個人向けのOffice 365サービスとして提供されているのが「Office 365 Solo」です。法人向けOffice 365と同等のアプリケーションを提供し、個人でもクラウドサービスとして提供されているOfficeを存分に活用することができます。
また、企業によってはOffice 365 Soloをビジネスとして利用する場合もあります。特に小規模でコミュニケーションコストがまだ発生していないような企業では、Office 365 Soloを導入した方がメリットが高いケースがあります。
そこで今回は、Office 365 Soloを中心に、ライセンスタイプ別によるポリシーの違いや、Office 365 Soloがフィットする利用ケースについて紹介します。
Office 365 Soloとその他のライセンスの違い
まずOffice 365 Soloの特徴について説明すると、従来のライセンス版とは違い「サブスクリプション版」として提供されているのが最大の特徴です。サブスクリプション版とは契約することで利用できるサービスを指し、月額や年額など定期的に契約料金を支払うことで継続して利用できます。
ライセンス版は一度購入すれば、その後も永続的に利用することができます。このためOffice 365 Soloを利用することでコストが高くなるのではないかと懸念されることも多いですが、この点については後に解説していきたいと思います。
では、ライセンス版にはどういった種類があるのでしょうか?ライセンス版の種類は以下の通りです。
1.プリインストール
プリインストールとはPCを購入した際に、予めOfficeがインストールされている製品です。PCへのOfficeインストールの手間が無く永続的に利用できますが、無償のバージョンアップはできず、別のPCへライセンスを移行することもできません。
2.パッケージ
Officeパッケージを購入し、CD-Rを使用してPCをOffice製品をインストールします、最大2台のPCにインストールできるためプリインストールよりも使い勝手がよく、永続的に利用できる点も変わりありません。しかし、やはり無償のバージョンアップは提供されていないので、サポート終了時には必ず買い替えが必要です。
3.ボリュームライセンス
ボリュームライセンスとは複数のライセンスを同時に購入する際、ボリュームディスカウントが適用されたり、導入プログラムを追加できる法人向けのライセンス形態です。Office製品自体のパッケージ変わりありませんが、管理サーバによってライセンスを一括管理できるという特徴があります。
これらのライセンス版に対し、Office 365 Soloは非永続型ではありますが、「常に最新のOfficeをインストールできる」というメリットがあります。つまり、最新バージョンのOfficeがリリースされたとしても、ライセンス費用を新たに支払うことなく、最新バージョンいアップデートすることができるのです。さらに、最新バージョンのOfficeはOffice 365で優先的にリリースされるため、誰よりも早く最新Officeを利用することができます。
Office 365 Soloとライセンス版のコストについて
ライセンス版Officeとして最新バージョンであるOffice 2016 Professional Plusは、1ライセンスあたり72,252円の費用がかかります。ボリュームディスカウントによってこの単価は変動しますが、ここでは定価で試算していきましょう。
対するOffice 365 Soloは1サブスクリプションあたり、年間で12,744円の費用がかかります。つまり、[72,252÷12,744=5.66]の計算で、Office 365 Soloを約5年半使用すると、ライセンス版の費用を上回ることになります。
そしてここで注目していただきたいのが「Office製品は2~4年周期で新しいバージョンがリリースされている」という事実です。つまり、ライセンス版を購入した場合、Office 365 Soloのコストメリットを上回る5年範囲内に、新たなバージョンがリリースされる可能性が非常に高いのです。
業界によっては常に最新のOfficeバージョンを用意しておかなければならないため、約3年ごとに1ライセンスあたり7万円以上の費用がかかることになります。一方Office 365 Soloならば、最新バージョンがリリースされても追加で費用が発生することなく、迅速のOfficeをバージョンアップさせることができます。
つまり、企業によってはOffice 365 Plusを利用する方がコストメリットが高いのです。
Office 365 Soloがフィットする利用ケースとは?
Office 365 Soloはあくまで個人向けのプランであり、法人向けにはOffice 365 Business Premiumなど別のプランが用意されています。では、法人向けではなく個人向けで提供されている、Office 365 Soloがフィットする利用ケースとはどのようなケースなのでしょうか?
規模が小さく、数人程度で運営している
企業規模が数人から十数人の場合、組織自体がまだ小さいので特別なコミュニケーションツールを必要としないケースが少なくありません。そんなとき、必要最低限のコミュニケーションツールとOffice製品を提供しているOffice 365 Soloがフィットします。
Office 365 Soloでは、ExcelやPowerPointなどお馴染みのビジネスツールを含む7つのOfficeアプリケーションと、OneDriveによる1TBのクラウドストレージ、さらに60分の無料通話が付帯されたSkypeが提供されています。
Officeアプリケーションは法人向けプランと同等に、そしてコミュニケーションツールはシンプルにまとまっているので、過剰機能とならず小規模環境にもフィットさせることができます。
コストも削減できる
法人向けプランとしてOfficeアプリケーションとコミュニケーションツールを同時に提供しているOffice 365 Business Premiumは、1サブスクリプションあたり16,320円の費用がかかります。
Office 365 Soloの方が、年間で3,576円お得なので、コスト削減にも繋がります。
Office 365 Soloを利用する上での懸念点も考慮しましょう
Office 365 Soloはあくまで個人向けプランなので、法人向けプランで提供されているような管理機能が存在しません。従って、企業によってはポリシー適用が難しくなってしまったり、急激な組織拡大に耐えきれない可能性があります。
ですので、近々規模拡大の予定がある企業などは、やはり法人向けプランであるOffice 365 Business Premiumの利用をおすすめします。
また、Skypeすらいらないという企業は、Office製品のみを提供している法人プランOffice 365 Businessを利用する方が年間コストを抑えることができます。こうした懸念点にも注意しつつ、自社にとって最適なOffice 365環境について検討した上で、適切な導入を目指していただきたいと思います。
ちなみにOffice 365 Soloは、法人向けプランのようにOfficeインストール台数が「最大5台」ではなく、最大2台となっているので、この点の留意しておきたいところです。