パソコン上で行う作業をちょっとでも自動化できたら?日々の作業時間は少なくなりますし、その時間が積み重なれば年間で何日分かの時間を作り出すことができます。近年、そうした自動化ツールが着目されていますが、Microsoftでも同様のツールを提供しています。
それが「Microsoft Flow」です。本稿では、そんなMicrosoft Flowの基本と、プラン別の機能と価格についてご紹介します。
Microsoft Flowとは?
一般的なタスク自動化ツールは異なるアプリケーション同士を繋ぎ、ユーザーが定義した操作を自動的に実行するというものです。Excelのマクロ機能を使ったことがある方なら、イメージするのは難しくないでしょう。マクロ機能は、Excelドキュメント内でユーザーが実行した操作を記録し、それを自動的に実行させることができます。これが、パソコン上の異なるアプリケーション間で起きていると考えてください。
Microsoft Flowに関しても、そうしたタスク自動化ツールと概ね同じです。異なる点は、Microsoft Flowでサポートされているコネクタ(Microsoft製品を含む様々なアプリケーション)を組み合わせて、各アプリケーションにおける処理を記録し、自動的に実行することです。
たとえば「Outlookでメールを受信し、添付ファイルがあったらOneDriveにそのファイルを保存する」といった自動化処理を実行することができます。ちなみにMicrosoft Flowでサポートされているコネクタは250個以上あります。GmailやEvernoteといったお馴染みのクラウドサービスから、SQL Serverといったデータベースまでサポートされているため、気軽に使えるタスク自動化ツールでありつつ広範囲に自動化処理を実行できます。
ちなみに、タスク自動化ツールとしてRPA(Robotic Process Automation)を導入・利用するケースもありますが、RPAはより複雑な処理やプロセス間をまたぐ処理も自動化できるようなツールです。
それに対してMicrosoft Flowは気軽に使用できるタスク自動化ツールであり、導入費用も圧倒的に低価格なので、初めてタスク自動化ツールを導入する、もっと気軽に自動化処理を行いたいといった企業におすすめです。
Microsoft Flowのプラン構成
Microsoft Flowは全部で4つのプランが提供されています。まず、誰でも無料で利用できる「Flow Freeプラン」は、有料プランに比べると機能制限は多いものの、Microsoft Flowの機能の一部を体感できるためお試しとして活用できます。もちろん、月間の自動化処理数が少ないというユーザーであれば、Flow Freeプランで十分というケースもあります。
Microsoft Flowとしての無料プランは2つあります。それが「Flow プラン1」と「Flow プラン2」です。基本的な機能は同じですが、タスク自動化を実行できる範囲が違い、標準で使用できる容量なども違います。そのため、Microsoft Flowを利用する目的や自動化処理の範囲などを明確にした上で、適切なプランを選ぶのがポイントです。
そしてもう1つのプランが、Microsoftが提供するコラボレーションツールのOffice 365に組み込まれている「Microsoft Flow for Office 365」です。同プランだけでは、誰でも利用できるというわけではなく、Office 365を利用しているユーザーのみで付帯サービスとして利用できます。
Microsoft Flow各プランの価格と機能
次に、Microsoft Flowで提供されている各プランの価格と機能を比較していきます。
<Microsoft Flow各プランの価格>
|
Flow Free |
Microsoft Flow for Office 365 |
Flow プラン1 |
Flow プラン2 |
---|---|---|---|---|
初期費用 |
無料 | |||
月額料金 |
無料 |
Office 365各プランの料金に準ずる |
$5.00 |
$15.00 |
<Microsoft Flow各プランの機能>
|
Flow Free |
Microsoft Flow for Office 365 |
Flow プラン1 |
Flow プラン2 |
---|---|---|---|---|
全般 |
||||
ワークフロー作成 |
無制限 |
無制限 |
無制限 | 無制限 |
1ヵ月あたりの最大実行数 |
750回 |
2,000回 |
4,500回 |
15,000回 |
フローの最大頻度 |
15分ごと |
5分ごと |
3分ごと |
1分ごと |
テンプレートからのフロー作成 |
可能 |
可能 |
可能 |
可能 |
業務プロセスフローの使用 |
× |
× |
× |
〇 |
最適なフローパフォーマンス |
× |
× |
× |
〇 |
SLA |
使用不可 |
99.9% |
99.9% |
99.9% |
接続 |
||||
Standardコネクタを使用して、Office 365、他のMicrosoftサービス、およびTwitterや Wordpressなどの一般的なクラウドベースのサービスに接続する |
可能 |
可能 |
可能 |
可能 |
オンプレミスデータゲートウェイを使用してオンプレミスのデータにアクセスする |
× |
可能 |
可能 |
可能 |
独自のシステムに接続するためのカスタムコネクタを作成する |
× |
可能 |
可能 |
可能 |
Premiumコネクタを使用して SalesforceやOracleなどの基幹業務サービスに接続します |
× |
× |
可能 |
可能 |
Common Data Serviceでのデータ保存および管理 |
||||
Common Data Serviceデータベース容量 |
無し |
無し |
20MB |
250MB |
Common Data Serviceファイル容量 |
無し |
無し |
無し |
2GB |
管理 |
||||
他のユーザーが所有権を共有してフローを実行できるように招待します |
× |
可能 |
可能 |
可能 |
※最大実行数、最大頻度、容量などはすべて1ユーザー(1ライセンス)あたりの値です
以上のように、各プランで可能なこととそうでないことがハッキリと分かれています。従って、まずはMicrosoft Flowを利用する目的や範囲を明確にした上で、適切なプランを選ぶことが大切です。
ちなみに1ヵ月あたりのワークフロー最大実行数を超える場合は、50,000回/$40.00で実行数を追加購入できます。
Office 365でMicrosoft Flowが利用できるプランとは?
Office 365はぜんぶで7つのプランを提供していますが、全てのプランでMicrosoft Flow for Office 365が利用できるわけではありません。利用できるのは下記4つのプランに限定されています。
- Office 365 Business Premium
- Office 365 Enterprise E1
- Office 365 Enterprise E3
- Office 365 Enterprise E5
各プランで提供されているアプリケーションや利用できるサービス、最大ユーザー数などは異なりますが、Microsoft Flow for Office 365の内容に関してはすべて同じです。Office 365も含めてMicrosoft Flowを利用したいという場合は、上記4つのプランから最適なものを選びましょう。
この機会に、Microsoft Flowを利用してみてタスク自働化ツールの効果をぜひ実感してください。