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AI画像解析はどのように活用できるのか? 事例やサービスを紹介

人工知能(AI)の発展により進化した画像認識・解析技術は、IT企業だけでなく、農業・行政など多様な業界でビジネスへの導入が進んでいます。では、画像認識・解析とはどのような技術で、どういったビジネスで活用されているのでしょうか。本記事では、テクノロジーの概要を分かりやすく説明するとともに、実際の活用事例もご紹介します。

AI画像解析はどのように活用できるのか? 事例やサービスを紹介

AIによる画像解析とはどのような技術なのか?

AI画像認識・解析とは、コンピューターのパターン認識技術によって画像の内容を理解し、情報の抽出やデータ化を行う技術のことです。

画像解析の仕組みを簡単にご説明すると、まずコンピューターが処理しやすいように「ノイズ除去」や「強調」などの事前処理を行います。そして、細分化した画像をずらして移動しながら、特徴を学習します。以上の工程を続けることで、画像に何が写っているのか、といったことを表示させるのです。この方法は「CNN(畳み込みニューラルネットワーク)」と呼ばれる技術で、畳み込み層とプーリング層を持つのが特徴です。画像認識で主に使われるモデルです。

AIを用いない画像認識技術の研究は50年近く前から行われていましたが、2010年頃にディープラーニングが登場したことで、飛躍的に認識精度が向上しました。市場も拡大しており、調査会社のITRでは「2023年の日本国内のAI市場規模は約640億円にまで成長する」と予測したうえで、特に「画像認識分野に高い伸びがみられる」と指摘しています。

最近では、「Amazon Go」のような無人店舗も話題になっています。「Amazon Go」は、来店客がどの商品を手にしたかを認識するために、AI画像解析技術を導入しました。

そのほかにもSNSの自動タグ付けや不具合検知、車の自動運転など活用範囲は多岐に渡り、さまざまな業種・業界での導入が期待されています。

あらゆる領域で活用されるAI画像解析

今やAI画像認識・解析は、特定の業界だけではなく、あらゆる分野で導入が進められています。

たとえば「駅のホームでの安全管理」も活用例の1つです。駅のホームに設置してある監視カメラの画像をAIが解析し、ホームと乗客、そして黄色い線の位置関係を把握したうえで、黄色い線の外側(危険エリア)にいると判断された人に対してアラートを出す、というものです。実証実験では、96.2%という非常に高い精度で判別できています。

また、農業分野においてもAIの活用は広がっています。その1つが圃場(農場)管理です。これは、ドローンで上空から撮影した画像を解析し、圃場の位置関係と合わせて画像を自動配置してくれるものです。人の代わりにドローンが撮影し、葉の色が異常だと判別するとアラートを出してくれるので、人が一つひとつ葉の色をチェックする必要がなくなり、農家の作業負担を大幅に減らすことにつながっています。

農業分野ではさらに、無人農薬散布にも画像認識技術が使われ始めています。たとえば、ドローンで農作物の様子を撮影した画像をAIで画像解析して、病気や害虫を検知し、必要な部分にだけ自動で農薬散布する技術が実用化されています。こうした技術は、農家の負担減少だけでなく、極力農薬を使わない安全な農作物を提供するという点でも、大いに活用が期待されています。ちなみに、AIやIoTといった最新テクノロジーを活用して作業を自動化・高度化した農業を「スマート農業」と呼び、農林水産省を中心に推奨されています。

AI画像解析の活用事例

AI画像解析によって実現できるのは「画像を認識・識別する」というシンプルなことですが、使い方次第では多様なサービスへの展開が考えられます。ここでは、小売業・行政における活用事例をご紹介します。

顧客の行動や属性を分析して店内を最適化

小売業では、店舗に来店した客がどのような行動をとったのかを分析し、マーケティングに活用する動きが進められています。具体的には、店舗内に複数のネットワークカメラを設置し、来店者の性別や大まかな年代、どのような動線で買い物をしたかなどを画像から解析する取り組みが盛んです。

さらにPOSや天候情報、商品棚に設置したセンサーからのデータなどを組み合わせることで、入店者のうち何%が商品購入に至ったか、どの商品がよく手に取られたか(その結果何%が購入されたか)、どの時間帯の来店者が多いかなど、より詳細な分析も行えるようになっています。

また、カメラ映像の解析や外部データとの連携によって、より客観的なデータ分析も可能です。たとえば、データ分析によって得られた結果をもとに、商品レイアウトの変更や、来店者の属性データを反映した商品ラインナップの拡充なども行えるようになります。運営面でも、シフトの最適化や防犯対策といった効果が期待できます。

交通量をリアルタイムでカウント

街で時折見かける交通量調査においても、AI画像解析の導入が進められています。そもそも国土交通省が実施している交通量調査は、全国の道路における交通量や道路状況を調査し、道路計画や維持管理についての基礎資料とするために実施するものです。

これまでは、決められた日に人の手で交通量を計測していましたが、今では街中に監視カメラを設置することにより作業の効率化を実現。具体的には、画像解析を行い、カメラを通過する車の数を計測することで、交通量調査を自動化しています。

画像解析による交通量調査は、比較的低コストで行えることや、人の手による計測ミスをなくせること、そして24時間365日計測できるなどのメリットがあります。また、リアルタイムでデータを取得できることも大きなメリットの1つです。

製造ラインで不良品を検知

製造業では、不良品の発見などでAI画像認識が活用されています。

従来、工場の検品作業は人間が目視で行っていましたが、今ではAIを活用して自動化する取り組みが増えています。チェック漏れなどのヒューマンエラーが起こらない・不良品の発見精度が高まるといった理由のほかに、働き方改革でスタッフの負担を減らす目的からも導入が進められています。

具体的には、工場の製造ラインにカメラを設置して製品を撮影し、学習済みのAIによって不良品を判別するという使い方です。判別方法はさまざまですが、機械学習で不良品と判別されたデータを学習し、それ以外を良品と判別する方法や、ディープラーニングで良品のみを学習し、それ以外を不良品と判別する方法などがあります。個体差があり、良不良の判別が難しい野菜などでも適用できるため、スタッフの作業負担を減らす手段としても期待されています。

まとめ

AI画像認識・解析技術の精度は、今や飛躍的に向上しています。最近では、1から開発しなくても利用できるAIサービスが複数あり、導入に伴う技術的・費用的なハードルも下がっています。従来なかったような全く新しいサービスが誕生するなど、ビジネスへの活用に対する期待が高まっていることも、特筆すべき点の1つといえるでしょう。

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