日本ではコンビニやファミレスをはじめ、どこに行ってもチェーン店の均一的なサービスを受けられます。しかし、このようなチェーンビジネスがどういう理論に基づいたものか、よく知らない人は意外と多いようです。そこで本記事では、チェーンビジネスに関する理論「チェーンストア理論」の概要や、チェーンの種類、特徴、メリットを解説します。
店舗ビジネスで重要な「チェーンストア理論」とは
「チェーンストア理論」とは、本社で中央集権的に経営戦略や商品開発、財務、仕入れなどを行い、各支店はオペレーションに専念することで経営効率化を図るビジネス手法です。そもそも「チェーンストア」とは一般に、中央に本部があり、同一ブランドで10店舗以上展開されているお店のことをいいます。日本では「チェーン店」というほうが馴染み深いかもしれません。
小売業や飲食業、そして多くのサービス業において、チェーンビジネスは世界中で展開されています。例えばマクドナルドやスターバックス、ユニクロなどの各店舗は、私達の身近にあるチェーンストアの一例です。チェーンストア理論は1900年代のアメリカで登場し、日本では1960年代以降に広がったとされています。
チェーンストア理論において、各支店は基本的に、本社の方針に基づいて標準化された商品を提供します。これにより、企業は仕入れを一元的かつ大量に行えるため、そのぶん仕入れ値を抑えることが可能です。チェーンストアを訪れた消費者は、どの店舗に行ってもマニュアル化された均質なサービスや、同じ種類、同じ品質の商品を受け取れます。
チェーンストアは主に3種類存在する
チェーンストアには、大きく分けて3種類の形態があります。以下では、それぞれの特徴について解説します。
フランチャイズ
「フランチャイズチェーン(以下:FC)」とは、本部企業が定めたビジネスモデルやガイドラインに従いつつも、各店舗の所有や運営自体は外部のオーナーが行うビジネス形態、ないしはその店舗のことです。各オーナー(加盟店)は、本部からさまざまな支援を受ける代わりに、一定のロイヤリティを支払います。
FCのビジネス構造は、企業と加盟店の双方にとってメリットのあるものです。FCは企業にとって、コストを抑えて事業拡大を図るチャンスとなります。他方、加盟店にとっては、企業が時間をかけて構築したビジネスモデルやブランド、開発した商品・サービスやマーケティング活動の恩恵を受けられます。
ただし、加盟店は基本的に営業時間や販売可能な製品、価格設定、仕入れ先などの店舗経営で重要な各事項について、企業のガイドラインに従わなければなりません。また、店舗経営がうまくいっていない場合でも、本部に対価を支払う必要があります。
コーポレート
「コーポレートチェーン(以下:CC)」とは、親企業が直接チェーンストアを所有・運営するビジネス形態、ないしはその店舗をいいます。日本語では「直営店」という言葉が、これに該当します。CCでは親企業が、店舗や各設備・人材などを調達し、所有します。そのため、各店舗が挙げた利益や損失もすべて、企業の業績に直結している形態です。
CCはその性質上、各店舗の運営や管理を本社がしやすいのが特徴です。それゆえ特定の店舗で売上が悪かった場合は、本社が直接介入して問題を解決したり、場合によってはその店舗を引き払ったりすることも可能です。反面、CCは企業が自力で資金繰りをして運営している店舗なので、企業そのものに体力がないと、店舗展開を広げにくいというデメリットもあります。
ボランタリー
「ボランタリーチェーン(以下:VC)」とは、個々の独立した小売店が共通の名前やシンボルを使用して、チェーンビジネスと同じような仕組みを作るビジネス形態、またはその店舗を指します。FCは既存の企業と各店舗オーナーが契約を交わして経営する形となりますが、VCの場合はそもそも、本部自体を加盟店が結成する形になります。大資本に対抗するための寄り合い所帯のようなイメージです。
VCにおいて各加盟店は、従来独自に行わなければならなかった仕入れなどを、ほかの店舗と共同で行えます。これによって、チェーンビジネスと同じく仕入れ値を抑えることが可能です。また、基本的に本部と加盟店の一対一関係(縦割り関係)で運営されるFCとは異なり、加盟店同士で横のつながりを作って、相互提携や支援をしやすいのもメリットです。これにより、その地域特有の購買ニーズを捉え、地域密着型の経営がしやすくなります。
VCのデメリットとしては、「各店舗の経営がうまくいくかどうかは、経営者の手腕に依存するところが大きい」「大資本のチェーンに比べたら、ブランドの知名度が劣る」などが挙げられます。
チェーンストア理論を経営に活用するメリット
チェーンストア理論を経営に活用するメリットとしては、主に以下が挙げられます。
店舗業務の効率化
チェーンストアのメリットとしては、まず店舗業務を効率的に行えることが挙げられます。チェーンビジネスにおいて各店舗が行うオペレーションやそのマニュアルは、本部が作成したものです。つまり、各店舗はこれらの内容を一から用意することなく、本部企業の有するノウハウをそのまま使って、効率的かつ標準的なオペレーションを速やかに開始できます。
仕入れ・在庫管理のコスト削減
チェーンストア理論に基づいた経営では、多店舗展開により本部が仕入れなどを管轄して実施します。一般的に、「仕入れる商品数が多くなればなるほど、仕入れ先との価格交渉を有利に進められる」という特徴があります。つまりチェーンビジネスにおいては、仕入れコストや運営コストの削減が期待できるのです
チェーンストア理論のデメリットとは
上記のようなメリットがある一方で、チェーンストア理論には以下のようなデメリットもあります。
初期費用が高額
チェーンストア理論のデメリットの1つが、初期費用が高額になりがちなことです。チェーンストアは新規店舗を次々と出店していくことに適したビジネス手法ですが、各店舗の出店には高額な初期投資も必要となります。特に、完全に自己資本で店舗経営を行うCCの場合は、なおのことでしょう。経営が芳しくなく、設備投資を回収できない店舗が増えていくと、企業全体の経営状態まで悪化していく、という悪循環に陥ってしまう恐れすらあります。
人材採用・育成コストがかかる
チェーンストアでは、どの店舗でも同じ種類、同じレベルのオペレーションやサービスを行わなければなりません。それゆえチェーンビジネスを展開するには、多くの人材を採用し、同じレベルまで育成するためのコストが必要です。また、どの店舗でも画一的な仕方で店舗経営を行うという原則に従うことで、個々の店舗や地域特性に合わせた経営がしづらくなり、無駄なコストが発生しやすいというデメリットもあります。
ドリームアーツでチェーンストアビジネスを最適化
株式会社ドリームアーツでは、チェーンストアビジネスを最適化するためのITソリューションを提供しています。ドリームアーツのプロダクトの1つである「Shopらん」は、さまざまな業種や規模のチェーンストアに活用できるソリューションです。英語・中国語・韓国語など多言語にも対応もしているので、海外にチェーンストアを展開する企業や、外国人スタッフが多い企業にも適しています。
また、PCはもちろんタブレットやスマートフォンなど、マルチデバイスに対応したUIも魅力です。Shopらん独自のわかりやすい「店舗向け画面」を使えば、アルバイトスタッフでもスムーズにオペレーションを遂行できるでしょう。
まとめ
チェーンストア理論とは、本社でビジネスモデルや商品の開発を統括的に行い、各店舗はそれに則ったオペレーションに専念するビジネス手法です。チェーンストア理論を導入することで、企業は仕入れ値などのコストを抑えつつ、均質なサービスや商品を消費者に提供することが可能です。