"グループウェアの導入で失敗は許されない”
意外と思われる方も多いかもしれませんが、グループウェアはリプレースが難しい製品であるため1度の失敗が致命的な損失を生みます。特に投入できる資金が限られている中小企業やスタートアップでは尚のこと慎重さが重要です。
そんな中、クラウド製品の特徴からかグループウェアの導入は軽視されがちで「導入して失敗した…」なんて企業も珍しくありません。しかしグループウェア自体導入がすごく難しい製品というのではなく、問題は導入前・導入後のステップをきちんと踏んでいないことにあります。
正しく導入して正しく運用すればコミュニケーションが活発になるだけでなく、様々なベネフィットを享受できるのがグループウェアです。そこで今回は、グループウェア導入前と導入後のポイントを全12ステップに分けて紹介していきます。
導入前の8ステップ
1. 目的を明確にしよう
何のためのグループウェアなのか?なぜ導入が必要なのか?まずは目的を考えることから始めます。
実はグループウェア導入にあたり「コミュニケーションが活発になるから」といったフワッとした目的で導入することは往々にしてあります。しかし、そのほとんどのケースで失敗しているのもまた事実です。
そもそも前提として、課題を抱えていてそれを解決するためのグループウェアなので「なんとなく」ならばむしろ導入しない方がコミュニケーションが取れていたりします。
皆さんが現在抱えている課題とは何でしょうか?
- 既存システムでは部署間での情報共有に摩擦が生じる
- フランクなWeb会議で拠点間の連携を強めたい
- 管理職視点から各社員のスケジュールを見える化したい
などなど、多くの企業で多様かつ複数の課題を抱えているかと思います。それらの課題をしっかりと洗い出し、グループウェア導入の目的を詳細に考えましょう。
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2. 現場の声を反映しよう
グループウェアは社員全員が使用してこそ、本来のメリットを発揮します。しかし多くの企業で、経営層や情報システムの独断で導入に踏み切り"使われないグループウェア”を生み出してしまっています。
こういった事態を避けるためには、検討段階から現場の声をしっかりと反映させることが重要です。部門ごとの責任者からヒアリングを行ったり、社員にアンケートを取ってもいいかもしれません。
とにかく現場の声を反映させることは"使われるグループウェア”導入の大前提となります。
3. 使いやすいグループウェアを選ぼう
如何なるシステムにおいても「多機能=良いシステム」ではないように、グループウェアも例外ではありません。
重視すべきは機能の豊富さではなくあくまで"使いやすさ(ユーザービリティ)”です。極端な話ですが、必要最低限の機能だけ備えたグループウェアでも、ユーザーが使いやすいと感じて活発に利用されれば導入は成功と言えます。
しかし使いやすさとは人によって異なるものなので、大切なのは導入前に多くの社員にグループウェアに触れてもらうことです。
ここで積極的に無料トライアルを活用しましょう。
不特定多数の社員に触れてもらい使いやすさを総合的に評価することで、自社にとって最適な製品を選ぶことができます。他の企業が使いやすいと言ってるからといって自社にとっても使いやすいグループウェアとは限らないので、あくまで社内評価を重視してください。
4. カスタマイズ性を重視しよう
ユーザーの使いやすさを考える上でカスタマイズ性は無視できません。テーマやアプリケーションのカスタマイズを行うことで、さらに自社要件に適したグループウェアを構築することが可能です。
5. ログ管理機能に注目しよう
コンプライアンス強化が求められている現代ビジネスにおいて、全社的に利用するグル―プウェアはセキュアなものでなくてはなりません。そこで注目して欲しいのがログ管理機能です。特に、メールやファイル共有といった情報漏洩の玄関口となっているアプリケーションでのログ管理は必須でしょう。
例えばMicrosoftが提供するグループウェアOffice 365では、メールアプリのExchange Onlineとファイル共有アプリのShare Pointにおいて監査ログ機能をデフォルトで提供しています。ユーザーのアクセスログを追跡することで内外部犯行による情報漏洩を防ぎ、コンプライアンスを強化します。
6. セキュリティを確認しよう
近年のグループウェアはクラウド製品が主流であり、今や社外にデータを置くことが当たり前になっています。しかし、クラウドには少なからずリスクがあることを忘れてはいけません。ですので、導入前に必ずセキュリティ要件を確認しておきましょう。
