海外展開する企業の多くが、言語の壁や商習慣の違いによるコミュニケーションの難しさに頭を悩ませています。データの管理方法が各国で統一されていないことによる情報共有の遅れも看過できない問題です。本記事では、グローバルコミュニケーションの重要性や、課題を解決するためのサービスについて解説します。
グローバル企業が陥りがちな課題
国内の人口減少に伴ってマーケットの縮小が懸念されるなか、ASEAN諸国を中心とする海外市場にビジネスチャンスを見いだす日本企業は少なくありません。大企業、中小企業ともに海外市場を開拓し、売上拡大の足掛かりとする風潮が広がってきています。多くの企業が海外進出に関心を示す一方で、海外で事業を展開する企業のほとんどが商習慣の違いや情報共有のハードルに直面していることも事実です。そこで、グローバル企業が陥りがちな課題について以下で解説します。
コミュニケーション
企業が海外進出する上で最も大きな障壁となるのがコミュニケーションの問題です。言語の壁は英語が話せる人材を雇うことである程度解決できるとはいえ、ASEANでは英語を母国語とする国が少ないため、現地採用の人材とやり取りする際に困難が生じやすくなります。
言語だけでなく、商習慣や文化の違いにも配慮が必要です。日本では当たり前の「時間を守る」といったビジネスマナーが外国では通用しないケースは珍しくありません。日本と同じ感覚で海外拠点のスタッフや相手国のクライアントに接しようとしても、話は思う通りに進まないでしょう。
特に注意したいのが、宗教です。日本は特に信仰に寛容ですが、行き過ぎるとルーズだともいえます。現地国が厳格な宗教国の場合に、知らずに禁忌を犯してしまうこともあります。逆に、相手の宗教を理解・配慮し、丁寧に重んずることで、よりよい関係を築ける場合もあります。
また、日本では察しの文化が根付いているため、要求を遠回しに伝えても相手がその意図を汲み取ってくれますが、海外では明確な表現が求められることにも注意しましょう。相手国の商習慣や文化を理解し、それに合わせていく努力が不可欠です。
情報共有
企業が海外進出を成功させるためには、正確かつスピーディーな情報共有が欠かせません。
通常、本社の担当者は各国から会計データや販売データ、生産データなどを取り寄せ、それらを経営判断に利用できる状態に加工します。しかし、各拠点が独自のフォーマットでデータを管理している場合、データの加工作業に手間と時間がかかりますし、届いたデータが要求したものと異なった場合、正しいデータを送り直してもらうための時間的ロスが生じます。そのうえ集めたデータの正確性も定かでないとなれば、意思決定の遅れを招くだけでなく、経営判断を見誤る可能性もあるでしょう。
このような状態を脱却して海外拠点とリアルタイムで情報をやり取りするには、クラウドERPなどを利用した情報共有基盤を整備する必要があります。新しいシステムを導入する際には、データの管理方法やシステムの運用に関して全社共通のルールを策定し、それを従業員に遵守させることも大切です。
人材確保と管理
いかに優秀な人材を確保するかというのも切実な問題の一つです。海外に拠点を構えるとなれば、国内から現地に人材を派遣するとともに、現地でも人材を雇用する必要があります。自社から海外拠点に配置する人材は、英語や現地語が使えることに加え、できれば海外でのビジネス経験がある方が望ましいでしょう。社内で適した人材を確保できない場合、新たに海外経験のある人材を採用することも検討すべきです。
しかしながら、人材確保を急いだために社風に合わない・ビジョンが共有できない人材を採用してしまうと、その後の教育に苦労します。海外では誇張した実績を履歴書に書くことも少なくないため、採用時には十分な見極めが必要です。
また、海外の労働市場は日本に比べて流動的であるため、人材の定着が難しいことが想定されます。離職を防ぐためには、キャリアアップの機会を設けていることをアピールすることも大切です。それに加え、人事評価の仕組みを明確化し、優秀な人材には積極的に実績に見合ったポストと報酬を与えていくことも必要になるでしょう。
TCSの「Digital Workplace」ソリューション
働き方改革が進むなか、企業には顧客体験(CX)だけでなく、従業員体験(EX)を高めるための変革も求められています。EXを高めるには、従業員の満足度やエンゲージメントを高める必要があります。従業員の「働きやすさ」を追求するための具体的な施策としては、従業員一人ひとりが能力や個性を発揮できる環境整備、AIや機械学習を使った生産性の改善、社内外のメンバーとコラボレーションがしやすい仕組みづくりなどが挙げられます。
そうした変革にはデジタルトランスフォーメーション(DX)が不可欠です。なお、デジタルの力を使って時間や場所に縛られない働き方を実現するとともに、そのためのプラットフォームを構築しようとする戦略や考え方のことを「デジタルワークプレイス」と呼びます。
ITサービス事業を展開する「TCS」では、デジタルワークプレイスを構築するためのコンサルティングサービス「Digital Workplace」ソリューションを提供しています。同サービスでは、Microsoft社のクラウドサービス「Office 365」やコミュニケーションツール「Teams」を活用し、現状調査からシステムの導入、定着化までをワンストップで支援します。
