現代の企業経営では、環境や社会問題への取り組みも重要視されます。とくに近年、大きな注目を集めているのが2015年の国連サミットにて採択された「SDGs」です。本記事では、SDGsの概要について触れるとともに、DXや基幹システムとの関連性について詳しく解説していきます。
基幹システムで実現できるSDGsとは
企業にとって最も重要な経営課題は「利益の最大化」です。しかし、それはただ単に利潤のみを追求するという意味ではありません。企業とは、製品やサービスの提供を通じて市場価値を創出し、代価として利益を得て発展する組織です。企業の健全な発展は雇用を促進し、同時に社会経済の活発化に寄与します。企業の成長と発展は社会貢献そのものであるといえるでしょう。
そして、企業の発展と成長は「SDGs」の実現に大きく関与します。SDGsとは、2015年にニューヨーク国連本部で開催されたサミットにて掲げられた国際社会共通の目標です。「Sustainable Development Goals」の頭文字をとった略称で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。SDGsの本質は、国際社会における恒久的な平和への取り組みです。世界から貧困をなくし、誰もが安定的に豊かな暮らしを享受できるよう、解決に向けた具体的な目標を示したのがSDGsです。
SDGsとは
SDGsの「持続可能な開発目標」とは、具体的にどのような取り組みを指すのでしょうか。SDGsは「17の大きな目標」と「169のターゲット」で構成されています。サミットで具体的に示された「17の目標」は下記の通りです。
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなに そしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 人や国の不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- つくる責任つかう責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさも守ろう
- 平等と公平をすべての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
ITシステムがSDGsに与える影響は大きい
SDGsは「誰も置き去りにしない(leave no one behind)」を共通理念として、すべての国連加盟国が結束して取り組みを推進しています。そして、さまざまな企業が今後の事業計画にSDGsを盛り込んでおり、これからの企業経営において非常に重要となる課題です。
そんなSDGsの実現における要となるのが「DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。DXとは、最先端テクノロジーを活用し、企業やビジネスモデルそのものに変革をもたらす取り組みを指します。
現在、国内のビジネス市場は、少子高齢化と人口減少なども相まって衰退傾向にあります。このような社会背景のなか、企業が市場における競争優位性を確立するためには、古い経営体制を脱却し、新たな価値創造に取り組まねばなりません。DXとは単なる業務のデジタル化ではなく、最先端のデジタル技術を活用した経営革新を意味します。そして、DXの実現によるイノベーションの創出は企業の躍進につながり、ひいてはSDGsの達成に貢献します。つまり、SDGsを実現するための第一歩は、デジタル技術の土台となるシステム基盤の構築にあるといえるでしょう。
基幹システムで実現できるSDGs
ITシステムの基盤構築において最も重要となるのが、企業の基幹系情報を管理する「基幹システム」です。基幹システムは「財務会計管理」「人事管理」「生産管理」「在庫管理」「販売管理」など、企業活動の中枢を担う「販・財・給」を管理します。基幹システムの最適化は、組織全体における業務効率の改善と労働生産性の向上につながる重要な経営課題です。ここでは基幹システムの最適化が、SDGsの実現にどのように貢献するのかについて解説します。
業務効率化による技術革新の基盤作り
業務の効率化は、企業の利益を最大化するために不可欠な要素のひとつです。情報通信技術の発展によって人々の暮らしは豊かさを増す一方、市場における競争性は激化の一途を辿っています。顧客ニーズの多様化や製品ライフサイクルの短命化によって、価格競争やサービス競争は日々激しさを増しているのが実情です。
このような社会背景のなか、販売による売上の増加は簡単ではありません。だからこそ、業務効率の改善による利益率の向上が非常に重要な経営課題なのです。業務効率化によって技術革新の基盤を構築することで、SDGsの9番目の目標として扱われる「産業と技術革新の基盤をつくろう」の実現に寄与します。
「働きがいも経済成長も」の達成
企業の存在意義とは、経営活動を通じて社会に貢献することであるいっても過言ではないでしょう。しかし、大きな目標や意義にばかりとらわれ、足元を疎かにしてはなりません。外部への貢献だけだけでなく、企業で働く従業員の幸せも無視できない大切な要素です。企業価値の向上にとらわれるあまり、従業員に過重労働を強いる企業も少なくありません。
このような企業体質は、SDGsの本質からかけ離れているといえます。基幹システムで業務効率化を図ることでワークライフバランスの実現に寄与し、従業員エンゲージメントの向上につながります。エンゲージメントの向上は企業の発展に不可欠であり、SDGsの8番目の目標「働きがいも経済成長も」を実現するためにも欠かせない要素といえます。
作る責任と使う責任を取る
基幹システムの導入は、企業のITシステムの中でも非常に多くのコストを要する領域です。しかし、基幹システムを導入することで企業の基幹系情報を一元管理し、組織全体での共有を実現します。それによって、SDGsにおける12番目の目標「つくる責任つかう責任」の解決に貢献することができるのです。
基幹システムの導入によって組織全体での情報共有が可能になり、製品の開発から販売に至るあらゆる業務プロセスが可視化されます。それにより、部品や材料を環境に配慮したものに変更したり、天然資源の効率化を思索したりと、自然環境に与える影響を考慮したものづくりが可能です。製品を生産し、販売するという責任の重さを把握できるようになり、より良い社会づくりを目指した経営体制の構築につながるでしょう。
まとめ
基幹システムの最適化はSDGsの実現に不可欠な要素といえます。そこでおすすめしたいのが「Microsoft Dynamics」の導入です。基幹系情報の管理に特化したMicrosoft Dynamicsを導入することで、組織全体の業務効率の改善と労働生産性の向上に寄与し、SDGsの実現へと至る一助となるでしょう。