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IoTプラットフォームとは?機能や役割・選び方を解説

IoTの普及に伴い、近年ではIoTプラットフォームの提供化も進んでいます。そこで当記事では、IoTプラットフォームの概要や特徴、種類、選ぶポイントなどについて解説します。特に大手企業のIT担当者の方は、今後の業務で高い需要が見込まれるIoTプラットフォームについて理解を深め、導入する際の参考にしてください。

IoTプラットフォームとは?機能や役割・選び方を解説

Factory of the Future

IoTプラットフォームとは何か?

「モノのインターネット」を意味する「IoT」は、個人宅の家電や工場のライン設備など、さまざまな電化製品や電子機器をネットワークで接続し、それぞれの機能を連携させることを指します。「IoTプラットフォーム」は、そのIoTサービスに必要となるシステムを支える基盤のことです。

ITベンダーによってIoTプラットフォームの提供範囲はさまざまで、単にモノから情報を収集するネットワークもあれば、データ収集後の解析まで行うプラットフォームもあります。対象となる業種や業界は幅広く、自動車や医療、最近の動向としては農業などにも導入されています。

規模もさまざまで、自社工場の機械からデータを収集するシステムもあれば、世界中の拠点からデータを収集するシステムもあります。IoTプラットフォームを採用する場合は、自社の業務に合わせたシステムを選ぶことが重要です。

IoTプラットフォームの特徴と役割

それでは、IoTプラットフォームを導入すると、どのような業務が可能になるのでしょうか?IoTプラットフォームの機能的特徴と役割について解説します。

IoTデバイスの接続

まず、モノのインターネットを可能にするために必要なデバイスやセンサーを接続し、ハードウェアを統合します。会社で使用しているPCや業務用スマートフォンも、デバイスのひとつです。センサーの身近な例としては、自動ドアに使用される人感センサーや、温度・湿度に反応するセンサーなどがあります。

デバイスやセンサーが独立した状態では、連携したシステムとして機能することはできません。IoTプラットフォームの役割において、ドライバやソフトウェア開発ツールを介し、デバイスやセンサーをインターネットに接続することがもっとも重要です。

データ収集

IoTプラットフォームは、欲しい情報を提供するため、インターネットでつながった情報機器からデータを収集します。ただ、サービス提供者とユーザーがインターネットでつながっていても、データ収集用や保存用の情報機器と、ユーザーが使用するデバイス機器との間には長い距離があることも多いです。

例えば、遠隔地に住む高齢者の見守りサービスや在宅診療サービスの従事者は、遠く離れたさまざまな場所から情報を受信することになります。そうした際にでも、データをもらさず受け取れるように、小型の高速通信端末やネットワーク環境を整備した、IoTプラットフォームが開発されています。

データ分析・解析

IoTプラットフォームによっては、数千から数万ものデバイスと同時接続する場合もめずらしくありません。多くのデバイスから収集した膨大なビッグデータを、細かく分けて分析したり、データの役割やつながりを整理する解析を行ったりできます。

農業で使用するなら、当日の天候や気温データを収集・分析することで、いつ・どのくらいの水を撒けばよいか判断することが可能です。データ解析は自動読み取り装置などにも利用され、選挙の出口調査や、自動車のナンバープレートを監視するため、役立てられています。

リモート制御

IoTプラットフォームは遠隔制御により、接続したデバイスをコントロールすることが可能です。このリモート制御機能により、現場に足を運ばずに設備の稼働や停止、リスタート、各種設定などができるようになります。

スマートフォンをリモコン替わりにして操作するスマート家電は、その身近な例です。外出先からスマートフォンでエアコンやロボット掃除機を運転操作したり、録画予約した番組を視聴したり、冷蔵庫内の食材をカメラでチェックしたりできます。

デバイスの管理

デバイスマネジメントは、IoTプラットフォームの大きな役割です。デバイスの稼働状況などを常に可視化し、リアルタイム表示やグラフ表示するなどして、異常はないか進捗状況を把握・管理する必要があります。IoTプラットフォームの中には、システムの作業状況を監視し、エラーを検知すれば内容を表示するものがあり、ヒューマンエラーを検知するシステムへの応用も検討されています。

さらにIoTプラットフォームでは、温度・湿度センター、カメラ、PC、スマートフォンなど接続したデバイスを統合管理することが可能です。デバイスやセンサーの登録・管理・運用保守・点検・監視をクラウド上で一元的に行えます。また、デバイス側が対応していれば、無線通信で複数のソフトウェアをアップデートすることもできるため、運用効率も向上します。

IoTプラットフォームの種類について

IoTサービスの品質を左右する土台となるのが、さまざまな機能と役割を持つIoTプラットフォームです。現在、市場で普及している産業用のIoTプラットフォームは、業界に縛られない「水平型」と、製造業やエネルギー分野など特定の業界に特化した「垂直型」に大きく分かれます。

「水平型」は、あらゆる業界で使えるプラットフォームを目指します。一方「垂直型」は、さらに細かく分類され、特定業種のIoTサービス構築をすべて行うタイプ、機能を絞って提供するタイプ、開発・導入・運用支援以外をカバーするタイプの3つに分かれます。ここでは、それぞれの種類について解説しましょう。

