市場ではモノからコトへとシフトする企業が増えてきています。そして、そこで重要な役割を果たすのが、今回ご紹介するフィールドエンジニアとサービスエンジニアです。
結論から言えば、フィールドエンジニアとサービスエンジニアに大きな違いはなく、言葉として何を使うか程度のものです。「フィールドサービスエンジニア」を一緒くたに表現することもあるので、やはり意味の違いはないものと言えます。
では、フィールドエンジニア・サービスエンジニアはそもそも何をするためのエンジニアなのでしょうか?本稿では、その仕事内容に焦点を当てて分かりやすく解説していきます。フィールドエンジニア・サービスエンジニアは新しいビジネスを生むための中心的存在になる可能性も秘めているので、ぜひ参考にしてください。
今回はそのフィールドサービスエンジニアの必要性、重要性と課題に関してご紹介します。
フィールドエンジニア・サービスエンジニアとは?
「現場(フィールド)で直接的にサービスを提供するエンジニア」のことを、フィールドエンジニア・サービスエンジニアと呼びます。
通常エンジニアというのは裏方的存在で、会社のシステムを構築/保守/運用するのが役割とされています。システム制作会社においても、ほとんどのエンジニアは表に出ることなく、営業が獲得した案件に対して、顧客が要望する通りのシステムを構築することが主な仕事になります。
そうしたエンジニアとフィールドエンジニア・サービスエンジニアで決定的に違うのは、「客先に出向いてサービスを提供する」点です。一般的な例を挙げますと、ハードウェアの老朽化に伴う入れ替え作業を行うのがフィールドエンジニア・サービスエンジニアです。
彼らは直接的に顧客と対面し、その場でハードウェア/ソフトウェアにかかわる作業を行います。ただし営業のように商談を進めるわけではないので、システムエンジニアやセールスエンジニアともまた違った存在です。
フィールドエンジニア・サービスエンジニアの必要性
システム制作会社が激しいビジネス競争を勝ち抜くためには、顧客が要望した通りのシステムを構築するだけでなく、「持続的に安定したシステムを提供する」ことの方が大切です。せっかく構築したシステムも、度々障害が発生するようでは本来の目的を果たすことができませんし、顧客のビジネスに大きな悪影響を与えます。
顧客もそのことを重々承知しているので、長く安定してくれるシステムの構築を求めています。安定したシステムを構築するには、開発段階から整合性の取れたプログラムを意識することはもちろん、システムが運用段階に入ってから定期的にメンテナンスを実施する、何か問題が起きた際に素早く対応するなどの取り組みが欠かせません。
この役割を担っているのがフィールドエンジニア・サービスエンジニアです。よく、フィールドエンジニア・サービスエンジニアは「IT業界へのキャリアパスの入り口」と言われていますが、実際は顧客と常に対面し、コミュニケーションを取り、顧客満足度の直結するような仕事だということを理解するのが大切です。
フィールドエンジニア・サービスエンジニアがビジネスを加速させる?
フィールドエンジニア・サービスエンジニアは、ハードウェア/ソフトウェアの定期メンテナンスを実施したり、顧客からの問い合わせに対して対処したりといった仕事が必然的に多くなることから、「コストセンター」として見られがちです。つまり、フィールドエンジニア・サービスエンジニアから利益を生み出すことは難しく、いかにコスト削減するかがカギだと考えられているのです。
しかし最近では、フィールドエンジニア・サービスエンジニアの役割を見直すことでビジネスを加速させた、という事例が海外諸国で増えています。
たとえばある企業では、顧客から寄せられた問い合わせに対して可能な限り素早く対応できるように、顧客ごとのシステム構成と対応履歴の情報、それとフィールドエンジニア・サービスエンジニアを管理するためのシステムを構築しました。それにより、顧客対応の初動解決率が一気に上がり、顧客満足度を大幅に向上できたとのことです。
考えてもみればフィールドエンジニア・サービスエンジニアは、営業のように「会社の顔」と言える存在です。営業が利益に直接的影響を与えるのに対し、フィールドエンジニア・サービスエンジニアコストセンター視するのはおかしな話かもしれません。
顧客対応をもっと戦略的に考え、フィールドエンジニア・サービスエンジニアの役割を見直すことでビジネスを加速させることは確かに可能です。なぜならフィールドエンジニア・サービスエンジニアこそがお客様の悩みや課題に触れやすい環境にいるからに他なりません。
フィールドエンジニア・サービスエンジニアの課題
フィールドエンジニア・サービスエンジニアからビジネスの加速を目指す場合、解決すべき課題が3つあります。
1.初動対応でのトラブル解決が難しい
顧客からの問い合わせに対し、現場にすぐに駆け付けてトラブルに対処する場合、初動対応でのトラブル解決率は低い傾向にあります。電話口で問い合わせ内容を受けても、トラブルの原因を特定するまでに至らず、「実際に見てみないと分からない」状態にあるからです。しかし、顧客はこちらの事情を考慮することは少ないので、初動対応で可決できないことに残念感を覚えます。これは顧客満足度を下げる原因の1つです。
逆に考えれば、初動対応でのトラブル解決率を向上できれば、顧客満足度も上げられ、利益率の向上につなげることができるかもしれません。
2.持ち込み資料が多くて作業効率が下がる
定期メンテナンスおよび緊急的なサポート対応で客先に赴く際は、顧客情報がまとめられた資料や設計書、技術資料など持ち込み資料が多い、という問題があります。素早く正確に作業を完了するには欠かせない資料ですが、フィールドエンジニア・サービスエンジニアにとって体力的負担が増えますし、資料が多いと作業効率がむしろ下がってしまう傾向にあります。
そのため、フィールドエンジニア・サービスエンジニアの持ち込み資料を極力減らすだけでも作業効率がグッと上がります。最近では、タブレットを活用したデータ化した資料を持ち歩くケースも増えています。
3.対応内容が正確に記録されない
ほとんどのフィールドエンジニア・サービスエンジニアは帰社後に対応レポートを作成するため、1日のうちに対応した件数が多いほど対応内容が曖昧に記録されることになります。また、人によって対応レポートの書き方がバラバラなので、情報をまとめようにも上手くまとめられないケースが多いでしょう。
これでは、フィールドエンジニア・サービスエンジニアとしてのノウハウを蓄積し、顧客ニーズを把握するための情報分析がいつまで経っても行えません。
以上3つの課題をクリアすることで、フィールドエンジニア・サービスエンジニアからビジネスを加速させることに繋がります。
フィールドエンジニア・サービスエンジニアの役割を見直そう!
いかがでしょうか?本稿をお読みいただいて、「フィールドエンジニア・サービスエンジニアは大切な役割なんだ」と今までに認識が変わったのであれば幸いです。というよりも、役割を見直すべき仕事は他にもたくさんあるかもしれません。そんな視点で社内の仕事を見つめ直し、ビジネスをより良いものにしていく活動ができれば、企業は自然と成長していけるのではないでしょうか。