ERP

いまさら聞けないERP導入メリット

ERP(Enterprise Resource Planning)にはどんなメリットがあるのか?クラウド化が進み、中小企業にとっても導入しやすいIT製品となったERPに対して、実際に導入するとどういった効果があるのかが分からないという方もたくさんいらっしゃるでしょう。

基幹系システムが統合されることで生じる効果はなんとなく理解できても、本質的なメリットは何なのか?これは実際に導入してみないと分からないことばかりですね。そこで今回は、いまさら人に聞けないERP導入のメリットについてご紹介します。

ERP導入で失敗する8つの理由と回避策

Merit1. 統合されたデータベース

ERPには財務会計システム、生産管理システム、顧客管理システムといった重要な基幹系システムが統合されており、各システムのデータベースは1つに統合されています。従来環境ではシステムごとにデータベースが存在するための、これが1つに統合されることでの利点は想像以上に大きいでしょう。

データ活用の促進

1つ目のメリットは統合データベースによるデータ活用の促進です。そもそもERPとは「経営資源計画」といって、経営に欠かせない人・物・金といった情報を一元的に管理して、適宜経営に活かすという経営手法を指します。これをシステムとして実現するのがERPなので、データ活用の促進はERPが持つ最大の利点の1つです。

最近では「ビッグデータの分析」によるビジネスの成功事例をよく耳にしますが、これには膨大なデータを高速に抽出・加工・分析し、新しい知見を導き出すための基盤が必要になります。ERPでは各システムのデータベースが統合されるので、データ抽出は高速ですし特別な加工は不要です。BI(Business Intelligence)と連携すれば、分析まで自動化することができます。

これによってデータ活用が促進し、企業が過去と現在に蓄積するデータによってあらゆる活用方法が期待できます。

業務省力化

データベースが統合されたERPでは、1つのシステムに入力したデータがすべてのシステムに反映されるので、2重3重のデータ入力作業は無くなります。これによって単純に業務効率がアップしたり、転記や入力によるミスが無くなるためデータ信用性が高まります。

ということは、ユーザーがシステム上のデータを信用しビジネスを推し進めることができるため、全体的な労働生産性アップにもつながるでしょう。

業務フロー一元化

基幹系システムが分断されている環境での業務フローは、システムで出力した帳票を次のプロセスに移動させるにあたって、システムとシステムの間に手作業が必要になります。そのため業務フローを高速化するには限界がありました。

一方ERPでは生産、販売、在庫、財務、顧客など複数の業務分野をまたがった処理フローを提供しますので、今までにないスピードで業務フローを進めることができます。ERPは統合データベースによってデータ信用性が高いため、こうした効率化も期待できます。

Merit2. リアルタイムな経営可視化

ERPのデータ活用促進によって企業が得られる最大のメリットが経営の可視化をリアルタイムに行えるということでしょう。ERPに蓄積されたデータは自動的に処理され、経営者が好きなようにカスタマイズして、経営に必要なデータを閲覧できます。

管理会計と財務会計の強化

管理会計と財務会計は経営活動に欠かせない管理項目です。ERPがある環境ではデータ信用性が増し、かつデータ処理が高速化しますので、鮮度の高いデータで管理会計を実施することができます。それはつまり、リアルタイムに限りなく近い状態で経営状況を可視化できるということです。さらに、そのデータは財務会計時にも活かされ、負荷の高かった業務を大幅に効率化できるでしょう。

経営意思決定材料の提供

ERPの中にはAI(Artificial Intelligence)と統合された製品もあり、そうしたERPでは高度なシミュレーション機能を備えています。あらゆるデータを分析し、AIが導き出した経営シミュレーション結果をもとに経営意思決定を下していくような先進的取り組みも話題になるでしょう。

Merit3. パッケージとクラウド

ERPの導入形態は大まかに「パッケージ」と「クラウド」に分類されます。パッケージは8割方作りこまれたERPを、仕上げ的に自社専用にカスタマイズしていくという製品です。一方クラウドとは既に完成したERPを、インターネットを介してサービスとして利用します。

開発コストと開発期間の削減(パッケージ)

パッケージはフルスクラッチ(ゼロからの開発)に比べて開発コストと開発期間を削減できます。ERP黎明期では「パッケージでの導入は莫大な初期投資がかかる」とされてきましたが、それは度重なるアドオン開発によって追加費用が膨れ上があがった結果です。

近年のパッケージはアップデートによって標準機能で色々な要件に対応できるため、従来に比べて開発コストと開発期間を削減できますが、徐々にクラウド化への波におされています。

システムの信用性向上(パッケージ)

フルスクラッチでは安定稼働までに長い期間が必要ですが、パッケージには多種多様な企業に導入された事例やノウハウがあるため、システム導入において安定的な稼働を実現できます。

初期投資の大幅な削減(クラウド)

クラウドはすでに完成したERPをサービスとして利用するため、パッケージのようにサーバー調達やネットワークの整備といった導入作業がありません。加えて初期費用があまりかからないので、パッケージに比べて初期投資を大幅に削減できるというメリットがあります。

開発期間の短縮(クラウド)

ERPをサービスとして利用するため多くの業務プロセスがすでに内包されているケースがあります。そのため標準機能をうまく活用すれば開発期間は少なく済みます。システムがカットオーバー(本格稼働)するまでに検証作業等は必要ですが、パッケージに比べて圧倒的短期間でカットオーバーまで持ち込むことができます。

運用負荷の軽減(クラウド)

クラウドではERPベンダーがシステム運用を行いますので、ユーザー企業としてはほぼノータッチでERPを利用できます。ERPベンダーの運用体制やプロセスを十分に理解すれば、安心して運用を任せることもできるでしょう。

Merit4. ビジネスプロセス最適化

ERPベンダーの多くは、各業種において最も標準かつ基準となるビジネスプロセスの知識およびノウハウを持っています。業種別のソリューションテンプレートを提供することで開発期間(導入期間)を短縮し、かつ既存のビジネスプロセスに「ベストプラクティス(成功の集合体)」を取り入れ、ビジネスプロセス最適化を図ることが可能です。

こうしたノウハウは大手ERPベンダーほど持っているものなので、ERP選定の基準として取り入れることをおすすめします。

Merit5. ガバナンス強化

基幹系システムが統合されデータベースが一元化することで、セキュリティポリシーの適用は従来の何倍も簡単になります。さらに、データ整合性が保たれ、全体的なシステム運用も楽になることからガバナンス(企業統治)が強化され、コンプライアンス維持に努めることができます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

ERPを導入することで業務プロセスの無駄を排除するだけでなく、ガバナンスの強化やリアルタイムな見える化による正確な意思決定とスピード経営を実践することが可能になります。また、昨今のERPにはIoTやAIの連携もされているため将来の経営基盤として期待されています。

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