「Microsoft Forms」では、従業員の出退勤時間を管理する勤怠管理アプリの作成が可能です。勤怠管理アプリの活用にはメリットが多く、これまでタイムカードを使っていた企業でも導入が進んでいます。そこで本記事では、Microsoft Formsを使った勤怠管理アプリの作成方法について解説します。
勤怠管理アプリとは
「勤怠管理アプリ」とは、スマートフォンやタブレット端末で打刻し、勤務時間を集計するなどの勤怠管理が行えるアプリのことです。
従来では、紙製のタイムカードや出勤簿などで勤怠状況を管理するのが一般的でした。しかし、これらは会社にいるときしか打刻ができないため、直接取引先へ向かったり外出先から直帰したりする場合に打刻できず、わざわざ会社に寄らなければならないなどの問題が生じます。勤怠管理アプリを使用すれば、このような問題が改善され、効率よく勤怠情報を管理することが可能です。
勤怠管理アプリの種類
勤怠管理アプリには、大きく分けて「タイムレコーダー型」「多機能型」「他業務連動型」の3つがあります。
- タイムレコーダー型
タイムカードやタイムレコーダーの代わりに、アプリの入ったタブレット端末を設置するタイプです。顔認証や画面操作により手軽に打刻できるので、社員やアルバイトなどの数が多い職場でよく利用されています。「打刻時間がデジタル化されるため、そのまま集計が可能」「システムやタイムカードなどの購入に費用がかかりにくい」という特徴があります。 - 多機能型
打刻時間や休暇申請・承認、シフト確認・管理など、勤怠情報に関する幅広い機能を備えたタイプです。勤怠管理業務そのものがデジタル化され、集計を自動化できるなど、業務の効率化に寄与します。 - 他業務連動型
勤務時間や休暇管理などの勤怠管理だけでなく、勤務時間に紐づけられた給与計算まで一元化して行えるタイプです。中には、プロジェクト管理といった業務まで連動するものもあり、さまざまな業務を効率よく行えます。
勤怠管理アプリの主な機能
勤怠管理アプリの機能は、従業員用・管理者用でそれぞれ異なります。従業員用の場合、スマホでできる打刻機能や休暇申請のワークフロー、残業時間の通知機能などが主です。また、スケジュール管理機能が搭載されているものもあります。社外での仕事で直行直帰が多い会社や、出勤簿の記入漏れが多いケース、従業員数が多い会社などで活躍が見込めます。
一方、管理者用の機能には、勤怠情報の集計やcsvファイルなどの帳票出力、給与計算や人事管理など他システムとの連動、スケジュール・シフト管理機能などがあります。管理者用の機能にはさまざまなものがあるため、会社によって必要な機能は変わってきます。
このような機能の違いから、導入の際は「従業員が使いやすいシステムかどうか」「自社の業務に必要な機能を有しているかどうか」という、従業員・管理者の両視点からの検討が求められます。
勤怠管理アプリのメリット
勤怠管理アプリを導入すると、従業員・管理者それぞれにメリットがあります。
従業員側から見た場合、スマートフォンからでも打刻できる利便性の高さがメリットといえます。わざわざ外出先で仕事を終えてから、不要な交通費をかけて会社まで戻る必要がありません。また「アラート機能」の活用により、打刻忘れや法定残業時間の超過を防止できます。さらに、休暇の申請がアプリ上でスムーズに行えることで、従業員一人ひとりの勤怠に関する業務負担が軽減されるのもポイントです。
管理者側にとっては、GPS機能による不正打刻の防止や、打刻時間のデジタル化による集計作業の効率化などがメリットとして挙げられます。労働時間の一覧を出力したり、残業時間などに注意が必要な従業員を抽出したりする機能も利用できるため、勤怠管理にかかる作業時間の短縮も見込めます。残業時間の管理を無理なく行えるようになれば、無駄な残業時間を減らして経費削減につなげることも可能でしょう。
リモートワークが普及している現在では、勤務場所にかかわらず正しい打刻を行える機能の需要が増加しています。勤怠管理アプリなら高額なタイムレコーダーが不要のうえ、紙製のタイムカードも使わないため、ランニングコストが少なく済むのもメリットです。
ノーコードでアプリの作成ができるMicrosoft Formsとは
「Microsoft Forms」とは、Microsoft 365で使用できるアプリのひとつです。クラウド上のアンケートや問い合わせフォーム、オンラインテストなど、パソコンやスマートフォンを使ってブラウザ上で回答できるさまざまなフォームの作成が可能です。
