建設・ビル管理

ワークプレイスの最適化を支援する「ARCHIBUS」とは?

多くの企業にとって自社ビルや生産施設など、物的資産の管理は非常に大きな経営課題といえるでしょう。そこで重要となるのがワークプレイス管理の最適化です。本記事では、ワークプレイス管理およびファシリティマネジメントを最適化するITソリューション「ARCHIBUS」の概要や機能について解説します。

ワークプレイスの最適化を支援する「ARCHIBUS」とは?

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ワークプレイス管理システムARCHIBUSとは

ARCHIBUSとは、米国の大手ソリューションプロバイダであるARCHIBUS社が開発した統合ワークプレイス管理システムです。統合ワークプレイス管理システムとは、自社ビルや生産施設といった企業の固定的な物的資産の運営に関わるあらゆる情報を可視化し、管理するためのITソリューションを指します。英語で土地や建物、施設や設備など意味する「facility」を管理することから、ファシリティマネジメントシステムとも呼ばれます。

ARCHIBUSは、ワークプレイス管理およびファシリティマネジメントを支援するシステムとして、大きな注目を集めているソリューションです。日本では株式会社アイスクエアドと日本ユニシス株式会社が業務提携し、前者が販売を、後者がシステム構築を担っています。自社ビルやオフィス、製品を設計・生産する施設や設備など、自社が所有する物的資産が増えるほど管理業務も煩雑化します。ARCHIBUSを導入することで、土地や建物といった物的資産のCADデータや設計情報と連携しつつ一元化し、すべての情報を統合的に管理することができます。

また、ARCHIBUSは企業の基幹情報を統合管理するERPシステムとの連携が可能という点も大きな魅力です。ERPシステムとは、財務・会計・生産・在庫・販売といった企業の基幹情報を統合管理するITソリューションを指します。ARCHIBUSとERPシステムを連携させることで、施設や設備などの建物に関するデータと、会計や販売といった基幹業務に関するデータの統合管理が可能です。それにより、企業が利用するオフィスや生産施設の資産価値や収益性を加味した経営戦略の立案につながるでしょう。

IWMSやFMとは

ARCHIBUSの真価をより深く理解するためには、ワークプレイス管理とファシリティマネジメントについて深く掘り下げる必要があります。先述したように、ARCHIBUSは企業の土地や建物といった物的資産のあらゆる業務データを統合的に管理することから、統合ワークプレイス管理システムと呼ばれるソリューションです。統合ワークプレイス管理システムは「Integrated Workplace Management System」の頭文字とって「IWMS」とも呼ばれます。統合ワークプレイス管理システムとは、物的資産の管理を含む、ワークプレイスリソースの最適化を支援するプラットフォームを指します。

では、IWMSと呼ばれる統合ワークプレイス管理システムはなぜ必要になるのでしょうか。その理由は物的資産の運用成果を最大化するファシリティマネジメントを支援するために必要だからです。ファシリティマネジメント(Facility Management)は略してFMとも呼ばれます。前項でも触れましたが、ファシリティマネジメントは土地や建物、施設や設備などを経営資産という観点から管理・運営するマネジメント手法です。そこにはインテリアや室内環境、ITインフラなども含まれます。ファシリティマネジメントの目的を端的にいえば、土地や建物などの収益性や利便性を最大化して企業経営に活用することです。

英語の「Facility」は土地や建物、施設や設備の他に「便利さ」や「容易さ」という意味もあり、ただ単に不動産を指しているのではありません。事業活動に利用される土地や建物など、すべての環境を含んだ全体性を指し示しており、「ヒト・モノ・カネ・情報」に次ぐ第5の経営資源と呼ばれています。第5の経営資源物であるファシリティの運用成果を最大化するためには、物的資産の業務データを統合管理するITソリューションが不可欠であり、そこで必要となるのが統合ワークプレイス管理システムのARCHIBUSなのです。

ARCHIBUSの機能

ここからは、RCHIBUSがもつ機能について見ていきましょう。経営管理に関する機能とPM・FMに関する機能という2つの側面から解説していきます。

経営管理に関する機能

ARCHIBUSは非常に多彩な機能を備えているのが大きな特徴です。経営管理に関する機能の一例として、ポートフォリオ管理機能や資産管理機能、契約管理機能などが挙げられます。第5の経営資源と呼ばれるファシリティの運用コストはじつは人件費に次ぐ高さです。土地の取得や施設の建設、内装工事などの有形固定資産はもちろん、運用費や水道光熱費など、総資産の約20%から25%をファシリティコストが占めているとされます。ポートフォリオ管理機能や資産管理機能によって物的資産のデータを可視化し、定量的に分析することで不動産のスリム化や生産施設の適正化につながります。また、契約管理機能で売買契約や保証契約を統合管理することで、契約の見直しや問題点の発見につながり、不要なコスト削減につながるでしょう。

PM・FMに関する機能

プロジェクトマネジメントやファシリティマネジメントに関連する機能としては、環境管理機能やスペース管理機能、保全作業管理機能や資材・在庫管理機能などが挙げられます。たとえば、環境管理機能によって、すべての物的資産に関する工事案件やプロジェクトの評価分析などを一元的に管理可能です。スペース管理機能は施設や設備の占有状況を可視化し、生産機器やデスクなどの配置を最適化します。保全作業管理機能は施設のメンテナンスや、それに伴う予算管理や作業管理に不可欠な機能です。資材・在庫管理機能は、過剰在庫による保管スペースの圧迫や過小在庫による機会損失を防ぎます。

こうしたさまざまな機能によってファシリティマネジメントを支援し、物的資産の運用を最適化するのがARCHIBUSの役割です。

まとめ

ARCHIBUSは土地や建物、施設や設備などのワークプレイス管理を最適化し、ファシリティマネジメントを支援するシステムです。自社ビルや生産施設などの収益性や生産性を最大化し、事業戦略に活用することで新たな価値創造につながるでしょう。

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