Dynamics 365 Business Centralは、中小企業向けで業務効率化に役立つさまざまなツールを備えているオールインワンのビジネス管理システムです。ここでは実際の導入事例とともに、Dynamics 365 Business Centralについて解説します。
Dynamics 365 Business Centralとは
Dynamics 365 Business Centralとは、Microsoft社が提供するクラウドERPです。業務管理に必要な機能を複数搭載したオールインワンビジネス管理システムとして、さまざまな業務の効率化に役立ちます。まずはDynamics 365 Business Centralの詳細について紹介します。
国内外で24万社以上が利用
Dynamics 365 Business Centralは、世界196の国や地域において24.5万社以上に導入されているSaaSのひとつです。DynamicsNAVの後進としてビジネスに必要な各種機能を備え、中小企業や大企業の海外拠点向けオールインワンビジネス管理システムとして高い人気を誇っています。また、企業運営を支えるさまざまな機能を網羅し、多言語、多通貨に対応している機能性の高さは、海外を含む複数拠点展開に適しています。
スピーディーに導入できるクラウドERP
Dynamics 365 Business Centralは、販売管理・プロジェクト管理・顧客管理・仕入れ管理・財務会計など、企業経営に必要なシステムをすべて備えた管理システムです。多様なシステムが1つのプラットフォームで一元管理されるため、業務の効率化が達成されます。
また、Dynamics 365 Business CentralはMicrosoft社製品のため、Microsoft 365との連携が可能です。Business Centralで作成したファイルやデータをMicrosoft 365のエクセルやパワーポイントなどで取り込んだり、出力したりしてデータの連携をスムーズに行える点がメリットです。さらに、Dynamics 365 Business Centralにはビジネスに求められるすべての機能が備わっており、使用できるアプリケーションのカスタマイズをすることなく、短期間で導入を完了できるところも魅力でしょう。
また、多言語・多通貨に対応しているため、国内外に拠点を持つ中小企業においては本社で導入しているERPに上乗せして、各拠点が「サブERP」として導入する「2層ERP」としての利用も可能です。2層ERPを実装した企業では、拠点間の情報共有まで可能になり、営業状況を把握するためのデータ分析なども手軽に活用できます。
Dynamics 365 Business Central導入事例5選
Dynamics 365 Business Centralの導入により、実際に業務効率が向上した企業の実例はたくさんあります。そこで、導入で得られた効果や効率化された業務など、パシフィックビジネスコンサルティングによるDynamics 365 Business Centralの導入事例を5例紹介します。
導入事例1. 会計から在庫まで網羅した管理体制を５か月で整備 田中科学機器制作株式会社
田中科学機器製作株式会社は、世界30ヶ国に代理店を設置し、70ヶ国以上に輸出を行っている石油・石油化学分野の科学機器メーカーです。これまで購買・販売・会計などのシステムを個別で導入してきましたが、各システム間の連携はありませんでした。そこにDynamics 365 Business Centralを導入した結果、企業内でバラバラになっている販売・購買・生産管理・会計システムの連携が可能になりました。多言語・多通貨に対応する昨日は将来的な海外連携を見据えており、すでに企業内で利用されていたOffice製品との親和性の高さも相まって良好な評価を受けています。
具体的には、田中科学機器製作株式会社は、これまでエクセルで作成していた帳票処理の効率化のため、会計と在庫、販売などが連携したアプリケーションを導入していました。しかし、会計・生産・資材・購買といった業務では、特定の社員に頼らなければならない属人化が問題でした。そこで、Dynamics 365 Business Centralをカスタマイズせずに導入することで誰しもが使える環境作り、属人化の解消やコスト削減、短期間でのスピード導入を達成するなど、さまざまなメリットが生まれました。
導入事例2. 業務管理の透明性を確保 アダマンド並木精密宝石株式会社
