マイクロソフトが提供するセルフサービスBIツール、「Microsoft Power BI(マイクロソフト・パワー・ビーアイ)」への注目度が高まっています。ビジネス向けのソフトウェアやクラウドサービス等の紹介及びレビューを掲載している海外メディアのG2 Crowdにおいて、Microsoft Power BIは200以上のレビューで4.2と非常に高い評価を得ており、さらにBusiness Intelligence Platformカテゴリにおいて市場リーダーに選出されています。
「セルフサービスBIツールを導入してデータの可視化・分析を行いたい!でも、我が社にはデータ利活用に長けている人材がいない…」という企業にとって、Microsoft Power BIはおすすめです。なぜなら、Microsoft Power BIではExcelを操作するようにノンプログラミングでデータの集計・分析・レポートを実施できるため、データ利活用に関する最低限の知識があれば扱えるからです。
本稿では、そんなMicrosoft Power BIのライセンスタイプと価格体系についてご紹介します。
Microsoft Power BIのライセンスタイプ
まず、Microsoft Power BIのライセンスタイプについて解説します。Microsoft Power BIでは無料で使えるプランと、有料で使える2つのプランがあります。
<無料で使えるプラン>
Microsoft Power BI Desktop
Microsoft Power BIモバイル
<有料で使えるプラン>
Microsoft Power BI Pro
Microsoft Power BI Premium
Microsoft Power BI Desktop及びモバイルは、正確には「無料で使えるプラン」ではなく「無料で使えるアプリケーション」です。
Microsoft Power BIの無料プランと有料プランとで違うのは、データの可視化・分析が行える範囲やレポート共有機能有無、Microsoft Power BI Report Serviceというアプリケーションの有無になります。そのため、無料プランでも基本機能のほとんどは使用することができるのです。
個人で完結するようなデータの可視化・分析だったり、Microsoft Power BIをお試で使用したりするという方は、無料プランで十二分に活用できるでしょう。ちなみに無料プランを利用するにはMicrosoftアカウントが必要なので、事前に取得しておきましょう。
Microsoft Power BIの価格
次に、有料プランの価格について解説します。その前に1つ注意点をあげますと、Microsoft Power BI ProとMicrosoft Power BI Premiumとでは価格のベースとなるものが違います。Microsoft Power BI Proはユーザー数で価格が決定し、Microsoft Power BI Premiumはクラウドコンピューティングおよびストレージの専用リソースで価格が決定するので、その点に注意しながら解説していきます。
<有料プランの価格>
価格(ベース) |
|
---|---|
Microsoft Power BI Pro |
$9.99(約1,100円) (ユーザーあたりの月額料金) |
Microsoft Power BI Premium |
$4,995(約551,000円) (クラウドコンピューティングおよびストレージの専用リソースあたりの月額料金) |
Microsoft Power BIは有料プランが2つだけなのにかかわらず、ProとPremiumでかなり価格の開きがあります。理由は前述の通り、ユーザー数で決定するか、専用リソースで決定するかの違いです。そこで、Microsoft Power BI Premiumの価格をユーザー数ベースで算出するといくらになるのかを計算してみましょう。
まず、Microsoft Power BI Proにてユーザーごとに割り当てられるストレージ容量は10GBです。そしてMicrosoft Power BI Premiumでは全体として100TBのストレージ容量が割り当てられています。1GBは約1,000GBなので、100TBはGBに換算すると100,000GBということになります。
これを10GBで割ると10,000になります。さらに月額料金を10,000で割ると、0.499になるので、Microsoft Power BI Premiumはストレージ容量だけで考えると1ユーザーあたり月額あたり$0.50(約55円)で利用できることになります。
もちろん問題は、それほどのユーザーが利用するか?という点です。1ユーザーあたり月額$0.50で利用できるのはあくまでユーザー数が10,000人いる場合なので、利用するユーザー数に応じてこの金額は増減します。たとえば100人で利用する場合は、1ユーザーあたり月額$49.95(約5,500円)になるので、Microsoft Power BI Proに比べるとやはり割高です。
