えますし代表的なものなのです。
そのスペースで担当者とメッセージを取り交わすことで商品やサービスに関する疑問を解消したり、いろいろな要望に応えることができます。チャットツールならばその場でメッセージを送れますし、お客様に手間を取らせないという意味でも、Web接客に欠かせない基本形です。
Webサイト閲覧中に表示されるポップアップに関してもWeb接客の1つだと言えます。お客様のそれまでの行動履歴と1つのページでの滞在時間に応じて表示されるクーポンなどのポップアップは、自動的に表示できるため人手を必要としません。
Web接客のメリット
メリット1. お客様の疑問や悩みを解消できる
近年EC市場が急速な拡大を見せています。経済産業省の調査によれば平成29年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、16.5兆円(前年15.1兆円、前年比9.1%増)に拡大し、BtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は317.2兆円(前年291.0兆円、前年比9.0%増)に拡大しています。
Webサイトを通じたビジネスは年々拡大しており、Webだからこそ発生するトラブルというのも急激に増加しました。そうしたトラブルを回避することは顧客満足度を向上するという面でも、対応コストを低減するという面でも欠かせません。
しかし、Webサイトでは商品を手に取って確認したりはできないのでトラブルが後を絶えません。ただしWeb接客があればお客様は担当者とコンタクトを取り、商品に関する疑問や悩みを解消した上で商品を購入できるため、多くのトラブルを回避できます。
メリット2. 離脱率を低減できる
Webサイトで商品やサービスに関する疑問・悩みを解消できないと、後々トラブルにつながるだけでなくお客様がWebサイトから離脱する可能性が大きくなります。それは企業にとって大きな機会損失を生む結果になるでしょう。Web接客でお客様とコミュニケーションを取り、疑問や悩みを解消することは離脱率の回避にもつながります。
メリット3. 購入率が向上する
商品購入率を上げるためにはお客様に「納得」を提供することが大切です。しかしながら、実店舗ではないWebサイトでは納得を提供することが難しくなってしまいます。そこでWeb接客を取り入れて商品やサービスに関する情報を積極的に提供することで、購入率を上げることができます。
以上のメリットから考えると、現代のWebサイトビジネスにはWeb接客が欠かせないと言えるでしょう。
Web接客ツールの代表的なツール
チャットツール系
チャットツールはお客様にとっても担当者にとっても素早くメッセージのやり取りができるため効率性に優れています。
sinclo(シンクロ)
コンタクトセンターシステムメーカーであるメディアリンクが自社開発したWeb接客ツールです。Webサイト訪問者の情報を可視化するだけでなく、事前に設定した条件にしたがって訪問者に話かけるオートメッセージ機能が備わっています。
SYNALIO(シナリオ)
コンバージョン率向上を目的にしたチャットボット型Web接客ツールです。会話データを取得してWebサイト訪問者の興味関心にもとづき、自動でセグメント化を実行します。
ポップアップ系
ポップアップツールはWeb接客を完全に自動化し、かつセグメントに従って最適な表示をするため効率的なツールです。
Sprocket(スプロケット)
お客様の離脱する心理に着目して接客オートメーションを実現するWeb接客ツールです。Webサイト訪問者の行動を分析し、行動に応じた施策の一元管理が可能です。さらにABテスト機能で様々な分析結果を得ることができます。
Hang on(ハングオン)
完全成果報酬型のユーザー離脱防止ツールです。レコメンドやメッセージの表示、メール送信など様々な手段で離脱防止を実行します。Webサイトの一部のようにコンテンツを表示できるため、お客様にとっての煩わしさを軽減できます。
Web会議システム系
Web会議システムはお客様とフェイストゥフェイスのコミュニケーションが取れるということで、商品のデモ実演をしたりと色々な使い道があります。
Skype for Business
Microsoftが提供するWeb会議システムです。組織内のWeb会議システムとして利用することはもちろんのこと、外部ユーザーを招待することでWeb接客ツールとして利用できます。
Web接客で注意する点とは
ここまでご紹介したように、現代デジタルビジネスにWeb接客は欠かせませんし、Web接客を実現するためのツールはたくさん存在します。ただし、Web接客ではいくつか注意点があります。
まず「執拗な接客をしないこと」です。実店舗でも同じですが、必要以上の接客はお客様に嫌がられる原因になります。Web接客でもチャットツールで過度なやり取りを求めるような行動は離脱につながるでしょう。
もう1つの注意点は秘密保持を徹底することです。お客様とのやり取りの中で個人を特定するような情報を受け取ることがありますが、プライバシーポリシーに従って徹底した管理を行いましょう。
これらの点に注意して、Web接客に取り組んでみましょう。