今年後半にリリース予定の最新OfficeスイートであるOffice 2019。このリリースでは、Macユーザー向けのOffice 2019 for Macも登場する予定です。4月末にはプレビュー版である「Office 2019 Commercial Preview」がWindowsユーザー向けの提供され、6月12日にはMacユーザー向けにも提供を開始しています。
今回お話するのは、そんなMacユーザー向けOffice 2019が以前のバージョンとどう変わるか?という点です。
Macユーザー向けOfficeスイートの変遷
まずは、これまでMacユーザー向けOfficeスイートがどのタイミングでリリースされてきたかを振り返ってみましょう。
Mac向けOfficeスイート |
年号 |
Windows向けOfficeスイート |
- |
1996年 |
Office 97 |
Office 98 Macintosh Edition |
1998年 |
- |
- |
1999年 |
Office 2000 |
Office 2001 for Mac |
2000年 |
- |
Office v. X for Mac |
2001年 |
Office XP |
- |
2003年 |
Office 2003 |
Office 2004 for Mac |
2004年 |
- |
- |
2006年 |
Office 2007 |
Office 2008 for Mac |
2008年 |
- |
Office for Mac 2011 |
2010年 |
Office 2010 |
- |
2013年 |
Office 2013 |
- |
2014年 |
Office Premium |
Office 2016 for Mac |
2015年 |
Office 2016 |
Office 2019 for Mac |
2018年 |
Office 2019 |
こうして見ると、Macユーザー向けのOfficeスイートはこの度にリリースされるOffice 2019 for Macで初めて2度連続Windows向けのOfficeスイートと同時にメジャーアップデートされることになります。Office 2016 for Mac以前のメジャーアップデートはそこから5年前なので、マイクロソフトは昨今になってMacというプラットフォームも本格的なビジネス市場として視野に入れていると考えられますね。
Officeスイートを愛用するMacユーザーにとっては朗報ではないでしょうか。
Office 2019 for Macで何が変わる?
では、現時点で最新バージョンであるOffice 2016 for MacからOffice 2019 for Macに移行することで何が変わるのでしょうか?それは主にOffice 2019とは変わらず、次のポイントが変更点になります。
- クライアントアプリは「Click-to-Run」でのみ提供される
- メインストリームサポート5年間、延長サポート2年間
- インク機能が改善され筆圧設定や傾き感知がサポートされる
- Excelで新しい関数とグラフが追加される
- ExcelがAIと連携する
- PowerPointでモーフィングやズームといった効果が利用できる
一つずつ詳しく説明すると、「Click-to-Run」とはOffice 2013にて初めて導入されたインストール方式です。インストールやバージョンアップを簡素化して、常に最新のアプリケーションを利用できる状態にするものになります。
サポート期間に関しては合計7年間提供する予定です。従来のOfficeスイートでは延長サポートがメインストリームサポートと同じ5年間でしたが、Office 2019では2年間に短縮されています。これは、Office 2016のサポート期限に合わせてのことだとマイクロソフトのブログエントリ※1内で説明しています。
この他Officeスイートとして追加される新機能は、インク機能が改善されることで傾き感知がサポートされるので、デジタルペンでの表現がより自由になります。Excelには新しい関数とグラフが追加されますし、PowerPointではモーフィングやズームといった効果を持たせることが可能です。
もう一つ重要な追加機能はExcelとAIの連携です。マイクロソフトが昨年開催したカンファレンスの「Ignite(イグナイト)」では、Office 2019のリリースと同時にExcelへのAI連携が発表されました。
その発表によると、ある企業名を入力するとExcelはそれが企業名であると認識するようになります。さらにExcelはAPIを利用してBingにてインターネット検索をし、株価や時価総額などの情報を付加してくれます。国名を入力すればその国の人口、領土、指導者、経度、都市名などの情報を自動的に取得します。任意の情報を選択することでセル内にその情報が記入されます。
このようにOffice 2019 for Macでは様々な変更点があり、ユーザーにとってメリットになる点もあれば、Office 2019の展開方法を検討しなければならない点もあるでしょう。
Office 2019 for MacはOffice 365でも利用できるか?
企業がOffice 2019 for Macを導入する際は、ボリュームライセンスを購入するというのが一般的な考えです。もう一つの方法はOffice 365を契約することです。
Office 365とはマイクロソフトが提供するクラウドサービスであり、プランによってOfficeライセンスやコラボレーションツールなど様々なアプリケーションを提供しています。このOffice 365でも、Office 2019 for Macの利用が可能です。
現時点でもOffice 365を契約するとOffice 2016 for Macのインストールが可能であり、iOSでもOffice Mobileが利用可能です。では、Office 365で利用するOffice 2019 for Macと、ボリュームライセンスで購入した場合の相違点は何でしょうか?
- Office 365は月間・年間契約、ボリュームライセンスは一度だけの購入
- Office 365ではOfficeアプリケーションが継続的に新しい機能が追加される
- Office 365は最大15台のデバイスにOfficeをインストール、ボリュームライセンスでは最大2台のデバイスにOfficeをインストール
- Office 365はブラウザ上の管理センターからライセンスを管理、ボリュームライセンスでは管理用サーバーから管理
- Office 365はOfficeライセンス以外にExchange、SharePoint、Skype for Businesなどのオンライン版も提供している
この他にも様々な相違点がありますが、比較検討材料として大きなポイントは以上の5つでしょう。費用面に関しては月間・年間費用と一度きりの購入で大きな変更になるので注意しましょう。
総合的に見るとOffice 365の方が利点が多いように感じますが、環境によってボリュームライセンスの方が良いこともあります。自社のOfficeスイート環境を改めて整理して、適切な導入方法を選んでいただきたいと思います。