TCSの強みは、これまで国内外でデジタルワークプレイスを構築してきた豊富な実績と、それにより培われた知的財産です。海外拠点におけるワークプレイスの実装にも対応しており、グローバル企業が抱えるコミュニケーションや情報共有の課題を解決し、EXの向上はもちろん、意思決定の高速化や組織全体の活性化にも貢献します。
Digital Workplaceが提供する3つのプログラム
TCSが提供する「Digital Workplace」ソリューションでは、3種類のプログラムを用意しています。必要に応じて複数のプログラムを組み合わせることも可能です。以下でそれぞれのプログラムについて詳しく解説します。
Microsoft 365 Global Success Program
「Microsoft 365 Global Success Program」は、Office 365の導入により、グローバルな職場環境のスムーズな実現をサポートするプログラムです。具体的には「コンサルティングサービス」「実装サービス」「グローバル管理&運用サポートサービス」から構成されています。
コンサルティングサービス
各海外拠点との会議調整や会議の進行を支援するほか、海外拠点におけるステークホルダーの意見をまとめ、Office 365の導入に関する共通方針や要件の策定を行います。また、現状のセキュリティ環境を調査・分析し、Office 365に関するセキュリティ機能の構成を検討します。
グローバル展開に不可欠な各国法令への対応も可能です。欧米における個人情報保護に関する法律対応をはじめ、中国の大手インターネットサービスプロバイダー「21Vianet」が運営し、中国独自のセキュリティで保護されたOffice 365とのコラボレーションも支援します。
実装サービス
Office 365の設計・構築・実装、既存のオンプレミスシステムからの移行、円滑な利用開始に向けた拠点責任者とのコミュニケーション支援などを行います。
グローバル管理&運用サポートサービス
安定した運用を可能にするため、管理者のタスク整理や運用設計、ユーザーマニュアルの作成を支援します。最大24時間365日のサポートサービスを提供するほか、マルチ言語への対応も可能です。
Seamless Collaboration Program with MS Teams
Microsoft Teamsを活用してシームレスなワークスタイルを提供するプログラムです。「コンサルティング&実装サービス」と「MS Teams ツール開発サービス」から構成され、社内の働き方改革に関する周辺技術も含めたサポートが可能です。
コンサルティング&実装サービス
社員の意見を収集しながら現状のワークスタイルを調査・分析し、ワークスタイル改善のためのユースケースモデルを設計します。社員それぞれのワークスタイルに応じてTeamsのテンプレートを作成し、定着化に向けた支援も行います。
Teamsの導入に伴い、既存のセキュリティ方針やコンプライアンスの実態を調査・分析し、新たなセキュリティ方針を策定します。また、セキュリティレベルの維持を目的に、管理者向けの運用設計をサポートします。ユーザー向けには、マニュアルの作成や教育支援、運用開始後の一時的なヘルプデスクの提供も可能です。
MS Teamsツール開発サービス
Teamsの利便性を向上するための各種ツールのカスタマイズを支援します。具体的には、棚卸アプリをはじめとする管理者用ツールの設計・実装、UX向上に向けた会議室予約アプリやワークフロー自動化アプリとの連携、既存のWebアプリケーションとのインターフェース統合などを行います。
Accelerate Transformation Program
TCSが有するメソッドを使用したデザインシンキングとコンサルティングにより、業務プロセスの変革を促すとともに、新しいビジネスアイデアの発掘を目指すプログラムです。「課題&ソリューションの探索プログラム」と「コンサルティングサービス」で構成されています。
課題&ソリューションの探索プログラム
専門のチームがデザインシンキングを実施し、潜在的なビジネスプロセスの課題を特定します。具体的には営業、経理、開発、運用といった各プロセスにおいて、個人の1日の活動を子細にシミュレーションすることで課題を発掘し、Microsoft 365を最大限に活用した解決策を検討します。
課題とソリューションを探索する過程では、ワークショップを開催します。「変革プロセスの探索」に向けたワークショップは最短3日間(最大10名まで)、「既存UXのプロセス再創造」のワークショップは最短5日間(最大10名まで)で、それぞれビジネスアイデアを探るとともに新たなプロセスのプロトタイプを作成します。
コンサルティングサービス
HR(人的資源)のマネジメントに向けたコンサルティングや、次世代の働き方改革に向けたプロセスの再創造を支援します。また、既存の運用プロセスの改革や、新入社員・新規雇用社員のためのEX再創造支援に向けたコンサルティングも実施します。
まとめ
企業がグローバル展開した際に直面しがちなコミュニケーションや情報共有の課題は、クラウドによってある程度は解消することが可能です。TCSでは、国内はもちろん、グローバル環境においてもデジタルワークプレイスの構築を支援しています。従業員体験(EX)を高めるための改革方法を模索している経営者の方は、ぜひご活用ください。