昨今、CRMシステムがクラウドで提供されるようになり、その導入は中堅・中小企業にまで広がりを見せています。
また、メール、予定表、共有ストレージなどのグループウエアについてもクラウドでの導入が進んでおり、社内のクラウド化のファーストステップとして取り組んでいる企業も多いことでしょう。
社内システムがクラウド化されることで場所を選ぶことなく、インターネットさえあればどこからでも業務データにアクセスし、作業が可能になります。働き方改革でテレワークを推進している企業や客先を回っている営業担当者には、クラウドはなくてはならない存在になっているのではないでしょうか。
CRMシステムやグループウエアがクラウド化されることで、クラウドアプリケーション同士が連携し、データが連携される機能も提供されてきています。クラウド化のメリットは、これら複数のサービスをクラウド上でシームレスに連携させることで、業務の効率化を図ることができることです。
例えば、名刺の連絡先情報は、従来、まず名刺管理ソフトに登録し、その後メールシステムに登録、最後にCRMシステムに登録するといった手間が必要でしたが、名刺管理ソフトに登録することでメールシステム、CRMに自動連携されるといったことが可能になってきています。
今回は、Microsoftが提供しているクラウドのCRMソリューションの機能も併せ持つMicrosoft Dynamics 365(以下Dynamics 365)とクラウドの生産性向上ツール・グループウエアであるOffice 365を連携することにより、業務を効率化する方法についてご紹介します。
Dynamics 365 、Office 365とは?
Dynamics 365とは、Microsoftが提供しているSaaS型クラウドの統合業務アプリケーションで、CRM、ERP領域を広くカバーしており、企業の業務に必要な業務アプリケーションがオールインワンで提供されています。また、Office 365についてはご存知の方も多いと思いますが、ビジネスで最も利用されているOfficeアプリ含むグループウエアをクラウドで提供しているサービスとなります。
両サービスともにSaaS型クラウドで提供されているため、自社でサーバーを持つ必要がなく、必要な時に必要なユーザ数分追加していけます。また、クラウドサービスのため、どこにいてもインターネット環境さえあればどこからでもアクセスでき、業務の遂行が可能となります。
Dynamics 365とOffice 365の連携メリット
CRMシステムとグループウエアの導入を検討している、または既にOffice 365を使いの企業にはDynamics 365とOffice365の2つのサービスを利用することをお勧めします。その理由は、2つのアプリケーションは連携機能が豊富にそろっており、別のアプリケーションであることを意識することなくシームレスな連携が可能で、業務の効率化に有効な選択となるためです。
特に営業部門においては、両者を利用することで業務効率化の効果が非常に高いです。営業部門では外出先で作業をすることも多いため、営業日報を書くために帰社するよりも、クラウド環境でいつでもどこからでも提出できるほうが無駄な移動がありません。
また営業部門ではCRMもグループウエアも業務遂行する上で重要なシステムですが、これらが連携されていないために、二重の登録作業など非効率な業務に時間を取られてしまっている場合もあります。この課題を解消する手段として、Dynamics 365とOffice 365を連携させることで、シームレスで効率的な業務遂行が可能になります。
ログインID、ユーザインターフェースの統一
CRM、グループウエアと異なる製品でありながら、両者はWEBブラウザの1つのポータル画面からログインが可能です。それぞれのサービス利用のためにログイン画面を別々に起動、ログインするといった手間はありません。また、ユーザIDは両サービス共通のIDを利用できるため、煩雑な複数のID、パスワードの管理から解放してくれます。
シームレスな連携
CRM、グループウエアは別々のシステムでありながら、業務では密接に関連しています。例えば、お客様とのアポイント情報をグループウエアの予定表に入れて、そのお客様情報はCRMで管理しています。また商談での議事録、見積り、提案書はグループウエアや共有サーバーで管理しているが、案件のパイプラインはCRMで管理しています。
営業業務においてCRMとグループウエアはよく利用されるツールであるため、2つがシームレスに連携されることで、システム入力回数を減らしたり、文書管理業務を効率化したりすることができます。Dynamics 365とOffice365では、各アプリケーションで利用シーンを想定したシームレスな連携を実現しており、別々のサービスと感じさせない利便性を提供しています。
具体的なサービス連携の例
OfficeソフトとCRMの連携
使い慣れたExcelで顧客データの編集、ダウンロード、アップロードや案件ごとの議事録の作成、提案書の作成を効率的に行いたい要望に応えるのが、Office365のOffice OnlineとDynamics 365の連携です。
Dynamics 365で登録した営業案件情報、取引先企業情報などのCRMデータをExcel Onlineを利用して、複数のレコードをまとめて編集することが可能です。これにより、CRMシステムに慣れていないユーザであっても、手軽にデータを登録することができ、データ入力の障壁を下げ、データが蓄積されていくことでシステムの有効な活用につながります。
OneNoteとの連携でDynamics 365で作成したCRMレコードに対して、OneNoteのノートブックを作成することができます。例えば商談の議事録をOneNoteで作成し、営業案件レコードと紐づけることが可能で、議事録の共有やCRMデータと統合した管理が可能になります。
メールサービス、予定表とCRMの連携
CRMに登録されているお客様にメールの一斉送信をしたい、予定表に追加したアポイントをCRMに登録したいといった要望に応えるのが、Office365のExchange OnlineとDynamics 365の連携です。
これらが連携されていることにより、ユーザはキャンペーンの実施やお客様へダイレクトメールを送付する際、Dynamics 365からメール送受信、一括送信をすることが可能です。また、Exchange OnlineとDynamics 365が連携されているため、使い慣れたOutlookの予定、タスク、連絡先に追加した場合、Dynamics 365のデータとして同時に登録することができます。
ドキュメント管理とCRM連携
商談に紐づけてドキュメントのバージョン管理をしたい、営業資料を複数人で同時編集したいという要望に応えるのが、Office365のSharePoint OnlineとDynamics 365の連携です。
商談、取引先などのCRMデータに対して共有フォルダを作成でき、ドキュメントのバージョン管理と複数人での同時編集が可能です。アクセス権によりドキュメントの参照についてもユーザごとに制限することができます。
短い提案期間で、より良い提案資料を作成するためには、複数人で同時に資料を作成していくことが有効ですが、これまでは、デグレをしたり、各個人で作った資料をマージしたりといった手間が発生していました。こちらの連携機能を利用することで複数人が同時に同じ提案書を編集することが可能なため、提案資料の作成には非常に有効な機能になります。
WEB会議とCRM連携
複数拠点で働いている営業メンバー同士で商談の状況について情報共有したいという要望に応えるのが、Office365のSkype for Business OnlineとDynamics 365の連携です。Dynamics 365の社内メンバーが表示されるデータにSkype for Business Onlineのプレゼンスが表示され、すぐにSkype for Business OnlineでWEB会議の開催が可能です。また会議での画面共有も可能なため、Dynamics 365画面やドキュメントを共有しながら会議を進めることも可能です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
Dynamics 365とOffice 365を連携して、営業業務を効率的に行う方法についてご紹介しました。営業業務は、事務処理やシステム的な制約で非効率になっている場合もありますので、Dynamics 365とOffice 365を活用しながら効率的に業務を進めてみてはいかがでしょうか?