企業内でのナレッジ管理ツールとして注目される企業内検索エンジンですが、そもそもどのようなツールで何が可能なのか疑問視される方が多いのも事実でしょう。そこで本記事では、企業内検索エンジンの概要や、ものづくり現場における活用シーンについて詳しく解説していきます。
企業内検索エンジンとは
企業内検索エンジン(エンタープライズサーチ)とは、社内外の資料、人事、経営情報等を横断的に検索できる社内システムのことを意味します。現代の企業は自社のデータベース内に膨大なデータ(ビッグデータ)を保有しています。しかし、いくら多くのデータを保有していても、必要なときに必要なデータにアクセスし、効果的に運用できなければ意味がありません。
企業内検索エンジンは、企業内データベースに散在する多種多様な膨大なデータに素早くアクセスすることを可能にし、セキュアに管理するために役立つツールです。
企業内検索エンジンの特徴
検索エンジンと言えば、「Google」や「Yahoo!」のようなインターネット検索エンジンをイメージする方が多いかもしれません。それでは、インターネット検索エンジンと比べて、企業内検索エンジンにはどのような利便性があるのでしょうか。続いては、企業内検索エンジンの特徴についてご紹介していきます。情報の検索性が高い
企業内検索エンジンの特徴としては、情報の検索性が高いことが挙げられます。すでに述べたたように、企業内には業務上有益なデータが膨大にありますが、そのファイル形式は様々で、保存先が統合されていないことも多くあります。
企業内検索エンジンはデータベース内に散在するこうしたデータへ効率的にアクセスするための便利な機能を数多く備えています。たとえば、それぞれのデータ(Office文書、ODF文書)にメタデータを設定できるほか、タイトルや概要、タグなどからも検索することが可能です。また、各データにサムネイルも設定できるため、視覚的にも分かりやすくデータの閲覧が可能になります。
部門横断的に効率的な情報共有が可能
企業内検索エンジンでは、部門横断的に効率的な情報共有が可能になります。どのアプリのどのデータも、企業内検索エンジンを使えば即座に検索できます。
企業内検索エンジンで扱うデータ例としては、ファイルサーバやポータルサイト、NotesDBなどのオンプレミスなデータほか、Box、SharePoint Online、Amazon S3のようなクラウドデータが挙げられます。このように、企業内検索エンジンはオンプレミス環境/クラウド環境問わずに情報検索を支援します。
また、企業内検索エンジンでは便利にデータにアクセスするだけではなく、アクセス権限を細かに設定することが可能です。これによって、たとえば機密性の高いデータや、人事評価などの他部署に見られると困るデータに閲覧制限を設け、アクセス権限を持つ人だけにセキュアにデータを提供できます。
企業内検索エンジンの活用シーン
企業内検索エンジンは企業においてどのように活用できるのでしょうか。以下では2つの企業の導入事例を通して、企業内検索エンジンの具体的な効果についてご紹介していきます。事例1:迅速な情報アクセスで資料作成時間の削減(大手ATメーカー)
ある大手ATメーカーでは、「働き方改革」の一環として企業内検索エンジンを導入しました。その企業は生産性向上のため、まずスタッフの働き方調査を行いました。その結果、生産技術部門のスタッフは勤務時間のうち実に約28%もの時間を資料作成のために費やしており、特に資料の検索や調査に多くの時間を取られていることが判明したのです。とはいえ、生産技術部門においては、規定類や過去の参考資料など、多くのドキュメントの参照が欠かせません。
そこで企業内検索エンジンを導入し、その効果を月間の利用人数や検索件数等のデータを元に試算したところ、導入前と比較して月間で1,000時間以上もの検索時間の削減効果を上げることに成功しました。
企業内検索エンジンを導入することによって得られたメリットは、検索時間の短縮だけではありません。検索効果の向上により、元々探していた資料だけではなく、その周辺の有用なデータも見つかるようになったのです。
このように、企業内検索エンジンの導入は、検索時間の大幅な削減と、資料収集の質の向上の両立を可能にしたのです。
事例2:コールセンターのナレッジマネジメントに活用(大手製薬メーカー)
ある大手製薬メーカーは、コールセンターのナレッジマネジメントのために企業内検索エンジンを導入しました。ナレッジマネジメントとは、従業員が業務上で得た知識(ナレッジ)を全社的に共有するための仕組みのことです。コールセンターにおいては、顧客からの問い合わせに素早く適切に答える必要があるため、このナレッジマネジメントがサービスのクオリティに直結します。
これまでその企業のコールセンター内にも情報検索できる仕組み自体は存在していましたが、情報量の増加に伴って、「目的の資料が探せない」、「探すことに時間がかかる」、「資料登録や情報整理に時間がかかる」といった問題が出ていました。それに伴って、紙で資料を配布する二重運用や、個人の知識やノウハウが属人化する問題も連鎖的に生じていたのです。
しかし、企業内検索エンジンを導入することによって、必要な情報を素早くデータベースから引き出せるようになり、膨大な資料や大きなファイルの中から必要な商品情報や研修資料を探し出す時間も省けるようになりました。
とりわけ新型コロナウイルス感染症によって在宅勤務が始まると同時に、システムの利用者数や検索数が2倍以上にも急増しました。これは在宅勤務においては他の同僚に気軽に尋ねることも難しく、自分で調べる必要が増加するためだと思われます。
このように、企業内検索エンジンを導入することはコールセンターにおける顧客対応の迅速な対応を可能にし、また、テレワーク下でも質を落とさないカスタマーサービスを実現しました。
まとめ
企業内検索エンジンは、DXが社会全体で推進され、企業の保有するデータがますます増えている中、一元的かつ効率的なデータ運用を可能にします。またECサイトなどBtoCのビジネスにおいても効果を発揮しやすく、最適と言えます。素早くセキュアな情報検索を可能にする企業内検索エンジンは今後も企業にとって大きな役割を果たすでしょう。
ブレインズテクノロジー株式会社では、企業内検索エンジン「Neuron」を提供しております。企業内検索エンジンの導入をお考えの方は、ぜひ「Neuron」も検討されてみてはいかがでしょうか。