「グループウェアなんてどれも同じでしょ?」
「できるだけ多機能な製品がいいなぁ~」
「とりあえず低コストな製品にしておこう」
現在グループウェアの導入を検討している企業では、上記のような声が挙がったりしていないでしょうか?
もしもあるならば危険信号です。
グループウェアにはそれぞれ特徴があります。そして、機能重視や低コスト重視では失敗するケースがほとんどです。
簡単そうに見えて実は慎重な導入が必要で、しかもリプレースが難しい。しっかりとポイントを押さえた上で導入しなければ経済的にも精神的にも大打撃を受けるでしょう。
そこで今回は、6つの失敗事例からグループウェア導入のポイントを学んでいきたいと思います。
これから導入予定がある企業では、堅実な導入を行うためにも是非参考にしてください。
事例1. 無駄なコストが多く発生した
この事例で面白いのが、低コストを重視して導入した企業ほど無駄なコストを生んでしまっているということです。
例えばいくつかピックアップしたグループウェアの中で、月額利用料400円/ユーザーの製品を選んだとします。
ユーザー数が100だとすると毎月40,000円のコストがかかりますね。
しかし低コストという点のみを重視したがために、実際利用してみると使いづらかったり、機能が不足していることに気が付きます。
グループウェアが使いづらいと全体的な労働生産性の低下に繋がり、従業員のモチベーションも下がりがちです。
最終的にあまり利用されないツールとして置き去りにされます。
そして機能不足を補おうとオプション機能を導入すれば、当初予測していたコストを明らかに上回りますね。
ここでリプレースすればそれこそ無駄なコストです。
つまり、低コストだからといって"良いグループウェア”とは限らず、逆に無駄なコストを生んでしまうことが多いのです。
また、多機能を求めるケースでも無駄なコストを生んでしまう可能性があります。
大切なのは「自社にとって必要な機能をコンパクトに提供するグループウェアを選択すること」です。
低コスト・多機能重視はグループウェア導入失敗の大きな原因なので、あくまで自社に最適な製品を選択することが大切です。
事例2. 従業員の声を反映させていなかった
グループウェアを利用するのは経営層でしょうか?はたまた情報システムでしょうか?どちらも違いますね。
正解は大多数を占める現場の従業員です。
つまり、現場の声をしっかりと反映させていなければ"従業員に馴染むグループウェア”を選ぶことはできません。
しかし多くの企業で現場の声を反映させず"使われないグループウェア”を生んでしまっています。
具体的な対策としては、各部署の責任者や不特定多数の従業員にデモや無料トライアルで製品に触れさせてみることです。
こうすることで、より現場に近いグループウェアを選ぶことができます。
ただし、ここで注意してほしいのは、ITスキルの高い従業員ばかりを集めないことです。
人によって得手不得手というものがあるので、必ずしも全従業員がPC操作に長けているわけではありません。
特に最近では「ITスキルの高い若手社員を集めて意見を聞こう」という傾向がありますが、むしろITスキルの低い従業員の意見を伺うべきです。
もちろん、導入にあたり機能要件などを定義すると思うので、完全に合わせる必要はないと思います。
ですので"ITスキルの低い従業員でも少し教育すれば使用できる”くらいのグループウェアがベストでしょう。
この点で言えば、普段使い慣れているOfficeソフトやファイルエクスプローラーが利用できるOffice 365に大きなメリットがあります。
事例3. 現場にキーマンを配備していなかった
グループウェア導入後は、「この機能の使い方が分からない!」「設定をいじってしまった!」などのトラブルが必ずと言っていいほど発生します。
そんなとき情報システムや導入担当者が現場に駆り出されるわけですが、トラブルへの対応だけで1日が終わってしまうなんてケースも珍しくありません。
情報システムや導入担当者は本来の業務を阻害されてしますので、人件費の観点から言えば無駄なコストを生んでしまっているのと同じです。
そこで求められるのが現場にキーマンを配置することです。
つまり、各部署のITスキルが高い従業員をピックアップし、グループウェア利用における簡単な教育を行うことでキーマンを作ります。
各部署にキーマンを作ることで簡単なトラブルへの対応速度がグッと改善します。
従業員一人一人にとっては小さな効率化かもしれませんが、都度トラブルへの対応に駆り出される情報システムや担当者からすれば非常の大きな効率化です。
事例4. 親会社と同じ製品で失敗した
冒頭でも述べたようにグループウェアは各製品に特徴があり、各企業にとって最適な製品が異なります。
しかし、親会社と同じ製品を導入したことで失敗したケースが少なくありません。
