在庫管理は「経営そのもの」と言えるほど重要な業務ですが、皆さんの会社では在庫をどのように管理していますか?
在庫管理システムを運用しているという企業が多いでしょう。しかしそのシステムは、数十年前に構築したメインフレームを使用したものだったり、多くのアドオン開発を加えたレガシーシステムによる運用だったりします。そうしたシステムを運用し続けることに対し、経済産業省は「DXレポート」にてその危険性を明示しています。
本稿では、これからの在庫管理システムに求められる機能とは何なのか?在庫管理システムの基本から解説していきます。
在庫管理システムに必要な一般的機能
在庫管理システムとは文字通り、在庫を管理するためのソリューションです。では、在庫管理システムには一般的にどのような機能が必要なのでしょうか。
機能1. 入出庫管理
入荷・出荷する予定の製品、それらの検品作業などをサポートするための機能です。製品を保管する際に製品情報が記載されたバーコードを発行したりと、入出庫を管理します。また、入荷した製品と出荷した製品の両方をシステム上で自動的に管理するための機能も提供します。
機能2. 検品
入荷・出荷する製品の検品作業を効率化する機能です。企業に出入りする製品の実数と伝票上の数、品目などに誤りがないかを確認するために、ハンディターミナルやタブレット等を用いてシステムと連携し、バーコードを読み取るだけでシステムに反映させることができます。それによって検品作業を半自動化し、作業担当者の負担を大幅に軽減できます。
機能3. 在庫一覧
製品ごと、保管場所ごとなど任意の切り口から在庫数を管理できる機能です。ピッキングリストを作成したり、出荷する製品データだけを抽出するなども可能になります。
機能4. 返品管理
出荷した製品が返品されることは多々あります。返品された製品への対応が担当者ごとに異なると、在庫情報が混乱してしまうので返品管理機能によって統一された管理を実施し、情報の複雑化を防げます。
機能5. 棚卸
実在庫とシステム上の在庫データが合致するかを確認するための棚卸では、ハンディターミナルなどとシステムが連携することで作業を効率化できます。在庫管理システムによっては月次や週次など様々な形で棚卸に対応しています。
機能6. 在庫分析
過去から現在に至るまでの入荷・出荷・在庫データを分析することで、市場における需要予測や在庫リードタイムの算出などが行えます。在庫管理システムによっては高度な分析機能を備えており、在庫データを分析することで様々な事象が予測できます。
機能7. データ抽出
任意の切り口から在庫データなどを抽出することで、BIツールなど外部と連携することでデータ分析を促進できます。また、説明用資料を作成するために在庫データを抽出したい場合も、Excelへのエクスポートが可能なシステムが多いでしょう。
機能8. マスター管理
在庫管理システムにおけるマスター管理は、主に製品データを適切に管理するための機能です。在庫区分や保管スペース、取引先やシステム担当者などからマスターデータを登録できるので、データ管理の効率性が向上します。
現代ビジネスに求められる在庫管理システムとは?
製造業にとって在庫管理システムは生命線のような役割があります。在庫は現金化を待つ資産であり、在庫をなるべく持たずにいかに消費するかが企業利益を決定することになるからです。では、現代ビジネスに求められる在庫管理システムとは一体どのようなものなのでしょうか?
まず、昨今のトレンドとして挙げられるのが「クラウドベースで提供されていること」です。クラウドはインターネット経由で提供されるサービスであり、従来のメインフレームやオンプレミスシステムに比べて物理的なメンテナンス作業が不要なので、システム管理担当者の負担を大幅に軽減できるのが特徴です。
もう1つのトレンドは、「多様なシステムと連携していること」です。在庫管理システムはそれ単体でも在庫管理業務を効率化する力がありますが、他のシステムと連携することでより大きなインパクトをもたらすことができます。例えば出荷に関する承認フローを回す際に、コミュニケーションツールと連携することで決裁者へ自動的にメッセージが送信されるようにして、承認されたら自動的にシステムへデータが反映されるよう連携することで効率的な在庫管理業務が実現します。また、サプライチェーンと連携することでシームレスな業務が遂行できるでしょう。
Dynamics 365による在庫管理問題の解消
日立ソリューションズが支援した、スターライト工業株式会社におけるDynamics 365による在庫管理問題の解消についてご紹介します。
スターライト工業株式会社では、理論在庫と実在庫に差異が生まれていたことによって理論在庫情報の精度は満足できるものではなく、これを優先的に解消すべき問題だと定義していました。従来はExcelシートで作成した帳簿に入庫・出庫を手入力する方式であり、同様の在庫管理方式を取っている企業は多いかと思います。
そうした問題を解消するために、日立ソリューションズの「Microsoft Dynamics 365 統合ERP構築サービス」を採用した結果、在庫管理業務が毎月末の棚卸業務でも理論在庫の精度が高まったことが確認でき、あるべき姿に近づいたと評価しています。また、正確な理 論在庫量に基づいた所要量計算も可能となり、発注量と在庫の最適化などの効果も期待できます。
製造業において理論在庫と実在庫が合わない問題は多々発生し、合致率を高めることで適正在庫の意地やキャッシュフローの改善を実現し、収益性の高い企業体質を手にできます。また、Dynamics 365は統合型のビジネスアプリケーションなので、特別な連携を取らずとも在庫管理システムとその他のシステムが連携されているため、在庫管理情報をあらゆるシーンで有効活用できるのが特徴です。
その他、Office 365やExcel・PowerPointなどのOfficeスイート、Power BI等との連携が可能であり様々な形で在庫管理データを活用できます。現在、在庫管理について様々な問題を抱えている場合は、この機会に「Microsoft Dynamics 365」をぜひご検討ください、