ERP

ERP導入で得られる6つの効果

ERPが初めて日本で話題になったのは、1990年代後半から2000年代前半にかけてです。当時は、「海外企業のベストプラクティスを導入できる」という謳い文句のもと、SAPやOracleといった、主要ベンダーのERP製品が広く導入されました。

ちなみにベストプラクティスとは、ビジネスで結果を得るために最も効率良い技法・プロセス・思考・活動の集合体です。つまり、ERPを導入することで、海外企業の良いところを取り入れ、自社ビジネスをさらに進化させられると考えられていました。

しかし蓋を開けてみれば、ERP導入に失敗する企業が相次ぎました。原因は、謳い文句とされたいた「ベストプラクティス」です。

普及当時のERP製品はあくまで、海外企業の商習慣に合わせシステムであるため、当然ながら日本企業にフィットするものではありません。こうした盲点により、多くの企業がERP導入に失敗したのです。

そうしてすぐに下火となったERPですが、現在では逆に普及が進んでいます。国産ERPの登場やクラウドERPの登場、海外製品でも日本の商習慣にフィットしたものが提供されるようになったことで、日本企業のERP導入が活発化しました。

今回は、そんなERP導入で得られる効果を紹介していきます。

ERP導入で失敗する8つの理由と回避策

導入効果1.すべてのデータを、一つのデータベースで管理

ERPというシステムは「統合基幹業務システム」とも呼ばれ、複数のITシステムが寄り集まって構成されています。例えば経理業務や管理会計のための会計システムや、仕入れ・出荷を管理するための購買/販売システムなど、ビジネスに不可欠なITシステムを統合したのがERPです。

製品によって提供されるITシステムは異なりますが、複数のITシステムが統合された上で提供される、という基本は同じです。

複数のITシステムが統合されると、各所で生成されるデータも当然統合されます。つまり社内データのすべてあるいは大部分を、一つのデータベースで管理できるようになるのです。

データの統合管理は、情報化社会である現代において絶大な効果をもたらします。例えばビッグデータ分析はその代表格です。数年前から企業の重要課題としてたびたび取り上げられているビッグデータ分析は、膨大な情報を統合し、かつ分析できるように加工しなければならないという課題があります。

しかし、各ITシステムが分断化された環境下では、データの統合だけでもかなりの手間とコストがかかってしまいます。結果、ビッグデータ分析を行えても、古く鮮度の落ちたデータを分析することになるので、十分な分析効果が得られないケースが多いのです。

一方ERPを導入している環境では、各ITシステムから生成されるデータが自然と一ヵ所に集まるので、ビッグデータ分析をかなり容易にしてくれます。

導入効果2.経営ダッシュボードでリアルタイムな意思決定を支援

ERPの特徴の一つともいえるのが「経営ダッシュボード」です。経営ダッシュボードとは、車のダッシュボードのように経営情報が可視化されている画面のことであり、ERPの機能の一つとして提供されています。

経営ダッシュボードに表示したい情報はユーザーの設定次第です。売上情報に紐づけて営業実績を見たい、という場合も、好きな情報を表示することができます。つまりユーザーは、欲しい情報を欲しいときに取得し、経営の意思決定を迅速に行うことができます。

ただし注意していただきたいのが、経営ダッシュボードだけで組織の全てはわ分からないということです。経営の意思決定は数値だけでなく、実際に目で見た情報を含めて行わなければならないということを、忘れないでください。

導入効果3.クラウドならシステム運用効率を大幅にアップ

ERPの中でも、近年特に導入が進んでいるのがクラウドERPです。ちなみにクラウドとは、インターネット上で提供されるサービスの総称となります。GmailやGoogleといったサービスをイメージすれば、分かりやすいのではないかと思います。

クラウドの特徴は「社内インフラを持たない」ことです。例えばGmailを利用するユーザーは、手元にサーバやソフトウェアといったインフラが無くとも、サービスを利用しています。それと同じように、クラウドERPも手元にサーバやソフトウェアが無くとも、インターネット上のサービスとして利用できるのです。

このクラウドの特徴が意味するところは「システム運用効率の大幅アップ」です。クラウドERPは社内インフラを持たないため、当然システム運用業務もほとんど必要ありません。この効果は、規模が大きくなるほど高まっていくので、クラウドERPによるシステム運用効率アップは、かなり大きなメリットとなります。

導入効果4.海外拠点でも同一システムを導入

ここ数年で、日本企業の海外進出が一気に進みました。JETRO(日本貿易更新機構)の調査によると、今後(3年程度)の海外進出方針において「拡大を図る」企業の割合が60.2%となり、前年よりも6.9ポイント高い結果になっています。

こうした背景には、日本の市場成熟により、海外へと市場開拓を求めたなど様々な理由が挙げられます。

日本企業の海外進出で最大の壁となるのが、現地法人とのコミュニケーションです。海外拠点を含めグループ全体の情報を可視化することは、海外進出企業にとって最大の課題でしょう。しかし、現地法人との商習慣の違いなどにより、コミュニケーションを取ることが難しく、この課題をクリアできている企業はそう多くありません。

一方、クラウドERPを導入している企業では、現地法人とのコミュニケーションという課題を容易にクリアしています。なぜなら、Microsoft Dynamics 365などの海外製クラウドERPならば、多言語・他通貨対応や、現地商習慣に合わせたカスタマイズで、グループ全体のコミュニケーションを促進するためです。

導入効果5.データの重複処理や漏れがなくコンプライアンスを強化

2002年のエンロン事件によって米国でSOX法(企業の内部統制に関する法律)が生まれ、後に日本でもそれに倣ってJ-SOX法が制定されました。企業の信頼を維持するために、内部統制などのコンプライアンスは日々重要度を増しています。

そんな、ERPがコンプライアンスにどう貢献するかというと、連携の取れたデータ環境によって重複処理やデータの漏れが無くなることで、コンプライアンスを強化できるのです。また、統合されたセキュリティ管理によって、アクセス権限や承認権限など、ITシステム全体のセキュリティを強化することもできます。

まとめ

ERPを導入した場合の効果は、実に多様です。それらすべてが、現状の企業課題を多く解決するものであり、ビジネスの精度やスピードをアップさせます。クラウドがいいかオンプレミスがいいかは別として、ERPを導入することで多くの企業が、一つ上のステージでビジネスを展開することができるでしょう。

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