社員が増減や利用するデバイスの多様化により、ライセンスの導入時期が別れ、デバイス毎に内包されたOfficeライセンスの把握など、管理がますます煩雑化になっています。
また、プロダクトキーやライセンス管理を正しく行わないと、ライセンス資産の正しい管理も行えません。これらの管理は企業にとって必要不可欠であり重要です。
実は、ソフトウェアの資産管理を怠ると法務的なリスクが増大することも見逃せません。ソフトウェアの不正利用などが明るみに出ると法的にも罰せられますし、金銭的な問題のみならず社会的な信用などを損ない企業価値を大幅に下げることにつながります。
本記事では、Office 365の導入メリットの一つである容易なソフトウェア資産管理に関してご紹介します。
不正ライセンス利用がもたらす経営リスク
ソフトウェアの不正利用により、刑事罰や高額な損害賠償が発生するケースがあります。企業が悪意を持って不正利用する場合には、言語道断であると言えますが、従業員がライセンス内容の詳細を知らずに不正コピーしてしまったなど悪意のない場合もあるでしょう。
コンプライアンスや法令遵守が厳しく求められている今、企業は正しいライセンスを必要数保有し、またそれを対外的に証明できるようにしておくこと、ソフトウェアの資産管理が必要です。
まず、具体的にどのような法律があり、どのような事案があったかをご紹介します。
A. 刑事罰: 著作権侵害の最高量刑
企業の社員が、業務で著作権を侵害した場合は、その法人に 3 億円以下の罰金が課せられます。
B. 民事事案: 訴訟による損害賠償
ビジネス用ソフトウェアを不正コピーして、著作権侵害による損害賠償を受けた例です。某予備校ではソフトウェアを不正コピーして約8500万円の損害賠償を東京地裁より言い渡されました。また、某コンピュータスクールでは大阪地裁より約4000万円の損害賠償を言い渡された事例もあります。
C. 民事事案: 和解による損害賠償
民事で和解による損害賠償のケースも増えています。従業員 500 名以下の損害賠償金額 (種別) のトップ 5 は、いずれも 1 億円を超える高額。不正コピーの代償が財務的な負担となり、企業経営を大きく圧迫することがわかります。
ライセンス監査はある日突然やってくる
多くの企業において、ある日、突然、ソフトウェアが正しく利用されているかを調査する「ライセンス監査」が入る可能性があります。多くのソフトウェアには使用権許諾書というものが存在し、よく読むと著作権者であるメーカーは、ソフトウェアが正しいライセンスで正しく利用されているか調査をしても良いという権利が記述されています。
監査は、単独のメーカーで行われることもありますし、複数のメーカーによって行われることもあります。ターゲットとなる企業は、ランダムに抽出したり、明らかに従業員数に比べてライセンス数が少ないなど条件を決めて企業を選定することもあります。また、社内の内部通報により監査を実施する場合もあります。
いつ実施されるかわからない監査に対して、企業はしっかりとソフトウェア資産管理を実施することで、慌てずに対処することが可能になります。
複雑すぎるソフトウェアの資産管理
ソフトウェア資産管理とは、企業が利用しているソフトウェアやソフトウェアがインストールされたハードウェア、すべてのライセンスを管理することを言います。監査では、ライセンス管理の台帳に登録されているライセンスが、どのライセンス証明書で担保され、実際にどのPCで使用されているのかといったことを証明する必要があります。
Officeなどを例にとるとパッケージ版を購入した場合には、紙で印刷された証明書が箱に同梱されていたり、ボリュームライセンスやダウンロード販売を通じて購入した場合には、電子データやWebシステム上での管理であったりと購入方法ごとに発行方法が異なっていたりします。それらは密接にPCのライフサイクルや従業員の増減に依存していたりと、ソフトウェア資産管理は複雑化の一途をたどっています。
Office 365でライセンス管理をシンプルに
Office 365の導入により、多くの企業は特に面倒であったOfficeのソフトウェア資産管理を簡素化することが可能になります。Office 365によりライセンスを一元管理でき、ライセンス保有の証明が容易になります。Office 365では、すべてのライセンス情報は Web 上の管理センターで管理者が一括管理可能です。また常に最新版が自動配信されるので、バージョンのばらつきも生じません。1 台ずつに異なるプロジェクト キーを紐づけて管理する必要もありません。
Office 365の導入メリットの一つである容易なソフトウェア資産管理に関してご紹介しました。サブスクリプション型のOffice 365を導入することで、ライセンスやバージョンを一元管理し簡素化してみてはいかがでしょうか?