ただし、Microsoft Power BI ProとMicrosoft Power BI Premiumはストレージ容量だけが異なるというわけではなく、後者の方がより広範囲に、より高度にデータの分析・可視化が行えるため、本来はストレージ容量を見てプランを選択するわけではありません。
Microsoft Power BI ProとMicrosoft Power BI Premiumの違い
それでは最後に、Microsoft Power BI ProとMicrosoft Power BI Premiumの違いについて一覧でご紹介します。最終的には、2つのプランで何ができて何ができないのか?を明確に理解した上で、自社にとって最適なプランを選択しましょう。
Microsoft Power BI Premium |
Microsoft Power BI Pro |
|
ライセンスの相違点 |
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Microsoft Office 365 Enterprise E5 と共に含まれる |
〇 |
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ユーザー単位でライセンス付与 |
〇 |
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クラウド コンピューティングおよびストレージの専用リソース別にライセンス付与 |
〇 |
|
デプロイと管理 |
||
Power BI Report Server を介したオンプレミス レポート |
〇 |
|
処理環境のコンピューティング |
共有 |
専用 |
Power BI コンテンツの複数のリージョンへのデプロイ |
〇 |
|
増分データ更新 |
〇 |
|
共有するレポートの公開 |
〇 |
〇 |
コンテンツ利用者への Power BI Pro ライセンス付与を必要としない、コンテンツの広範囲への配布 |
〇 |
|
Power BI でのページ分割されたレポートの公開と利用 |
〇 |
|
コンピューティング リソースの割り当て |
〇 |
|
コンピューティングおよびメモリ専用リソースのパフォーマンスの監視 |
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個々のデータセットの最大サイズ |
1G |
10G |
最大ストレージ |
ユーザーあたり10G |
100TB |
1 日あたりの自動更新の最大数 |
8 |
48 |
Power BI データの Azure Data Lake Storage Gen2 への保存 |
〇 |
|
デプロイ、管理、コンプライアンス、セキュリティ |
||
クラウド サービス |
〇 |
〇 |
データ処理環境の指定ホーム リージョン データ センターの選択 |
〇 |
〇 |
コンテンツの作成、利用、公開のユーザー メトリックによる監視 |
〇 |
〇 |
データのセキュリティと暗号化 |
〇 |
〇 |
業界、グローバル、リージョン、および政府の認定を満たす |
〇 |
〇 |
Microsof 国内クラウドで使用可能 |
〇 |
〇 |
データの準備、モデル化、データ視覚化の作成 | ||
データ視覚化、レポート、およびダッシュボードの作成 |
〇 |
〇 |
標準およびビッグ データの準備および抽出、変換、読み込み |
〇 |
〇 |
Power BI ビジュアルのライブラリおよびカスタム ビジュアル SDK へのアクセス |
〇 |
〇 |
クラウドおよびオンプレミスのデータ ソースのデータ コネクタへのアクセス |
〇 |
〇 |
すぐに使用可能な視覚化、テーマ、および個人用のオプション |
〇 |
〇 |
コンテンツの利用 |
||
Microsoft Excel でのデータ分析 |
〇 |
〇 |
他のインターフェース (Teams、SharePoint、他の SaaS アプリケーション) へのコンテンツの埋め込み |
〇 |
〇 |
Power BI コンテンツの表示と対話 |
〇 |
〇 |
iOS、Android、および Windows 用の Power BI モバイル アプリを介した Power BI コンテンツの表示と対話 |
〇 |
〇 |
データに関する質問をして、すぐに回答を受け取る |
〇 |
〇 |
変更に関する通知のレポートへの登録 |
〇 |
〇 |
他のインターフェイスでの Power BI コンテンツの表示 |
〇 |
〇 |
まとめ
いかがでしょうか。ビジネスにおいて、統計情報の集計や活用は必要不可欠で、どうしても使い慣れたExcelに頼ってしまう方が多いのではないでしょうか。
確かに決められた内容を集計するだけで、見せ方を考えるのであれば、Excelのグラフ表示は便利な機能です。
ただ、実際にデータ分析を多角的に行うことを考えると、やはりそこはBI機能を使いこなせた方が便利です。
ぜひこの機会にPowerBIをお試しください。