親会社ともなれば企業規模や従業員数に大きな差があります。
また、そもそも事業内容が異なるので必要な機能やUI(ユーザーインターフェース)の使いやすさなども異なります。
ほとんどの場合、親会社の意向で導入しているので、グループ会社としては導入を断りづらいという事情があるでしょう。
しかし必ずと言っていいほどリプレースすることになるので、しっかりとしたプレゼンの場を設けて理解を得ることが大切です。
事例5. 拡張性が低い製品を導入してしまった
グループウェアで意外と見落ちしがちなのが製品の拡張性ですが、多くの企業が導入後にぶち当たる壁でもあります。
例えば従業員数が増加したとき、当然ライセンス追加が必要です。
また、新規事業を立ち上げたときは新しい機能追加などが必要となりますね。
こういった環境の変化に伴い、グループウェアに求められる規模や機能も変化していきます。
そこで求めらるのが拡張性に優れたフレキシブルなブループウェアです。
従業員の増減や新機能の必要性が発生した場合、プラン変更などで即座に対応出来る製品は後々大きなメリットをもたらします。
ちなみにOffice 365では企業規模や必要な機能などに合わせて7つのプランを用意しているので、従業員の増減や新機能追加の必要性にも即座に対応可能です。
事例6. 一気に全社導入して失敗した
グループウェアは組織内の全従業員が活用することでコミュニケーションを円滑にし、情報共有やプロジェクト進行に貢献するツールです。
だからと言って、いきなり全社的に導入するのはあまりおすすめしません。
なぜなら、どんなに吟味してグループウェアを選択しても実際に導入してみない限り、成功するかどうかはわからないからです。
もちろん導入に成功するかどうかは検討段階でほぼ100%決定します。
しかし、残りの1%や0.1%の確率で導入に失敗している企業がいるのも事実です。
例えば、全社的に導入したことでナレッジが各従業員に不十分となり浸透しなかったケースや、実際使用してみたら不要な機能や使いづらさが目立ってきたなどといったケースもあり得ます。
つまりグループウェアの導入は最後まで気が抜けないのです。
そこで大切なのがスモールスタートを切ることでしょう。
導入初期段階は各部署の責任者のみに利用させ、本格導入の是非を検討するのがベターです。
各部署によっても頻繁に使用する機能が異なるので、責任者でなくとも必ず各部署の従業員に利用させたいところです。
この段階で不都合などがあればリプレースも比較的容易に行うことができます。
このように、スモールスタートを切ることで慎重さを失わず、徹底して失敗しないグループウェア導入が可能となるのです。
今回の事例から分かる導入ポイント
- 低コストや多機能だけで製品を選ぶのではなく、あくまで自社の要件に最適な製品を選ぶ
- グループウェアは全従業員が利用してこそ意味があるので、現場の声をしっかりと反映させる
- 検討段階で不特定多数の従業員に利用させ、より現場に近い製品を選ぶ
- ITスキルの高い従業員の意見ばかり聞くのではなく、ITスキルの低い従業員の意見も参考にする
- 導入後の細かいトラブルに対応できるよう、ITスキルの高い従業員に最低限の教育を行いキーマンとして配置する
- 親会社の意向で同じ製品を導入するケースは往々にして失敗するので、しっかりと理解を得た上で他製品を検討する
- グループウェアは環境の変化に伴い拡張性が重要になるので、フレキシブルな製品を選択する
- 一気に全社的導入をすると失敗のリスクが高まるので、スモールスタートで本格導入の是非を検討する
これらのポイントをしっかりと押さえることで、失敗しないグループウェア導入が実現します。
総じて言えるのはやはり"慎重さ”が重要だということですね。
冒頭でも述べたようにグループウェアは非常にリプレースが難しいツールです。
本格導入が進めば進むほど後戻りはできないでしょう。
チャットツールなどは定期的にリプレースすることで最適な製品を見つけることはできますが、グループウェアではそれができないという認識をまず持って頂きたいと思います。
まとめ
グループウェアは導入に成功すれば組織内のコミュニケーションが加速し、多くの恩恵を受けることができます。
しかしその分導入が難しいツールでもあるので、今回紹介した導入ポイントを意識して頂きたいと思います。
また、グループウェア導入の際は従業員の意見が賛否両論分かれると思います。
既存の使い慣れたシステムの方が良いという方も多くいると思うので、そういった意見を上から押し付けるのは得策ではありません。
導入の際は予め従業員の理解を得ることで、スムーズに浸透させることができます。
皆さんも失敗しないグループウェア導入でコミュニケーションを活発にし、ビジネスの幅を広げましょう。