アダマンド並木精密宝石株式会社は、自社業務に合わせてカスタマイズした基幹業務システムを30年前から使用していました。しかし、従前に使用していたシステムはカスタマイズ性が高く、事業部ごとに大きく異なる機能を持っていたため、逆に部門間の透明性の確保や企業内の連携を難しくしていました。
これらの問題を解決するべく、Dynamics 365 Business Centralを導入し、企業内のスピーディーな情報共有が実現しました。データから読み取る経営指標の把握も効率よく行うことができたり、経営上の迅速な判断が求められる場面で経営指標をすぐに確認できたりと、適切な判断を行いやすい環境も構築されました。
Dynamics 365 Business CentralのUIはユーザーの使いやすさを考慮して設計されており、特に運用のしやすさについて社員から高く評価されています。海外の製造拠点への導入に適した多言語対応を満たしている点も導入を後押ししました。
導入事例3. 8カ国6法人の業務システム再構築 旭化成メディカル株式会社
旭化成メディカル株式会社は、2009年にベルギー法人にDynamics NAV（現Dynamics 365 Business Central）を導入した後、8ヶ国の6法人にDynamics NAVの導入を順次行ってきた企業です。企業内のシステム統一を進めていましたが、これまで導入したシステムはバージョン、導入ベンダーがグループ企業で異なっていたため、統一化が図れないといったデメリットがありました。
しかし、Dynamics NAVの全社的な再構築が実施された現在は、グループ各社でシステムを統一し、グローバル環境での見える化も可能になりました。本社主導で行った再構築により、全拠点に共通の機能を展開して業務を標準化、IT面での統制強化も実現しました。計画的に行ったシステムの安定性と保守の効率化も、業務の効率化に役立っています。
導入事例4. 迅速、正確な原価算出が可能に 日本パルスモーター株式会社
日本パルスモーター株式会社は、ハードウェアの老朽化に伴う期間システムの再構築をする際にDynamics NAV（現Dynamics 365 Business Central）の導入を実施しました。将来的な海外展開まで考慮し、多言語・多通貨対応、海外での導入実績がありサポートが期待できるベンダーとしてDynamics NAVを選定しました。
導入後は、生産・販売・会計など、業務に必要なシステムを全て一元管理できる基幹システムの構築による運用の効率化、原価計算の精度向上効果など、経営判断に有益な情報が作成できるメリットが生じています。導入により会社のデータ収集と利用が容易になったため、データを基に配賦基準の再計算など、詳しいシミュレーションが実施できるように改善されました。
導入事例5. イタリア現地法人向けに導入 旭化成株式会社繊維事業部
旭化成株式会社繊維事業部は、欧州拠点の業務量増加に対応するため、イタリア現地法人Asahi Kasei Fibers Italia s.r.l向けにDynamics NAV（現Dynamics 365 Business Central）を導入しています。導入前までは、イタリアの会計パッケージと倉庫会社のシステムを利用したデータ集計業務を手作業で行っており、ヒューマンエラーなどが業務効率化の妨げになっていたと考えられます。
業務を大幅に効率化し、業務時間を短縮、スタッフを増やさずに増加した業務への対応まで可能にするなど、従来の問題点を解消できたのはDynamics NAVの成果でしょう。これまではばらばらだったシステムの業務が標準化され、内部統制も向上しています。しかもデータの見える化や分析コード体型の設計など、業務効率を高めるための仕様についてしっかりと協議を重ねたうえで、4ヶ月の短期間で新システムの稼働を実現しています。
まとめ
Dynamics 365 Business Centralは、Microsoft社が提供している中小企業向け、海外拠点向けのオールインワンビジネス管理システムです。業務に必要な販売管理から財務管理まで、さまざまなシステムを統合管理できるため、業務の効率アップを実現しています。カスタマイズの必要がないオールインワンタイプなので、導入時の時間もかからず、スムーズにシステムの切り替えが可能です。導入実績のある企業では、業務時間の短縮、システムの安定性向上などさまざまな効果が得られているので、今後管理システムの導入を予定している企業様は、Dynamics 365 Business Centralを選択肢にいれておくことをおすすめします。
