「赤字プロジェクトを無くしたい」と誰しもが考えます。そもそも赤字なんていうのは企業活動において絶対避けるべきであり、誰も赤字プロジェクトにしたくて業務をおこなっている訳ではありません。
しかし、その一方で思わぬ理由により いとも簡単に赤字になってしまうプロジェクトが後をたたないことも事実です。なぜプロジェクトが赤字になってしまうのか?その原因を知り、正しい対策を立てることが大切です。
そこで本稿では、赤字プロジェクトの原因と対策についてご紹介したいと思います。赤字プロジェクトを何とかしたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
プロジェクトが失敗する10の兆候
ソフトウェア開発者向けに大規模なナレッジコミュニティを提供しているDZone.comのブログエントリでは、プロジェクトが失敗する確率が高い10の兆候について紹介しています。アジャイル開発、ウォーターフォール開発ともに当てはまる内容ですので、同ブログエントリの内容を参考に、プロジェクト開発が失敗する10の兆候を確認していきましょう。
- 兆候1.
チームメンバーが自分のタスクをこなすことよりも、プロジェクトの悪い現状については話合う時間の方が長い。(The team members are talking way too much about the bad state of the project or private things instead of working on their tasks.) - 兆候2.
プロジェクト開始後、時間が経っているのに進捗はごくわずかだ。(The progress of the project is only minimal over a significant period of time.) - 兆候3.
このプロジェクトは顧客のニーズを満たす形では終わらないとメンバーが予感している。(Your “common sense” tells you, that this project can never be completed in a way that fulfills the customer’s expectations.) - 兆候4.
プロジェクトに政治が多く絡んでいる。(There is too much politics involved in the project) - 兆候5.
プロジェクトの中心にいる外部コンサルタントは、顧客のニーズを満たすことよりも自分の興味を満たすことに集中している。(An external consultant in a central role pursuits his own or his company’s interests more than the customer’s interests.) - 兆候6.
プロジェクトの中心にいる外部コンサルタントが周囲をひっかきまわしている。(An external consultant in a central role is a “dazzler” (in german: “Blender”)) - 兆候7.
リリース日が1回以上延期されているにも関わらず、具体的なリリース日が決まっていない。(The production date has already been postponed more than once and you still cannot determine a realistic new final date.) - 兆候8.
汎用的なシステムを開発したが、カスタマイズや設定が複雑でメンテナンスが難しい。((Technical): The team(s) develop(s) a generic system but especially the customization / configuration is so complex, that it won’t be maintainable once it is in production.) - 兆候9.
キャッシュ機構を無効にすると受け入れがたいほどシステムパフォーマンスが悪くなる。((Technical): The performance of the system is unacceptable when caching is turned off.) - 兆候10.
プロジェクト初期段階からプロセスが混沌としており、標準プロセスが確立しないままプロジェクトがスタートした。(The software development process was chaotic from the very beginning and it was not possible to introduce a standard process in the meantime.)
もしあなたが過去に失敗プロジェクトを経験していた場合には、いくつか思い当たるフシがあるのではないでしょうか。現時点で進行しているプロジェクトの中に、これらの兆候に当てははまるものがあれば要注意です。
赤字プロジェクトはなぜ生まれる?
失敗の定義は人によってそれぞれでしょう。赤字にはならなくても納期を守れなかったプロジェクトを失敗と言う場合もあります。そのため、上記の兆候に当てはまっているプロジェクトでも必ずしも赤字になるとは限りません。では、どういったプロジェクトが赤字になってしまうのでしょうか?
その原因になっているのが「プロジェクト収支の管理不足」です。ソフトウェア開発プロジェクトにおける主な支出は人件費(工数)です。この支出を正確に把握し、収入とのバランスを保つことが赤字プロジェクトを防ぐポイントとなります。しかし、プロジェクトはまるで生き物のように変化するものなので、正確な管理はなかなか難しいものです。
プロジェクト収支管理の基本活動としては、「プロジェクト収支計画」を立てて中長期的な目線でプロジェクトにかかる支出と収入のバランスを保ち、「プロジェクト収支維持」によって可能な限り設定した基準から逸脱しないプロジェクト収支を維持します。最後に、「プロジェクト収支改善」により、計画基準よりも支出にかかる比重を減らす努力をして、可能な限り利益を増やしていきます。
プロジェクト収支管理は、プロジェクト期間全体にわたって欠かせない活動なので、正確な管理を実行するためにERP(Enterprise Resource Planning)が必要だと考えられています。特に大切な機能が「プロジェクト収支可視化」「プロジェクト予実管理」「プロジェクト債権・債務管理」「ドキュメント管理」「プロジェクト内分割売上・請求管理」そして「BI(Business Intelligence)」です。
いずれの機能もプロジェクト収支管理を徹底するために欠かせないものであり、赤字プロジェクトを撲滅したいと考えるシステムエンジニアは、ERP導入にあたってこれらの機能を製品ごとに精査することが成功の肝になります。プロジェクトの成功率は、15年前の情報システム業界と比べて飛躍的にアップしています。もしも貴社のプロジェクト成功率が低く、赤字プロジェクトが無くならないのであれば、それは成功のための「仕組み」が足りないせいかもしれません。
この機会に、赤字プロジェクトを減らすためのERPについてぜひご検討ください。