ここでもOffice 365の例ですが、現在では国内データセンターを展開し「サイバークライムセンター」と呼ばれるセキュリティ専門家チームを配置しています。クラウド製品ではサーバリソースやネットワークに関わるセキュリティをベンダーに依存しているため、特に注意しましょう。
7. ベンダーサポートを確認しよう
基本機能だけでも多くのアプリケーションを提供しているグループウェアだからこそ、導入初期はトラブルが発生する可能性が大いにあります。そこで重視しておきたいのがベンダーサポートです。
コミュニケーションを促進するグループウェアは、裏を返すとトラブルが発生した際はコミュニケーションの障害にもなります。市場競争が激しく、スピーディな意思決定が重要視されている現代ビジネスでは致命的な障害ですね。こういったトラブルへ迅速に対応するためにも「サポートの範囲は?」「24時間対応か?」など、ベンダーサポートを予め確認しておくことが大切です。
8. 社員の理解を得よう
導入前最後のステップは、グループウェア導入にあたり社員の理解をしっかりと得ることです。トップダウン式の指揮系統にある企業では強制的な活用が当たり前のように展開されていますが、その裏で社員たちは不満を抱えています。
「なぜ既存システムではいけないのか?」「グループウェア導入の狙いは?」など、簡単にでもいいので社員への説明の場を設けるといいでしょう。理解があるのとないのとでは導入効果が大きく異なるので、欠かせないステップです。
導入後の4ステップ
9. スモールスタートで始めよう
情報やナレッジが蓄積されていく分、グループウェアのリプレースは多大な手間とコストがかかります。そして、どんなに徹底した検討でも実際に導入してみないことには現場に馴染むかどうかは100%把握できません。だからこそグループウェアは導入後も慎重さが必要なのです。
そこでいきなり全社的に導入するのではなく、まずはスモールスタートで一部の社員に利用させるとことから始めましょう。スモールスタートの狙いは2つあり、1つは慎重さを喫して失敗を避けるため。そしてもう1つは全社的に利用する基盤を作るためです。
例えば一部の社員でグループウェア使用が活発化していれば、システム内に自然とナレッジが蓄積されていきます。つまり、後続の社員は先行ユーザーに習って使用すればいいのでグループウェア自体をマニュアル化することが可能です。こうすることで、スムーズかつ迅速にグループウェアを浸透させていくことができます。
10. 使いやすい機能から使っていこう
グループウェア導入後はいきなり全ての機能を使いこなす必要はありません。むしろ、使いやすい機能から始めなければ社員の"グループウェア離れ”が進む原因になります。グループウェアで最も多く使用される機能と言えばスケジュール機能やToDo機能です。ですのでこういった機能を中心に定着させ、次第に拡張していくとこで"使われるグループウェア”を構築していくことができるでしょう。
11. キーマンを配置しよう
現場では常にトラブルへの迅速な対処が求められ、これを効果的に解決する方法がキーマンの配置です。つまり各部署や各チームに最低1人、グループウェアについてある程度教育を受けた社員を作ることです。
簡単な操作方法の疑問であったりちょっとしたトラブルに関してはなかなかシステム部門に問い合わせづらいものなので、フランクに訊けるキーマンがいることでトラブルへの対処が迅速化します。スモールスタートで先行ユーザーとして参加した社員をキーマンとするのがベターです。
12. アクセス権限を設定しよう
導入後に忘れてはいけないのがアクセス権限の設定ですね。特にグループウェアは組織内の機密情報を扱うケースも多いので、しっかりと権限をかけておかなければ全社員がアクセスできる状況となってしまいます。コンプライアンスの観点から考えても不適切なので、導入後すぐにアクセス権限を設定しましょう。
まとめ
いかがでしょうか?全12ステップで紹介したグループウェア導入前と導入後のポイントですが、「あれ?価格比較はないの?」と思われた方も多いと思います。今回紹介したステップ内に価格比較がないのは、価格だけでグループウェアを選定して欲しくないとうい考えからです。
"とにかく安いもの”を求めればきりがなく、無料で提供されているグループウェアも多く存在します。しかし「安い=自社に最適なグループウェア」という式は必ずしも成り立たないのです。
加えて言えば、昨今のグループウェアは製品による価格差が均一になってきているので、価格で比較するのが難しという側面があります。ですので製品比較の際は、まずユーザーにとっての使いやすさカスタマイズ性などを重視しましょう。そして価格比較は最後の最後で行うことです。こうすることで、コスト面も考慮した自社に最適なグループウェアの導入が実現します。
これからグループウェアを導入する方、もしくはリプレースを考えている方は今回紹介した12ステップを意識して"全社員に使われるグループウェア”の導入を目指してください。