ITのサービス開発は需要が高く、企業はもちろん個人でも頻繁に行われています。サービスの開発ができれば、IT業界では効率的にキャリアアップできるため、その知識やスキルを習得しようとしているエンジニアも少なくありません。本記事では、サービス開発の概念や求められる理由、仕組みや具体的な進め方について解説します。これからサービス開発を学ぼうとしている方は、ぜひご一読ください。
サービス開発とは?
まずは、サービス開発の定義や特徴について説明します。
サービス開発とは?
IT業界での「サービス開発」とは、WebサービスのようにITを通して顧客が利用できるサービスを開発することです。具体的には、WebメールやSNS・ビデオ通話などが挙げられます。
Webサービスの基本的な流れは以下の通りです。
- ユーザーがクライアント側(ブラウザ)で操作を行う
- その内容がサーバー側にリクエストとして送信される
- リクエストに対してサーバー側で何らかの処理を行い、その結果をレスポンスとしてクライアント側に返す
Webサービスは小規模なものから大規模なものまでさまざまで、企業だけではなく個人が展開しているサービスもあります。サービス開発は特別な人にしかできないことではありません。必要な知識とスキルを身につければ、誰でも開発はできます。サービス開発に必要な知識を学べる資格試験も多くあるため、独学で身につけることも可能です。大きくフロントエンド開発(クライアント側の機能開発)とバックエンド開発(サーバー側の機能開発)に分かれ、基本的には必要となる技術が異なります。たとえば、フロントエンド開発とバックエンド開発では、それぞれ違うプログラミング言語が利用されています。
サービス開発が求められる理由・背景
サービス開発は今後IT業界以外でも、企業活動を推進していく上で必要不可欠なものとなるでしょう。なぜなら、現代の顧客や社会のニーズに沿ったサービスを生み出すキーポイントとなるためです。
経済産業省が2018年に発効したレポートでは、企業が今後発展していく上でDX(Digital Transformation)の推進が重要になると述べられています。デジタル技術を利用したこれまでにないビジネスモデルを採用する企業も出てくると想定されており、社会のデジタル化に伴いビジネス環境は大きく変化していくでしょう。
そのため、各企業は今後自社ビジネスを展開・強化し、競争力を維持する上で、DXが推進される環境にうまく適応していかなければなりません。クラウドやSaaS(Software as a Service)の利用も広がりつつあり、その技術を利用した商品開発や企業内部の業務改善が急速に進んでいます。そのような背景から、サービス開発はIT業界だけではなく、多くの業界で必然的に需要が高くなると予想されます。実際に、数多くの企業がエンジニアの採用に取り組んでいます。
サービス開発の仕組み
昨今は多種多様なITサービスの開発が行われていますが、なかでもWebサービスは依然として需要が高いです。ここでは、Webサービスの特徴について紹介します。
Webサービスの特徴
Webサービスは小規模なものであれば個人でも作れるため、これからサービス開発のスキルを身につけていきたいエンジニアにはおすすめです。Webサービスはクライアントサイドの機能とサーバーサイドの機能に分かれ、それぞれが連携することで動作します。
クライアントサイド(フロントエンド)
ブラウザ(IE・Google Chrome・Edge)などのユーザーの端末上で動作する部分の開発を指します。HTMLやCSS・JavaScriptなどの言語でよく実装されます。
サーバーサイド(バックエンド)
サーバー側が行う処理の開発を指します。クライアントから送られてきたリクエストに対して必要な処理を行い、レスポンスとして返すために必要なプログラムを開発します。サーバーサイドの開発で利用される言語は数多く存在しますが、PHPやJava・Python・Rubyなどが代表的です。それぞれの言語でWeb開発を効率的に行うためのフレームワーク(LaravelやSpring・Django・Ruby on Railsなど)も用意されており、使い慣れておけばWeb開発の現場で活躍できるでしょう。
サービス開発の4つのプロセス
サービス開発を行うには、正しい進め方を理解しておく必要があります。各工程において、どのような目的で何を実施するのかを理解することで、他のエンジニアと一緒に仕事をするときにタスクを進めやすくなります。進め方は開発するシステムの特徴によって多少異なりますが、一般的な流れは以下の通りです。
プロセス1.要件定義フェーズ
誰がどのような時に必要とするサービスなのかを検討する工程です。何らかの問題に対応するためのサービスなのであれば、解決したい問題を明確にします。その上で、必要な機能や実装したい機能をまとめていきます。その際、提供者目線ではなく、ユーザー目線で考えるのがポイントです。また、競合の調査も行っておくべきでしょう。すでに同じようなサービスが存在する場合は、開発する意義がなくなってしまうおそれがあるため、注意が必要です。
プロセス2.設計フェーズ
実装するサービスのシステム面での設計を行っていきます。具体的には、インフラ(サーバーやクラウド・DBなどの構成)や画面・プログラムなどの設計を行います。画面は一から設計するとコストがかかるため、テンプレートを利用するケースも多いです。プログラム設計では、UMLなどを利用してプログラム上の処理の流れを明確にします。また、開発で利用する言語やフレームワーク・ライブラリなども決定します。
プロセス3.実装フェーズ
開発しているサービスのプログラムを作成する工程です。Webサービスの場合、一般的に開発はサーバーサイドとクライアントサイドに分けて行われます。サーバーサイドは、セキュリティ面も考慮して実装しなければなりません。クライアントサイドは、ユーザーにとって使い勝手がよくなるように実装するのがポイントです。また基本的には、実装フェーズの段階で静的解析ツール(ソースコードに問題がないか調査できるもの)やテストツール(Junitなどプログラム単体で動作検証ができるもの)などを利用して、プログラムレベルで最低限の動作検証も行います。
プロセス4.テストフェーズ
実装したサービスが想定通り動作することを確認するフェーズです。いくつかのテストに分かれることが多く、それぞれ目的やスコープなどが異なります。下記はあくまで一例で、これら以外のテスト(負荷テストや性能テスト・セキュリティテストなど)が計画されるプロジェクトもあります。
単体テスト
開発者がプログラム単体で動きを確認するシステム観点のテストです。
結合テスト
インターフェース部分などを確認するテストです。フロントエンドとバックエンド間の連携テストのほか、複数のシステムが連携して一つのサービスを提供する仕組みであれば、システム間の連携テストを指します。
総合テスト
システムベンダが行う業務観点のテストです。クライアントにシステムを納品する前に行う最終テストの位置づけです。
UAT
User Acceptance Testの略で、顧客がシステムベンダから納品を受けた後に想定通りシステムが動作するかを確認します。
プロセス5.運用保守フェーズ
サービスはリリースしたら終わりではなく、その後も安定したサービスを継続するための対応が必要です。サービスを利用するうえで想定外の動作が見つかった場合は、バグとして修正を行います。また、使いにくい部分は機能の追加や改善が必要です。定期的に改善を行い、よりよいサービスを提供し続けていくためには、ユーザーからフィードバックをもらえる仕組みづくりが欠かせません。
まとめ
サービス開発の仕組みや正しい進め方を知っておくことで、システムエンジニアやプログラマーとしての仕事の幅が広がります。開発者としての市場価値を高めるためにも、キャッチアップする知識としておすすめです。
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