近年、新型コロナウイルスの影響などで、企業を取り巻く状況も大きく変わりつつあります。これまでの働き方や経営方針などが通用しなくなり、大幅な社内改革が必要になるケースも多いでしょう。本記事では、さまざまな社内改革の例を紹介しつつ、それらを行う上で重要なポイントを解説していきます。
社内改革の目的
社内改革の内容は幅広く、企業それぞれできっかけとなる出来事や達成したい細かな目的などがあるはずです。しかし、広い意味で捉えると、業務効率の改善、生産性の向上、競争力の確保、人材の定着、業績の改善など、どの企業にもある程度共通した目的があるはずです。
社内改革を行う上で大切なのは、改革はあくまで手段であることです。実施すればよいのではなく、「改革によって何を成し遂げたいのか」「現状をどのように変えたいのか」などを明確にした上で、適切な方法を選択する必要があります。
社内改革の例
ここからは、社内改革をどのような観点で進めればよいか、パターンを紹介します。これらはそれぞれ完全に独立した改革とは限らず、他のパターンと関連性があったり、お互い包括関係にあったりするため、企業はどれを取り入れるべきかしっかりと見極める必要があります。
組織改革
組織改革とは、企業の内部構造や運用などについて改革を行うことです。企業は独自のルールや制度をつくり、その仕組みのなかで日々の業務を行なっています。そうすることで、組織の統制が取りやすくなり、イレギュラーなミスが起きづらくなるからです。また、無駄な作業を減らすことができ、業務効率化や生産性向上などの効果もあります。
しかし、企業を取り巻く外部の状況は一定ではなく、さまざまな要因によって変化します。それにより、これまで機能していた企業の運用方法が通用しなくなることもあるでしょう。外部の変化に柔軟性を持って対応し、企業の持続的な成長を見据えるために、組織改革が必要なのです。
働き方改革
働き方改革とは、言葉の通り従業員の働き方に関する改革のことで、多くの場合は時間外労働や賃金の適正化、リモートワーク導入を始めとする多様な働き方の推進などが中心となります。
近年、より柔軟性の高いオフィス環境を導入する企業や、残業時間の削減に尽力する企業などが注目されており、そのような改革を検討している企業も多いのではないでしょうか。
近年は働き方改革に関連した法律も整備され、国も働き方改革の推進を行っています。新型コロナウイルスの影響でリモートワークや在宅ワークなどが普及し、より柔軟な働き方が求められるようになったことから、今後もさらに働き方への関心は高まっていくことでしょう。外部環境に対応していくためにも、企業としては無視できない改革といえます。
経営改革
経営改革の範囲は幅広く、企業の経営や既存・新規事業などに関する改革からグループ企業の采配、人材開発など多岐に渡ります。
企業は「生き物」にたとえられることもあり、「創業期」「成長期」「成熟期」「衰退期」「再生期」といった成長サイクルがあります。企業の寿命は30年と言われますが、経営環境の変化に柔軟に対応し、転換期を見逃さずに戦略を立てている企業は、より長く成果を出し続けることができるのです。
経営改革は「経営」と名前が付いているものの、経営陣だけが行う改革ではありません。改革内容によっては従業員に着眼点を置くこともあり、企業の意思決定に関わる幅広い要素が対象となります。
業務改革
業務改革とは、BPR(Business Process Re-engineering)とも呼ばれる、業務プロセスやフローに関する改革です。生産性がなかなか上がらなかったり、業務効率が悪かったりする原因は、業務フローに無駄があるからかもしれません。多くの場合は情報システムを巻き込んだ大掛かりな改革を行い、新しくプロセスを構築していきます。
業務改革の特徴は、一部の業務改善だけでなく、プロセス全体を視野に入れた抜本的な改革を行うことです。似ている言葉に「業務改善」がありますが、業務改善は日常の業務のなかで行う、細かな調整やルール変更などを指します。一方、業務改革ではこれまでのプロセスを廃止し、業務効率を劇的に高める方法を模索していきます。
意識改革
意識改革とは、目標達成や課題解決などのために、社内の価値観・考え方を変えることです。
