「顧客第一主義」を掲げ、顧客満足度向上を目指している企業は多いかと思います。
ニーズが多様化した現代において、顧客ごとに適したマーケティングや営業活動、サービスを展開することは重要です。
しかし、実際問題、社内の顧客データがあまりに分散していて、満足に顧客情報管理ができていないという企業が少なくありません。顧客ごとに適したマーケティングも、新たな戦略の創出も、やはり一元的に管理されている顧客情報あってのものでしょう。
そこでこうした課題を解決するために、多くの企業がCRMシステムを導入します。
CRMシステムを導入すれば顧客情報を一元的に管理し、営業部署全体でプロセスを統一かし営業活動に取り組め、蓄積したデータをマーケティングや顧客分析に活用することが可能です。
ただし、CRMシステムの導入と運用に成功し、社内システムとしてしっかりと末端まで浸透した場合の話になります。
ではCRMシステムの導入における成功ポイントとは何か?
今回は3つのフェーズに分けてCRMシステム導入の成功ポイントを紹介します。
CRM導入前準備
導入前準備は、適切な導入を行うためにはもちろん、導入後の運用を適切に行うための基盤となるフェーズです。この段階では、導入体制を整え現状課題を以下に明確化するかが大切となります。
導入体制を整える
CRMシステム導入においてよくある失敗が、トップダウンで導入を進めたはいいものの、導入体制を整えていなかったがために運用がガタガタになってしまったというケースです。
まずはCRMシステムの導入プロジェクトを立て、必要に応じてプロジェクトチームを整える必要があります。
そしてチームメンバーとして相応しいのが、関係部署の責任者です。責任社がチームメンバーであれば、スムーズな進行が可能です。
導入目的を明確にする
売上拡大を狙うのか、顧客満足度向上をしたいのか、あるいは顧客分析がしたいのか、CRMシステムの導入目的が明確になっていない企業が意外と少なくありません。多くの場合、「導入すれば効果が出る」と誤解してしまっています。
そもそもCRMシステムを顧客情報を一元的に管理したり、営業部署の業務効率化を目指したり、蓄積したデータを分析したり、運用次第で導入効果が大きく左右されるシステムです。
このため導入目的がブレていると、適切な運用はおろか製品選定にも失敗する可能性があります。
「何のために導入するCRMシステムなのか?」を明確にし、導入や運用における礎を作る必要性があるでしょう。
導入前分析を行う
CRMシステム導入前にどのような課題が存在するのか?どうすれば解決するのか?業務への影響度や優先度?など、こうした導入前分析を行わなければ、導入段階で次々と問題が発生する可能性があります。
また、導入前分析を行い自社に必要な機能とそうでない機能を明確に定義することで、製品選定時の役に立てることができます。
CRM製品選定時
CRMシステムの導入を成功させるポイントとして、最も重要なのが製品選定時です。CRMシステムは決して安い投資ではないので、導入後にリプレースするというわけにもいきません。
従って適切な製品選定が強く求められます。
ニーズに合致した製品を選ぶ
まず大切なのは、低コストや多機能のCRMシステムを導入することでなく、自社環境に最適なCRMシステムを導入することです。そのためには自社ニーズに合致した製品を選ぶ必要があります。
ですので予め機能要件を整えておき、それに沿って製品選定を進めることが重要です。また、要件定義の際は各部署からの意見を吸い上げ要件に反映しておくことで、現場を意識した製品選定が行えます。
製品ごとに費用対効果を算出する
CRMシステム導入において導入コストはやはり気になるポイントですが、可能な限り費用対効果で選ぶことをおすすめします。予算にまったく見合わない製品を選ぶことはできませんが、コストを意識し過ぎるのも導入失敗のもとです。
そこで導入後の効果、費用対効果を算出することで、導入するメリットのある製品なのかを検討していきましょう。
使用確認を行う
どれだけ素晴らしく見えるCRMシステムでも、実際に使用してみるまでは自社にとって最適かどうかは分かりません。従って導入前に必ずトライアルを実施し、使用確認を行いましょう。
使用確認を行う際は、実際に使用する複数のエンドユーザーにシステムに触れてもらい、現場の声で評価するのが良いかと思います。
ベンダーサポートまで気を配る
始めてCRMシステムを導入する企業にとって、ベンダーサポートは最も重視すべき項目の一つです。万が一トラブルなどが発生しても、ベンダーのサポート体制がしっかりとしていれば、迅速に対処することができます。
CRM導入後運用
導入準備段階や製品選定時において、運用のためのレールがしっかりと敷かれていれば、CRMシステムはそれなりに機能します。しかし、導入効果を最大限に引き出したいというのであれば、導入後も守るべきポイントがあります。
サポートデスクを設置する
エンドユーザーがCRMシステムに対し改善して欲しい点や、わからないことがあったとしても、サポートデスクが設置されていなければエンドユーザーのフラストレーションは溜まっていきます。
そうして次第に「使いづらいシステム」というレッテルを貼られてしまい、次第に利用されてなシステムとなってしまうので注意が必要です。
最低でも導入後半年間は、エンドユーザーからの疑問や要望に応えるサポートデスクを設置しましょう。
導入後も担当者が運用管理を行う
入念な事前準備と適切な製品選定でせっかくCRMシステムを導入しても、導入後の運用が各部署ごとに丸投げになり、結局のところCRMシステムで導入効果を得られなかったというケースが少なくありません。
ローカルルールが細分化することで、導入効果を得られないはおろか、導入前とまったく変わらない状況になることも多いのです。
そのため導入後も担当者が運用管理を行い、各部署の運用を取りまとめる存在が必要です。
データ入力状況(利用状況)を確認する
CRMシステム導入開始後は各部署が一斉に利用をスタートしますが、その後の利用状況に大きな差が出てしまうことがあります。そこで、組織全体で足並みを揃えて運用していくことが重要になります。
そのためにデータ入力状況の確認は必要です。
エンドユーザーが入力しているデータや、入力頻度などを確認すれば、どこの部署が遅れているのかが把握できます。
各部門にキーパーソンを配備する
CRMシステム導入後のサポートデスクを設置するのは重要です。そして、エンドユーザーからの要望に迅速に応えるためには、各部署にキーパーソンを配備すると効果的です。
キーパーソンとはある程度CRMシステムを理解している従業員であり、各部署でのCRMシステム啓蒙活動を行うことができます。
まとめ
CRMシステムの導入はやはり成功ポイントを抑えることが重要となります。しかし、今回紹介した成功ポイントはあくまで一例ですので、各企業によって新たな成功ポイントも存在します。まずは自社環境をしっかりと見極めた上で、CRMシステム導入だけではなく運用後のスケジュールまで立てていきましょう。