Microsoft TeamsはしばしばSlackと比較されます。現在世界で最も利用されているチャットツールの一つがSlackなので、「Office 365」のチャットツールとして登場したMicrosoft Teamsと比較するのは当然な流れでしょう。
2017年3月にMicrosoft Teamsが正式リリースされてから1年以上が経過し、様々な新機能もリリースされました。そこで今回は改めてMicrosoft TeamsとSlackの違いを整理して、チャットツールを選ぶ上での判断材料にしていただきたいと思います。
Microsoft TeamsとSlackの違い①開発コンセプト
実は、同じチャットツールでもMicrosoft TeamsとSlackの開発コンセプトは根本から違います。まずSlackはメールでのコミュニケーションを不要としてチャットツール中心のコミュニケーションを実現することが開発コンセプトです。実際にNew York TimesのFarhad Manjoo氏はSlackに対して「将来的にメールに取って代わる可能性があるメッセージングアプリ」と称しています。
それに対しMicrosoft Teamsはチャットとメールを別のコミュニケーションツールとして棲み分け、双方を有効活用したコミュニケーションを実現するために開発されています。このことはMicrosoft Teamsを統括するコーポレートバイスプレジデント(CVP)であるBrian MacDonald氏のコメントから読み取れます。
“Teamsを、チャットベースのワークスペースと捉えている。さまざまな種類のチームやコラボレーションがあり、それぞれに対して異なる種類のツールがある。Outlookはユーザーの業務におけるハブであり、Teamsもユーザーの業務におけるハブだ。”(マイクロソフト、Slack対抗のコラボツール「Teams」をリリース--Outlookと連携より抜粋)
さらにMicrosoft TeamsはOffice 365が提供する各サービスを統合するハブ的存在なので、Slackとは開発コンセプトがそもそも違うのです。ただし、同じチャットツールとしてMicrosoft Teamsの開発チームがSlackをベンチマークにしているのは確かです。
Microsoft TeamsとSlackの違い②料金体系
次に気になる料金体系に違いについて確認しましょう。まずSlackはフリーミアムモデルという料金体系を採用しています。簡単に説明すると無料プランを設けてユーザーに使ってみてもらい、気に入ったら有料プランに移行するというビジネスモデルです。そのため機能制限がありますがSlackは無料でも利用できるチャットツールとして人気です。
有料プランの料金はというとスタンダードプランが月額850円、プラスプランが1,600円。どちらも1ユーザーあたりの年間契約月額料金です。無料から一気に850円なので少し高いと感じるかもしれませんね。
一方、Microsoft Teamsの料金体系はどうでしょう?正確に言うとMicrosoft TeamsはOffice 365を契約していないと利用できないため、Office 365の料金体系について説明します。
Office 365にフリープランは無く、ユーザーは目的や環境に合わせて7つのプランから最適なもんのを選べます。そのうちMicrosoft Teamsを利用できるプランは次の5つです。
≪Microsoft Teamsを利用できるOffice 365プラン≫
- Office 365 Business Essentials…月額540円
- Office 365 Business Premium…月額1,360円
- Office 365 Enterprise E1…月額870円
- Office 365 Enterprise E3…月額2,180円
- Office 365 Enterprise E5…月額3,810円
いずれも1ユーザーあたりの年額契約月額料金です。最も低価格なプランに着目するとSlackよりも310円安くMicrosoft Teamsを利用できることになります。1ユーザーあたりの差額なので100ユーザーなら3万1,000円、年間にすると37万2,000円安く運用できる計算です。
Microsoftのサービスということで料金が高いというイメージを持たれがちですが、実際はSlackよりも安く導入できるのが特長です。
Microsoft TeamsとSlackの違い③機能
肝心の機能面に関しては何が違うのか?Slackが提供する2つのプランと、Office 365 Business EssentialsおよびOffice 365 Business Premiumを一挙比較していきます。
比較項目 |
Slack |
Office 365 |
||
スタンダード |
プラス |
Business Essentials |
Business Premium |
|
チャット |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
ゲスト招待 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
2要素認証 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
Google経由のログイン |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
シングルサインオン |
× |
〇 |
〇 |
〇 |
メッセージ履歴 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
データエクスポート |
× |
〇 |
〇 |
〇 |
グループ作成 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
音声通話 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
ビデオ通話 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
最大参加人数 |
15名 |
15名 |
250名 |
250名 |
メンバー検索 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
レコメンド |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
ユーザーストレージ |
10GB |
20GB |
1TB |
1TB |
独自ドメインメール |
× |
× |
〇 |
〇 |
ファイル共有スペース |
× |
× |
〇 |
〇 |
プロジェクト管理 |
× |
× |
〇 |
〇 |
Officeアプリ |
× |
× |
× |
〇 |
サポート |
プライオリティ サポート |
24時間365日 |
24時間365日 |
24時間365日 |
Microsoft Teamsがリリースされた当初、Slackと比較する上で難点とされていたのがゲスト招待機能です。当時は外部ユーザーを招待する機能がまだ備わっていないことから、SlackユーザーがMicrosoft Teamsに魅力を感じることは少なかったかと思います。しかし今年3月に待望のゲスト招待機能がリリースされたことで、Slackとの機能差はほぼ無くなりました。Microsoft Teamsに連携できるツールも続々と増えています。
そうなると、Microsoft Teamsを利用するためにOffice 365を契約することで付帯する独自ドメインメールやOfficeアプリが非常に魅力的です。ユーザーはExchangeやSharePointといったビジネスでお馴染みのシステムを利用でき、Office 365 Business PremiumならOfficeライセンスまで付帯します。
ただしSlackはいまだ開発者を中心に人気のチャットツールです。なのでMicrosoft Teamsは開発者を含め一般ユーザーも存在していて、組織のコミュニケーションを一つに統一したいという企業におすすめです。
今後もMicrosoft Teamsは様々な新機能リリースが予定されています。まだチャットツールを使用していない方も、既にSlackを導入している方もMicrosoft Teamsの今後にぜひご注目ください。
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