その特徴からMicrosoft Formsは、従業員が勤怠情報を提出する勤怠管理アプリの作成にも適しています。ノーコードで作成できるため、アプリの作成時にプログラミングを行う必要もありません。アプリ作成に必要なパーツをドラッグ&ドロップして直感的に作れるため、イメージに近いアプリが短時間で簡単に開発できます。
勤怠管理に利用する場合は、出退勤時間を提出するフォームの作成が可能です。従業員はこのフォームから勤怠情報を送信するだけで、出退勤時間を提出できます。Microsoft Formsでは、Microsoft 365のライセンスを持たない従業員にも、フォームのリンクから必要な情報を送信できます。回答されたデータはブラウザで閲覧したり、Excelでダウンロードし集計したりできるので、管理も容易です。
さらに「Excel」「Share Point」「Microsoft Teams」「Microsoft Power Automate」など、ほかのMicrosoftアプリとの連携も充実しているため、追加でアプリ使用料を支払うことなく、勤怠やワークフローなどさまざまな機能を活用できます。
Microsoft Formsを使って勤怠管理アプリを作成する方法
Microsoft Formsでは、回答者を制限して相手にフォームを送ることが可能です。勤怠管理に関するフォームを作成し、従業員から提出された回答をタイムカードの打刻として取り扱います。
なお、Microsoft Formsによる勤怠管理は、従業員のMicrosoft 365ライセンスの所持・未所持にかかわらず可能です。以下では、それぞれのケースで勤怠管理アプリを作成する方法をご紹介します。
従業員がMicrosoft 365のライセンスを持つ場合
従業員がMicrosoft 365のライセンスを持つ場合は、以下の手順で作成します。
- Microsoft formsのページから[新しいフォーム]をクリックし、タイトルを「出退勤時間提出フォーム」にして、「出勤/退勤」のどちらかを選択する簡単なフォームを作成します。
- 右上の[共有]をクリックして、リンクのコピーをメールなどで従業員に送信します。
- 従業員がリンクをクリックして画面を開き、回答後[送信]ボタンを押すと、提出時間がクラウド上に保存されます。
- 責任者はフォーム作成画面から[応答]→[Excelで開く]の順に選択していくと、すべての回答データをExcelで確認できます。
Microsoft 365のライセンスを持たない従業員がいる場合
Microsoft 365のライセンスを持たない従業員がいる場合は、以下の手順で作成します。
- 上記と同様にMicrosoft Formsで、「出勤/退勤」を選択する「出退勤時間提出」の簡単なフォームを作ります。
- 画面右上の[…]アイコンをクリックし、[設定]→[すべてのユーザーが返信可能]を選択します。
- 画面下の[+新規追加]をクリックして[選択肢]を選び、選択肢に従業員の名前一覧を貼り付けます(もしくは[テキスト]を選んで、自分で氏名を入力するフォームを作ります)。
- 右上の[共有]をクリックして、リンクのコピーをメールなどで従業員に送ります。
- 従業員は「出勤/退勤」のどちらかと、[(自分の)氏名]を選択してから[送信]します。
その他Microsoft Formsの活用法
Microsoft Formsでは、「選択肢」「テキスト」「評価」「日付」などの質問項目を作ることが可能です。必要な項目を選んで、社内外に向けてのアンケートや申し込みフォーム、テスト、投票フォームなどを作成できます。
ビジネスシーンにおいては、お客様からの商品・サービスのフィードバック収集や、従業員の満足度調査、製品や業務に関するアンケート、イベントの受付フォームなどによく活用されています。レストランなどの店舗では日時や予約の申し込みフォーム、教育機関ではテストの作成など、目的によりさまざまなケースで活用できます。
まとめ
Microsoft Formsを活用することで、ノーコードで簡単に勤怠管理アプリを作成できます。画面上で直感的に操作するだけで、従業員がスムーズに出退勤時間を回答できるフォームが完成します。回答はエクセルで出力・集計することも可能です。管理者・従業員ともにさまざまなメリットを得られるため、ぜひご検討ください。