運用管理

SharePoint Online移行時に考慮すべきポイント

SharePointからSharePoint Onlineへの移行プロジェクトは、その規模にかかわらず企業に大きな負担を強いることになります。単に今あるコンテンツを、SharePoint Onlineへ移行すればいいというわけにはいかないからです。

適切な移行ができなければ、たとえSharePointからSharePoint Onlineへの移行でも失敗する可能性は大いにあるので注意しましょう。

今回は、そんなOffice 365で利用できるSharePoint Online移行時の考慮すべきポイントについて紹介します。

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SharePoint Online移行のよくある失敗例

SharePointという製品は組織の情報共有スペースになったり、チームサイトを作成したり、またはアプリケーションを開発したりと実に多岐にわたる機能を備えています。SharePoint Onlineも同様な役割を持ちます。機能数でいうと、実に400以上もの機能が搭載されているのがSharePointおよびSharePoint Onlineです。

「SharePoint Online」について詳しくご覧ください!

SharePoint Online移行に失敗する企業の共通点は、機能を使いこなせていないことにあります。ここでいう「使いこなせない」というのは、SharePoint Onlineすべての機能を活用できていない、という意味ではありません。

組織および部門ごとに必要な機能を取捨選択し、適切な利用を心がけることができていない、という意味です。

そもそも400以上もの機能すべてを、専門家ではない人が使いこなすことは土台無理な話です。従って、SharePoint Onlineへ移行する際は、機能要件を確実に定義した上で、システムが定着するよう展開していくことが大切です。

もう一つの失敗例は、要件定義を煮詰めて考えられていないことです。SharePoint Onlineへの移行は導入・構築、展開、運用と大まかに3つのフェーズで進んでいきます。しかし、要件定義が煮詰まっていないと、各フェーズで様々なトラブルが発生してしまいます。

要件定義には導入プロジェクト全期間のうち80%を割くのが適切だという専門家もいるほど、SharePoint Online移行での要件定義は重要です。

SharePoint Online移行で考慮すべきポイント

SharePointからSharePoint Onlineへの移行に際し、考慮すべきポイントを紹介します。

こちらの「SharePoint とは」も参考にしてください。

①移行元環境の分析

まず最初に行うべきことは、移行元環境にどれくらいのコンテンツがあるかの分析です。同じSharePointといってもサーバ環境とオンライン環境では違う点も多いので、まずは移行元環境を現状について把握することが大切です。

そのためのツールとして、Microsoftは「SharePoint 移行評価ツール (SMAT)」を提供しています。

このツールは既存のSharePoint環境におけるコンテンツをスキャンするものであり、簡単なコマンドライン実行ファイルです。ユーザーはSharePoint Onlineへ移行する前に、現状環境の把握と問題発見ができます。

②コンテンツの要不要を分ける

SharePoint Onlineへの移行にあたって、全てのコンテンツを移行する必要はありません。今あるコンテンツの中には、すでに使用しない不要になったものが必ず存在します。日頃からSharePointの情報整理ができている企業は珍しいので、この機会にコンテンツの要不要を明確にしましょう。

ちなみにSharePoint Onlineでは容量制限があり、場合によっては記憶域を買い足す必要もあるので、不要なコンテンツは極力排除するのがベストです。

③段階的な移行を検討する

400以上もの機能を持つSharePoint Onlineを、いきなり目の前に突きつけられて使いこなせるようなユーザーは、はっきりと言って皆無です。熟練の情報システム担当者でさえ、SharePointのすべての機能を把握していないこともあります。

そこで、部門ユーザーにSharePoint Onlineを定着させるためには、2通りの段階的移行を検討してください。

≪単機能&全社導入≫

使用できる機能をかなり制限した上で全社導入し、中長期的な計画で徐々に新しい機能をリリースしていきます。使える機能が絞られていれば、部門ユーザーも迷うことなくSharePoint Onlineを利用できます。ただし、全社的にSharePoint Onlineをフル活用できるようになるまで、1年以上は確実にかかります。

≪多機能&単部門導入≫

ファイル共有、チームサイト、ワークフローなどSharePoint Onlineが持つ多彩な機能の制限を最小限にして、単部門に導入する方法です。対象部門での導入が成功事例になれば、そこで培ったノウハウを持って徐々に他部門へと展開していきます。一見時間がかかる方法のように思えるものの、いち早くSharePoint Onlineを定着させたいという考えを持つ企業におすすめの方法です。

④必要なリソースを中長期的に計画する

SharePoint Onlineへの移行が完了しても、コンテンツは増え続けます。この際「増えてコンテンツ分はストレージを買い足せばよい」という安直な考えを持っていると、あっという間にコストが肥大化して、運用が苦しくなってしまいます。

そのため、要件定義段階から将来的に必要なリソースを計画して、それに沿った運用を行えるよう心がけます。

⑤テスト移行を必ず行う

SharePointとSharePoint OnlineはどちらもMicrosoft製品なので、連携はスムーズに取れます。ただし、移行時には予期せぬトラブルが起こる可能性もあるので、必ずテスト移行を実施して、移行時に起こる可能性のあるトラブルを事前に確認します。

⑥セキュリティ意識を高める

SharePointは社内のシステム環境からでしかアクセスできないため、社員一人ひとりがセキュリティを意識することは少なかったのではないかと思います(厳密にはVPN構築で外部からのアクセスも可能)。情報システムが適切なセキュリティを講じていれば、データは保護されていました。

対してSharePoint Onlineはクラウドサービスであるため、Microsoftが堅牢なセキュリティを講じているものの、最後にセキュリティ強度を決定付けるのは社員一人ひとりのセキュリティ意識です。

たとえばアカウントIDとパスワードが第三者の手に渡ってしまうと、社内にいなくともインターネットを通じて簡単にSharePoint Onlineにアクセスされてしまいます。SharePoint Onlineに移行することで、セキュリティが強固になる反面、組織全体の意識向上が重要になることを忘れないでください。

まとめ

SharePointユーザー企業の皆さんは、SharePoint Onlineへの移行時に本稿の内容を参考に、適切な移行を心がけていきましょう。

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