施設管理についてAIやIoTを活用すれば、業務を効率化することが可能です。具体的に、どのような仕組みを取り入れればよいのでしょうか。AIやIoTの活用によるこれからの施設管理最適化の仕組みについて解説します。
施設管理の仕事内容とは?
施設管理は建物の状態をチェックして整備する仕事です。商業施設やビジネス関連のビルをはじめとし、ホテルや大学などが担当者の勤務場所となる場合もあります。施設管理の仕事内容について具体的に説明します。
巡回点検
施設管理の主な仕事内容は、建物の中を巡回して問題が生じていないかチェックすることです。壊れていたり古くなっていたりする箇所がないか確認します。
たとえば、電球が切れていたりパッキンが劣化したりしていた場合、新しいものに交換するのも施設管理の仕事です。また、清掃がきちんと行き届いているかについて確認し、室内の空気が汚れていないかの定期的な測定などもおこないます。
設備点検・メンテナンス
建物にはさまざまな設備があり、それらが正常に作動しているかどうかチェックするのも施設管理の重要な仕事のひとつです。
たとえば大きな建物では高圧電流を使って各部屋の照明をつけたり、たくさんのエレベーターを動かしたりしています。漏電やショートが起きないよう、電圧計や電流計をチェックして正常に作動できるように見守ります。
建物の中にある設備の動力源はボイラーであるため、ボイラーの管理もおこなっています。ボイラーは巨大で高温なため、正常な状態を保つには細心の注意を払うことが大事です。
また、自動ドアやエレベーターなどの機械について、故障や破損がないかを点検します。定期的なメンテナンスが必要なものについては、メーカーに依頼するケースもあります。
さらに施設管理では、建物の内部の空調を制御する換気や冷暖房の設備も管理します。季節に合わせて適切な空調になるように設定し、換気や冷暖房の設備の運転効率を高める工夫をしています。こまめなフィルターの掃除も重要な仕事です。
大きな建物では、水の供給や排出についても大掛かりな設備を備えています。貯水槽やパイプなどそれぞれの設備について点検やメンテナンスが必要です。
修繕計画の立案
月日が経過すると、建物はいくら丁寧に扱っていても少しずつ劣化していきます。大きな建物の場合、一度にすべてを修繕するとなると莫大なコストや時間がかかることもあります。そのため修繕計画を立て、適切なスケジュールで建物の修繕ができるようにする必要があります。
この修繕計画を立案するのも施設管理に任される重要な仕事です。設備や場所によっても劣化の進み具合は異なるため、それぞれの状況に合わせた適切なスケジュールを組むことが求められます。
世界で最も著名なIWMSシステム「Archibus」とは?
施設管理に役立つシステムのうち、世界で最も知られているものとして「Archibus」があります。Archibusは1983年にボストンで設立され、IWMSソフトウェアを初めて作り上げた企業です。「IWMS」とは日本語でいうと「統合型職場管理システム」のことで、施設管理を効率化するために大きな力を発揮します。
最新バージョンのArchibus V25.1では、ユーザーエクスペリエンスが劇的に向上しています。たとえばプロジェクト管理状況の可視化、リース管理の合理化、複雑なメンテナンスの簡素化、システムデータの一元化など、今までより簡単かつ便利に進化しています。
Azureと組み合わせSmart Buildingに必要な業務機能を提供
Microsoftが提供するクラウドプラットフォームのAzureとArchibusを組み合わせると、施設管理の課題を解決するうえでさまざまなメリットを得られます。
施設管理の現場でArchibusを利用する場合でも、BAS やIoT から得られる情報は別になっているため、効率的な管理が難しいケースが多くあります。しかしAzureを導入すれば、Archibusから得られるデータと、BAS やIoT から得られるデータのすべてをまとめて管理できます。データによる検証もしやすくなり、課題を引き起こしている原因の特定もより早く見つけやすくなります。
このようにAzureとArchibusを組み合わせれば、Smart Buildingを実現するために必要な環境を手に入れられるでしょう。
クラウドでビル管理を監視・制御するシステム「BACloud-GA」
施設管理に役立つシステムとしては、株式会社ユニテックが提供する「BACloud-GA」もあります。通信規格のBACnetとMicrosoftのAzureを接続すれば、クラウドを介して施設全体の設備を監視できます。また、クラウド上からそれぞれの設備を制御することも可能です。
このようなシステムを導入すれば、効率的な施設管理が実現しやすくなり、少ない人員で多くの施設をまとめて管理することもできるようになります。
BACloud-GAの活用事例
BACloud-GAは、すでにさまざまなところで活用されています。たとえば、AzureやIoTとともに活用し、クラウド上で設備の監視や制御をおこなうシステムを最適化した事例があります。Azureを利用すると段階的な構築ができます。そのため長期スパンで自社に最適なクラウドシステムの構築が可能です。
またPCやスマホと連動することで、ビルから発せられる警報や計測器の確認を行うことができます。そのため現場での巡回や監視の際、IoTを利用することで巡回数を減らすなど、人員配置を最適化して人件費を削減することも可能です。さらに複数のビル管理データを統合しビックデータとして活用することで、効率的なビル管理を実現した事例もあります。
このようにAIやIoTを活用した仕組みを取り入れれば、既存システムの構成や運用方法を変更することなく、遠隔操作による監視、制御をリアルタイムに行うことができます。
まとめ
さまざまな管理をおこなう施設管理の仕事にAIやIoTを取り入れれば、業務が飛躍的にスムーズになります。便利なシステムやツールが多くありますが、そのなかから自社に最適なものを取り入れることが大事です。施設管理の業務内容に合わせ、役立つシステムやツールを導入し、仕事の最適化を図りましょう。