いくら経営陣の企業に対する考え方が変わっても、それらが従業員に伝わっていなければ、同じ価値観を共有することができません。企業全体が同じ目線で業務を行うには、経営陣が従業員に働きかけを行い、それぞれの意識改革を促す必要があります。
意識改革で大切なのは、経営陣が強制的に意識を変えるようと指示するのではなく、従業員の自発性を引き出すことです。従業員への働きかけはとても重要ですが、精神論に終始し行動に転換しづらかったり、従業員の行動を制限・強制したりすると、かえってモチベーションが下がってしまうこともあります。
デジタルトランスフォーメーション(DX)
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、デジタル技術によってサービスや業務、ビジネスモデル、組織などを改革することです。もともとは、「デジタル技術やITの浸透で生活をより良く変える」という意味でしたが、近年、ビジネスにおけるデータの活用や業務効率化ツールの導入などが重要視されるようになり、企業のDX化が進んでいます。
企業のDX化が進む背景には、レガシーシステムの問題やIT化を前提としたビジネスモデルの変革による将来的な競争力確保などが挙げられます。近年、デジタル技術の発達によって、これまでになかったビジネスモデルやサービスなどが数多く誕生しています。市場のニーズも多様で移り変わりが激しく、データを活用してスピーディーに意思決定を行う必要があるのです。
社内改革で失敗しないために押さえたいポイント
社内改革の内容は幅広く、それぞれの企業によって状況も異なります。すべての改革に当てはまるわけではありませんが、あらかじめ失敗の原因になりやすいポイントを知っておくことで、防げるトラブルもあるはずです。ここでは、社内改革を成功させるポイントを3つ紹介します。
目的やビジョンの設定
社内改革はただ行えばよいわけでなく、それによって何を達成したいのかを具体的に決めることが重要です。どのようなことを見据えるかによって取り入れる改革内容も異なるため、まずは現状の問題点をピックアップし、改革の目的・ビジョンを設定しましょう。
また、それらは経営陣だけで理解するのではなく、従業員にきちんと共有することが大切です。善に対して従業員がメリットを感じて自分事化することで、従業員の主体性を高められます。そのため目的は社内改革によって会社が好転したら、従業員はどのような対価が得られるのかという点まで落とし込むことが重要です。
現状や課題の分析
社内改革の取り組みを決めるには、企業の現状を正しく把握しなくてはなりません。現状の整理・分析には3C分析や7S分析などのフレームワークが使えるケースもあります。
3C分析とは、Company(自社)、Customer(顧客)、Competitor(競合)の3つの視点から企業を分析するもので、自社の強みや課題などを洗い出すことができます。
他方、7S分析はStructure(組織構造)Strategy(戦略)System(システム)Staff(人材)Skill(スキル)Style(スタイル)Shared Value(価値観)の7つの観点から企業を評価する考え方のことです。優れた企業はこれらのバランスがよいといわれています。
反発や抵抗勢力への対応
社内改革は、その内容が抜本的であるほど、反発や抵抗勢力が発生する可能性も高くなります。実際に「新しいツールやシステムに馴れない」「これまでの方法がよかった」などの声が上がり、スムーズに社内改革が進まないケースは少なくありません。
大掛かりな改革を検討している場合は、あらかじめそれらの不満を想定し、向き合い方を考えておく必要があります。また、改革の目的・ビジョンの共有が不十分だと反発の原因になりやすいため、目線合わせを丁寧に行うことも重要です。
まとめ
社内改革での失敗を防ぐには、企業の状況や達成したい目的を定めて、適切に対処する必要があります。例えば組織内のさまざまな情報を統合分析できるWorkplace Analyticsをはじめ、Microsoft製品は社内の現状分析からDX推進まで、社内改革のソリューションを豊富に揃えています。社内改革に取り組む際は導入を検討してはいかがでしょうか。