水平・業種フルカバレッジ型

IoTプラットフォームの基幹をなすのは、クラウドサービス基盤と、データの可視化・収集・分析など基礎的なアプリケーションをセットした部分です。「水平・業種フルカバレッジ型」のIoTプラットフォームは、大手システム開発会社などが汎用性を追求した製品です。そのコアな機能範囲をあらゆる業種に提供します。

コア部分以外は企業ユーザー自身が業種に合わせてカスタマイズするケースが大半です。例えば鉄道の駅やコンビニ店舗、イベント会場などに設置される監視カメラの映像分析を行うIoTプラットフォームが代表的です。

垂直・機能フルカバレッジ型

あらゆる業種に対応するのではなく、特定業種の必要な機能に対応し、すべてカバーするのが「垂直・機能フルカバレッジ型」です。業務に合わせ、開発から導入、運用支援、応用アプリケーション、コア部分のクラウドサービス基盤と基礎アプリケーション、ネットワークとセンサー類まで、IoTサービス構築に必要な全要素をカバーします。

IoTサービスをビジネスとして「一から動かすため」のプラットフォーム、という意味合いが強く、オーダーメイド構築が可能です。ただその反面、事業転換の際にはプラットフォーム全体を入れ替える必要が生じます。

提供できるのは、「日立」など主に国内大手のシステム開発会社です。一方で、建設業界のデジタル化・生産性の向上を目指し、オープンプラットフォームを開発した「LANDLOG」のような合弁会社もあります。

垂直・アプリ提供型

「垂直・機能フルカバレッジ型」から開発や導入、運用支援の部分を除いた機能を提供するのが「垂直・アプリ提供型」です。自社の業務でシステム開発を行う必要がない、事業者向けのIoTプラットフォームで、IoTサービスの動作環境全体を提供します。主な導入形態としては、自社の業種で必要なIoTサービスを社内で利用する、というケースです。

「垂直・機能フルカバレッジ型」のプラットフォームは多くの場合、「シーメンス」などの外資系大手製造業などが提供しています。ソフトウェアや周辺機器を提供する企業が開発するケースもよく見られます。

垂直・基本機能提供型

「垂直・基本機能提供型」は、サービスの目的や使用する機能を絞って提供する、4つの種類の中で一番シンプルなIoTプラットフォームです。一部のITベンダーが提供し、特定業種の限定した機能に特化しているため、利用できるサービスは限られます。リモート監視や予防保全など、特定のIoTサービス機能を導入したい場合に最適で、ほかのIoTプラットフォームに比べ、低コストで導入できます。

IoTプラットフォームを選ぶポイント

IoTプラットフォームを検討する際は、「自社の業務にプラットフォームが必要なのか」「一から構築するのか、既製品にするのか」「どのような機能が必要か」などを整理し、プロジェクトの要件を定義しなければなりません。そのうえで、上記の4種類から検討します。また、IoTプラットフォーム選びでは、次に挙げる3つのポイントも重要です。

接続性

IoTプラットフォームの性能を支える要素が、データ転送やネットワーク通信を十分に行える接続性です。デバイスから収集した大量のデータをデータセンターに送信するため、通信速度や安定性は欠かせません。

さまざまな通信技術や規格があり、画像や映像など送信するデータの種類や、接続のしやすさなどの条件によって、最適な通信方法は変わります。有線・無線LANやBluetoothなどの無線通信、モバイルデータ通信など幅広い通信規格に対応できることが望ましいです。

拡張性

IoTプラットフォームは多くのデバイスを接続し、多様な種類のセンサーを組み込み、数万台規模の動作環境が必要になることもあります。そのため、多くのデバイスやセンサーを同時接続しても、処理能力が低下しない拡張性の高さが求められるのです。複数の業種でIoTサービスを展開する場合は、垂直型ではなく、拡張性にすぐれた水平型のプラットフォームが適しています。

セキュリティ

IoTプラットフォームは、接続するデバイスやセンサーが多くなるほど、脆弱性が高まります。常に第三者による不正アクセスや情報漏えい、故意のデバイス操作などのリスクを抱えている、といっても過言ではありません。実際、スマートスピーカーなどのIoTデバイスがサイバー攻撃に悪用されたケースもあります。

これらのリスクに備えるには、アクセスする人間の認証と通信の暗号化とを同時に行う「PKI(公開鍵基盤)」などの通信・認証技術を採用することが重要です。もちろん、リモート管理やソフトウェアのアップデートは随時行う必要があります。IoTプラットフォーム選択時には、機能面だけでなく、セキュリティ対策も重視しましょう。

まとめ

モノのインターネット化を進めるIoTサービスは、世界中で加速しており、IoTプラットフォーム市場も拡大の一途です。あらゆる業種で使用できる汎用タイプや、特定業種の一部機能に特化したタイプなど、さまざまな製品が登場しています。今回ご紹介した内容を参考に、自社に最適なIoTプラットフォームを選んでください。

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